この連載も早や13回。「毎回、どうやって店を探してるの?」とおたずねをいただく機会も多いのですが、その答えはひとこと「口コミ」。英語でLike attracts likeと言いますが、友達のおすすめはみなおすすめだ(どっかで聞いたことあるフレーズ)というわけで、食いしん坊を標ぼうしていると、どこからか美味しそうな話がやってきます。そして、その断片的な情報で「この店はイケる!」と鼻が利くようになるわけでして。

たとえばこんな風に。
幼馴染の友人
「こないだ下町の中華のはなれにあるワインバーに行ったんだけどね。これがなかなか面白いのよ。カウンターだけで、まるで隠れ家」
ワインジャーナリスト某氏
「トゥールダルジャンにいたソムリエの寺田さん、独立したんですって。実家の中華料理店でお父さんと一緒にやってるって」
PR系アラフォー女子
「小籠包とオレンジワインってびっくりするくらい合うんだね。こないだ浅草橋で食べたんだけど。初めていったけど、浅草橋って面白い町なのね」
と、これすべて「水新はなれ紅」に関するウワサ。この3人の評でほぼこのお店のすべてをお伝えできているので、いささか蛇足のようにも思えますが、仔細にご説明してまいりましょう。
中華をワインとあわせる「水新はなれ紅」


「トゥールダルジャンでの10年ははさまざまなご縁に恵まれ、すばらしい経験をさせていただいた日々でした。でも、いつかは実家に戻って家業を継がないと、という思いがあり、父が70歳になったことをきっかけに、思い切って帰ってきました」









「水新はなれ紅」は型だけでなく心のこもったサービスと、選り抜きのワイン、そして誰もが大好きな中華料理の三つ巴を適正(いえ、もしかして安すぎるかも?)な価格で楽しめるお店。教えたくないけど、美味しいものが好きな人には伝えたい、繁盛してほしいけど、流行りすぎてほしくない。そんな葛藤にさいなまれております。

■ 水新はなれ紅(みずしんはなれほん)
住所/東京都台東区浅草橋2-1-1
予約・問い合わせ/03-5839-2077
営業時間/18:00~23:00(L.O.)金曜のみ18:00~24:00(L.O.)
定休/第二・第四土曜、日曜
*JR・都営地下鉄「浅草橋」駅から徒歩2分