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2019.03.28

あんかけ焼きそばに赤ワイン⁉ 噂の隠れ家を公開!

浅草橋で120年もの歴史をもつ町中華の“はなれ”でひっそりと供されているのはワイン。ワインと中華のペアリングがもう最高に楽しくて。

CREDIT :

文/秋山 都 写真/吉澤健太

毎回、旬のレストランや話題の新店をご紹介していく連載「美食のネタ帖」。「なんか面白い店ないかなぁ」「最近どこか行った?」と聞かれることが多いLEON.JP食いしん坊担当がガチでおすすめなお店を紹介いたします。

この連載も早や13回。「毎回、どうやって店を探してるの?」とおたずねをいただく機会も多いのですが、その答えはひとこと「口コミ」。英語でLike attracts likeと言いますが、友達のおすすめはみなおすすめだ(どっかで聞いたことあるフレーズ)というわけで、食いしん坊を標ぼうしていると、どこからか美味しそうな話がやってきます。そして、その断片的な情報で「この店はイケる!」と鼻が利くようになるわけでして。
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今回ご紹介する「水新はなれ紅(ミズシンハナレホン)」も同好の士による紹介で知ったお店。不思議なことにそんな噂は同時多発的にやってくるものなのですね。
たとえばこんな風に。

幼馴染の友人
「こないだ下町の中華のはなれにあるワインバーに行ったんだけどね。これがなかなか面白いのよ。カウンターだけで、まるで隠れ家」

ワインジャーナリスト某氏
「トゥールダルジャンにいたソムリエの寺田さん、独立したんですって。実家の中華料理店でお父さんと一緒にやってるって」

PR系アラフォー女子
「小籠包とオレンジワインってびっくりするくらい合うんだね。こないだ浅草橋で食べたんだけど。初めていったけど、浅草橋って面白い町なのね」

と、これすべて「水新はなれ紅」に関するウワサ。この3人の評でほぼこのお店のすべてをお伝えできているので、いささか蛇足のようにも思えますが、仔細にご説明してまいりましょう。
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中華をワインとあわせる「水新はなれ紅」

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「水新はなれ紅」オーナーの寺田泰行さん。
さあ、この一糸乱れぬオールバックが彼の出自を物語っているように思えます。寺田泰行さんは大学卒業後、新卒でホテルニューオータニに入社。以来、バンケット(宴会)や「トゥールダルジャン 東京」でサービスの腕を磨いてきました。政財界をはじめ数々のVIPが訪れる名店でのサービスにはもちろん一流の気遣い、そして洗練された身のこなし、そして卓越したワインの知識が必要です。
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戦前は水菓子(フルーツ)店「水新」だったため、この名前になったという「水新菜館」。
そしてこの寺田さん。前身の水菓子店だったころを勘定に入れれば120年余の歴史をもつ中華料理店「水新菜館」に生まれた、たったひとりの男の子でもありました。

「トゥールダルジャンでの10年ははさまざまなご縁に恵まれ、すばらしい経験をさせていただいた日々でした。でも、いつかは実家に戻って家業を継がないと、という思いがあり、父が70歳になったことをきっかけに、思い切って帰ってきました」
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魅力的な「水新菜館」のメニュー。
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4代め主人の寺田規行さん。フレンドリーな笑顔と温かい接客、そしてちょいワルおやじも顔負けのイタリアンなファッションにファンが多い。
「水新菜館」は明治30年に水菓子(フルーツ)店「水新」として創業。現在4代めの寺田規行さんが昭和40年代に中華料理店へと舵を切り、以降、浅草橋の “町中華”として愛されてきました。人気は「あんかけ焼きそば」や「小籠包」など、中華の定番料理です。
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「水新菜館」の一番人気、「あんかけやきそば」(900円)
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「水新はなれ紅」の入り口は「水新菜館」のすぐ横。
さあそこへ、フレンチの名店で修業した息子が帰ってきて生まれたのが「水新はなれ紅」というわけです。「水新菜館」とは裏導線でつながっている“はなれ”であり、赤ワインを中国語で紅酒というところからこの名前がついたのだそう。つまり料理はすべて「水新菜館」の厨房から徒歩5秒程度で届けられ、ワインは息子さんのチョイスで、中華とワインのペアリングが楽しめるワインバーなのでした。
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ここから寺田泰行さん(息子のほう)による中華とワインのペアリングをいくつかご紹介していきましょう。
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「蒸し鶏ネギ風味」(1260円)にシャンパーニュ、ドゥラモットNVブリュット(グラス1500円)。
ブラックペッパーがこれでもか、とかけられた蒸し鶏はスープにひたして蒸されているのでやわらかな食感。胡椒と山椒のほどよい刺激をキリっと冷えたブリュットのシャンパンで流せば……鶏、泡、鶏、泡と反復運動が止まりません。
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ソフトシェルシュリンプの香り炒め(6本1470円)に、アンリ・ブルジョワのサンセール(グラス1500円)。
これ、実は裏メニュー。脱皮したてで柔らかなバナメイ海老を、ネギと香菜たっぷりと炒め合わせたひと皿には仏ロワール産の白ワイン「サンセール」を。甲殻類の味わいと、サンセールのやわらかな酸やハーブなどの青い香りが口中でマリアージュして…う~ん、おかわり!
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小籠包(4つ1050円)にジョージア ストーリー ムツヴァネ(グラス800円)。
肉汁があふれだす小籠包にはジョージア産のオレンジワインを。豚肉の甘みある旨味を、オレンジワインのほどよい渋みが包み込みます。「肉にはある程度タンニンを含んだワインが合うんですね」と寺田さん。
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フカヒレと上海ガニの煮込み(2枚で5,250円)にエルミタージュ シャンタルレット 2015(ボトルで1万4500円)
でました、高級料理! 上湯で炊いたフカヒレにはマルサンヌ100%のエルミタージュを。こっくりとしたソースに力強くもエレガントな白ワインがハマります。しかもこのワインボトルには点字の表記が……「生産者のミシェル・シャプティエは友人に盲目のシャンソン歌手がいるようで~~」続きはお店で寺田さんにお聞きください。
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一番人気のあんかけ焼きそば(900円)にドメーヌ・デ・シェゾ―のジュヴレ・シャンベルタン2003(ボトル1万2500円)。
〆はやっぱり一番人気のこちら。900円の「あんかけ焼きそば」にボトルで1万円超のワインとはビックリな組み合わせですが、食べれば納得のおいしさ。ジュヴレ・シャンベルタン(それも2003!)のやわらかな熟成感が、オイスターソースや野菜の旨味、甘味を引き立てます。

「水新はなれ紅」は型だけでなく心のこもったサービスと、選り抜きのワイン、そして誰もが大好きな中華料理の三つ巴を適正(いえ、もしかして安すぎるかも?)な価格で楽しめるお店。教えたくないけど、美味しいものが好きな人には伝えたい、繁盛してほしいけど、流行りすぎてほしくない。そんな葛藤にさいなまれております。
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■ 水新はなれ紅(みずしんはなれほん)

住所/東京都台東区浅草橋2-1-1
予約・問い合わせ/03-5839-2077
営業時間/18:00~23:00(L.O.)金曜のみ18:00~24:00(L.O.)
定休/第二・第四土曜、日曜
*JR・都営地下鉄「浅草橋」駅から徒歩2分

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