またひとつ、幕をおろす昭和の名店
そこから一気に数十年経ちまして、荷風も花袋も足穂も一応、名前だけなら読めるようになった私。「アンヂェラス」にも数回足を運び、「ここは水出しコーヒーを日本で初めて出したらしいよ」「自動ドアを採用した第一号店なんだって」「池波正太郎や手塚治虫も通ってたの」といっぱしのツウぶったりしておりました。
このバタークリームとは文字通り、たまご、砂糖、バターを混ぜたもの。今でこそ、ケーキは生クリームが主体ですが、40年くらい前はバタークリームのケーキが多く、生クリームを使用したケーキは高級品という印象でした。私はこのバタークリームのケーキが大好きなのです。
バタークリームの名品「アンヂェラス」よ、さようなら
バタークリームの名品よ、永遠に!
前日の正午までにオーダーすれば当日受け取れるこの「オーダーケーキ」は、写真の白いもののほか、チョコクリーム、モカクリームの3色すべてバタークリームベース。有塩バターを使用しているため、ほのかな塩気がよりリッチなコクを与えています。
ナイフを入れると5層に重ねられたスポンジとバタークリームの美しい断面に誰しも歓声を上げるはず。1日15台限定で販売はひとり1台まで、とかなり貴重品ですので、出会えたらラッキー。このときばかりは日ごろのダイエットを忘れておいしくいただきましょう!
今回はなつかしのバタークリームに注目しました。
元号が変われば時代も変わる。そして街や店もうつろいます。でも、その変わり身の速さにあえて目をつぶることもときには意味あるのかな、と。新しいお店や、斬新な食のトレンドも気になりますが、たまには旧いものをたずねてみるのも面白いと思っています。