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2021.12.28

米から日本酒、ブドウからワイン。ではリンゴから出来るお酒はな~んだ?

リンゴの生産量日本一という青森県で、リンゴから生まれるお酒を味わってきました。醸造酒であるシードルと、蒸留酒であるアップルブランデー、アナタはどちらがお好み?

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文/秋山 都 写真/長谷川 潤 取材協力/青森県

▲ 聖書にも知恵の実(一説)として登場するリンゴ。人類との関わりは長く、深い。

アルコールはどうやって生まれるのか?

「冬のほっこり♡美酒」特集はお楽しみいただいているでしょうか。シャンパーニュカクテルなど、さまざまな美酒をご紹介してきましたが、ここで基本的なアルコール発酵についておさらいしておきましょう。

アルコール発酵とは、原料に酵母を加えることで、原料の中の糖分がアルコールと炭酸ガスに分解されるプロセスのこと。このように発酵で造られるお酒が醸造酒、発酵からさらに蒸留したら蒸留酒となります。つまり米に酵母と水を加えたら日本酒になるし、ブドウに酵母を加えたらワインになり、そのワインを蒸留したらブランデーになるというわけ。ではリンゴから出来るお酒は何になるでしょう? リンゴの一大産地である青森県にて、リンゴから生まれる醸造酒、蒸留酒それぞれの現場を訪ねました。
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 【弘前シードル工房 kimori】

▲ 「弘前シードル工房 kimori」の高橋哲史さん。東京でテレビ制作会社に勤めていたが、27歳で帰郷。シードル工房を立ち上げた。
のっけから正解が出てしまいました。リンゴを発酵させて造られるのは「シードル=CIDRE」。このシードルは仏語読みでして、英語圏では「サイダー」と読みます。日本でサイダーというと甘い炭酸飲料と間違えやすいせいか、リンゴの発酵酒を日本ではシードルと呼んでいるようです。
▲ 昭和30年代、「朝日シードル」(現「弘前れんが倉庫美術館」)にて、シードルのボトリング風景。写真提供/ニッカウヰスキー株式会社
青森でシードル製造の歴史は古く、1954年には現在「弘前れんが倉庫美術館」となっている建物で朝日シードル(のちにニッカウヰスキーに引き継がれた)として日本で初めて大規模なシードル製造をスタートさせています。
▲ 「弘前れんが倉庫美術館」は2020年7月にグランドオープン。(青森県弘前市吉野町2-1)
その後も青森県でシードル製造は続けられ、現在青森県でシードルを造っている醸造所は8カ所(13銘柄)。これは日本でも最多となっており、青森県はリンゴの生産量日本一であるのと同時に、シードル製造にもっとも力の入っている県と言ってよいでしょう。
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さて、本題の「弘前シードル工房 kimori」。ここはリンゴの収穫体験などを楽しめる「弘前りんご公園」の中にあるシードル醸造所。リンゴ農家として5代目になるという高橋哲史さんが「シードルを通してリンゴに触れるきっかけになれば」と始めました。
原料となるのは、主に酸味・甘味のバランスのよい品種であるサンふじ。高橋さんは自ら、苗を育て、手入れをしたリンゴを収穫。ていねいに果汁を絞って、酵母を加え、タンクのなかでゆっくりと発酵させます。その際、タンクを密閉することで、醸造過程で発生する炭酸ガスを果汁の中に溶け込ませる自然な製法で、舌触りのよいやさしいシードルが誕生するというわけ。
▲ 「kimori」とは、果実をひとつだけ樹に残して来年の豊作を願う風習「木守り」から名付けられた。
一般的にシードルは甘めのタイプが多いのですが、「kimori」のシードルは無ろかのせいか、果実味をたっぷり残した味わい。「ドライ」はすっきりしていて、食中酒としても楽しめます。
▲ kimoriのシードル、左スイート、右ドライ。ともに750ml。2本セットで3315円。
「これは限定なんですよ」と高橋さんが見せてくれた「グレイス」は21年6月に青森津軽地方を襲ったヒョウにより、被害を受けたリンゴで醸したシードル。そのままでは売り物にならないリンゴがこうして姿を変えてシードルになるのは、SDGs的観点から見てもすばらしい試みかな、と。
▲ kimoriシードル「グレイス」750mlは数量限定。
一般的にアルコール度数が3~8%程度と低アルコールであり、リンゴを原料としているので基本的にグルテンフリーであるシードルは、味わいも軽く、飲み疲れもしないのがうれしいポイント。この冬は「とりあえずビール」じゃなく、「とりあえずシードル」で行こうかな。もちろん青森県産のね。

◆ 弘前シードル工房 kimori

住所/青森県弘前市清水富田寺沢125 りんご公園内
問い合わせ/0172-88-8936
HP http://kimori-shop.com
*醸造所内の見学も随時受付中。

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【モホドリ蒸溜研究所】

▲ 「モホドリ蒸溜研究所」蒸留スタッフのおふたり。いい笑顔!
さて、リンゴの醸造酒がシードルなら、蒸留酒はなんでしょう? 「カルヴァドス!」という声が聞こえてきそうですが、これはフランス・ノルマンディー地方で造られるリンゴの蒸留酒だけが名乗れる原産地呼称ですので、正解は「アップルブランデー」。21年10月に青森県初のアップルブランデー専門の蒸溜所が誕生したと聞き、訪ねました。
▲ モホドリとは津軽弁でフクロウの意。「モホーモホー」と鳴く鳥、というわけでしょうか?
名称の「モホドリ」とは、津軽弁でフクロウのこと。古くからフクロウはリンゴの害獣であるハタネズミを捕食することから益獣として親しまれており、近年ではフクロウの巣箱をリンゴ畑に設置し、獣害を6割以上抑えることに成功している例もあるのだとか。いわばリンゴ畑の守り神的な存在であるフクロウに「津軽のリンゴ農家、リンゴ産業を守りたい」という願いを託し、モホドリと名付けたのだそう。
この日もフジやトキ、ツガルなど青森県産のリンゴたちが仕込みを待っていました。
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▲ ドイル、アーノルドホルスタイン社製の連続式蒸留釜。
2021年10月にオープンした蒸留所らしく、蒸留器もまだピカピカ!  リンゴはまず青森県産の「白神酵母」で発酵させ、その後蒸留します。私たちがよく知るブランデーは、蒸留後に樽で熟成させるため黄~茶に色づいていますが、まずこの段階ではクリアなブランデーが出てきます。
▲ 蒸留鍋から出てきたばかりのアップルブランデー。ほんのり甘い香り。
この日、蒸留していたアップルブランデーを少しだけ味見させてもらいました。商品では飲みやすく加水してアルコール度数を25度に押さえるそうですが、この時点ではまだ80度ほど。口から火を噴きそうでしたが、リンゴの果実味が強く感じられるブランデーでした。
▲ 「モホドリ蒸溜研究所」の「ラブヴァドス」(500ml)2860円。
このアップルブランデー「ラブヴァドス」はそのまま飲むのはもちろん、紅茶に少し垂らしたり、バニラアイスにかけても。
蒸留所内ではショッピングのほか、オリジナルカクテルやコーヒーも飲めるから、青森県を旅する際にはぜひこちらでひと休みしてはいかが。リンゴのお酒を楽しみに旅するのもなかなかオツなものですぞ。

◆ モホドリ蒸溜研究所

住所/青森県五所川原市大町508-5
問い合わせ/0173-23-5805
営業時間/11:00~19:00
定休/月曜
HP/https://www.mohodori.com

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