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2026.02.06

「バニー」といっても、あっちの美女じゃありません

常に独自の視点で独自の音楽を生み出していくDJとして世界中で活躍する田中知之(FPM)さん。音楽のみならずファッション、時計、クルマ、グルメとオールジャンルでの博覧強記を駆使した田中流「男の定番」をご紹介する連載です。

CREDIT :

文/田中知之(FPM) 写真/鈴木泰之(Studio Log)

世界を舞台に活躍するDJ田中知之(FPM)さんが自らの美意識に叶った「男の定番」をご紹介する連載。今回のテーマは……。

■ 「U.S.アーミー」のバニーブーツ

“バニー”とは英語でウサギの幼児語で、日本語で言うところの“ウサちゃん”にニュアンスが近い。バニーと聞いて我々が思い出すのは、あのセクシーな衣装を纏ったバニーガールで満場一致だろうが、今回紹介するバニーは、残念ながら片方が折れたウサギの耳のヘッドギアーを付けたグラマラスな美女のことではなく、筋骨隆々のアメリカ軍人たちが履いた真っ白なブーツのことだ。


正式名称はECW (Extreme Cold Weather)Insulated Rubber Boots、つまりは極寒冷地用ゴム製断熱ブーツ。冬場に体毛が白くなる雪ウサギの脚のぽってりと丸い形状に似ていることから通称バニーブーツと呼ばれている。


ちなみにマイナス53.8℃まで対応するこちらに対し、マイナス28.9℃まで対応する、ひと回り小さな黒いブーツもあって、そちらはミッキーマウスのデカい脚にちなんでミッキー(マウス)ブーツと呼ばれる(ミッキーマウスの脚は実は黄色なのだが気持ちは分かる)。

「U.S.アーミー」のバニーブーツ
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素材は極厚ゴムで、フェルトウールの保温材を二層のラバーでサンドイッチし、ソールも極厚のラバー。これは別支給されるインナーブーツというか、極厚の靴下(ライナー)を中に着用するために大きめに作られており、とにかく巨大なシルエットになる。


私は普段スニーカーは11インチあたりのサイズ感なのだが、チョイスしたのは9インチレギュラー。極厚いインナー分、普段より小さなサイズを選ぶ必要がある。重さも片方1.5㎏あるのだが、履いてみるとさほど重さは苦にならない。


とはいえ、都会で履くにはかなりのオーバースペック感は否めない。ただ、それを補っても余りあるモード感がある。実際2014年秋冬のラフ・シモンズのランウェイ・ショーでコーディネートに活用されたり、ビッグシルエットを好むラッパーにしてファッションアイコンであるカニエ・ウェストが愛用したりもしている。

「U.S.アーミー」のバニーブーツ
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しかもこの個体は、航空機内上空での扉の開閉時など急激な気圧変化で保温構造が破壊されないよう圧力解放用バルブが付いていて、これがナイスなポイントとなり、さらにその用途や靴紐の通し方などが英語でプリントされており、まるで故ヴァージル・アブローのデザインしたスニーカーのようだ。


ヴァージルはもしかしたらここからデザインの着想を得たのかもしれない。つまりはとってもクールなブーツなのだ。いやクールじゃないな、ホットなブーツなのだ。

田中知之(FPM)

田中知之(FPM)

1966年京都生まれ。音楽プロデューサーでありDJ。それでいてクルマも時計も大好物。ヴィンテージにも精通し、服、家具問わずコレクターであり、食への造詣も深い。www.fpmnet.com

2026年2月号より

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