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2022.08.08

技アリ! プロの着こなしテク拝見【並木孝之・後編】

高感度な大人のアクセサリーとして人気を博す本格時計。しかしどのように装いに取り入れるべきか悩む人も多いハズ。そこで着こなし自慢が、時計のキャラクターを踏まえたトータルコーデ・テクを特別に披露。長年服を着倒してきた経験から導き出されるリアルな技は、参考になること確実です。

CREDIT :

写真/多田 悟(Rooster) 構成・文/長谷川 剛(TRS)

続・時計まで抜かりないトータルなコーディネート

職人仕立ての本格ネクタイをはじめ、クラシックスタイルを軸とする数々のメンズウエアを扱う会社、アイネックス。大手セレクトショップからも信頼厚い企業において、並木孝之さんは主に商品開発などを担当しています。

自ら正統派のクラシックスタイルを世に広めるべく、既成のスーツでもスタイルが美しく見えるよう、日々肉体調整に余年のない実践派ドレッサーでもあるのです。

そんな装いの伝道師が日頃から強く意識しているのがトータルコーディネート。アタマから足先まですべてテイストを揃えてこそ、完成度の高い装いになると並木さんは考えます。それはもちろん装身具に関しても例外ではありません。

前回の記事では軽快なカジュアルスタイルをご披露いただきましたが、今回は待望のドレススタイル編。夏の盛装における時計の小粋な取り入れ方を特別に見せていただきました。コレは圧巻の内容です!
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コードレーン・スーツで品良く爽やかに

並木孝之 (株式会社アイネックス 商品戦略部部長)
▲ 春夏用スーツの代表格であるコードレーンの装いは、清涼にして上品。なかでもホワイト×ブルーの生地は若々しく快活な印象です。この一着はソブリンにて購入したもの。
確かに暑い夏は薄着になりがちです。しかしいっぱしの男子であれば、真夏でもここぞのシーンなら本格仕立てのスーツで出掛けたいもの。もちろん着こなしマスターもそのように考えています。そこでホットな季節ならではの盛装ウエアとして、ぜひ活用したいのがホワイト×ブルーが爽やかなコードレーンの一着。

「ただでさえ汗かくようなシーズンなので、目にも爽やかな装いを心掛けたいものです。この一着はコットン素材で非常に軽快ですが、上下揃えて着ることで大人っぽい雰囲気になるもの。そこまでシリアスなシーンでない場合は、アンタイドの装いでももちろんOKです。そういった場合のシャツは、布帛ではなくスポーティなポロシャツやニットポロがバランス良くマッチするのです。
▲ ニットポロもスーツと同じくソブリンのもの。ポロというとテニス系のスポーツポロを選ぶ人も多いのですが、シックな着こなしの時は断然ニットポロ
を選びたいところ。
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スーツがホワイト×ブルーということで、白シャツを選ぶ人も多いのですが、白場が多い素材が主となる場合、白系インナーの合わせだと、少々ボンヤリした印象になってしまいます。ブルー系のなかでも引き締め効果の高いネイビーだと、まとまりもありつつキリッとした装いに仕上ります」
▲ こういった軽快で涼しげな装いの時に重苦しいシューズは無粋です。薄仕立てのスリッポンタイプがやはり正解。昨今の洒落者の間で人気のボードイン & ランジは、ベルジァンシューズで著名な英国モノ。もちろんソックスレスではくのがお約束。
そしてドレススタイルの要であるシューズは、もちろんスニーカーなどではなく本格仕立てをチョイスします。とはいえビジネスシューズのような重量系ではありません。

「これはボードイン & ランジのスリッポン。いわゆる今流行りのベルジァンシューズの一種ですが、こういった軽快な装いに非常にマッチする薄仕立てが特徴的。コットン特有の寛いだ素材感を持つコードレーン・スーツとも相性の良い、スエードアッパーを選んでいます。もちろんカラーはスーツと同系色のネイビー。それ以外のカラーは合わせません」

さすがは着こなしマスター。足先までパーフェクトなコーディネートです。素足にスリッポンの着こなしも含め非常にリラックスした装いですが、パンツのクリースはきっちり立てています。裾の折り返しもシングルではなくクラシックなダブルという処理であり、それもまたメリハリ・テクのひとつなのです。
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清涼かつ格式感じるスポーティウォッチでまとめて

ロレックス エキスプローラーII
▲ 軽快でカジュアルなスーツスタイルに白文字盤のスポーティウォッチがよく似合っています。ネイビーのベルトももちろん計算の内。
そんな爽やかシックな装いに合わせる時計としてチョイスしたのが、ロレックスのエクスプローラーII。トラッドスタイルに傾倒していた若き日の並木さんが、30歳の折りに本格時計を初めて意識し購入した一本とのこと。

「コードレーンのスーツも言わばトラッドスタイルのひとつ。アンタイドのカジュアルな雰囲気や、ポロシャツを合わせるような、ある種アクティブなコーディネートには、こんな快活なスポーティウォッチがマッチします。ポイントはSSブレスレットからレザーストラップに替えているところ。
ロレックス エキスプローラーII
▲ 並木さんが30歳の時に思いきって購入したというロレックス エクスプローラーII。本格機械式を意識し購入した初の時計とのこと。現在もアクティブなスタイルのシーンで重宝していると言います。ベルトは2年前にRRLのレザーストラップに交換。
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これは2年前くらいにRRLのショップで見つけたもの。引き通しレザーストラップのブルー系は、ロイヤルブルーなど淡いものが多いのですが、これは珍しくしっかりしたネイビー。今回のような装いにマッチすると思い購入しました。やっぱりクラシックな装いにはSSなどのブレスレットより、レザーの方が馴染み良いように感じます」

ちなみにこの爽やかなコードレーン・スタイルは、軽いオン・ビジネスの時や、ちょっとかしこまったデートシーンを意識したもの。より正統派にということで、お次はさらにシックなタイドアップの王道スーツスタイルをご紹介いただきました。

知的な遊び心漂うソラーロ・スーツの装い

並木孝之 (株式会社アイネックス 商品戦略部部長)
▲ ソラーロ・スーツはウール製。異なるカラーの縦糸と緯糸にて織り上げたヘリンボーン生地であり、見る角度によって裏色が目立ち玉虫調の光沢を放つところがポイントです。別名“サンクロス”とも呼ばれ、太陽の季節にまさにピッタリな一着です。
「太陽輝く夏期の盛装として絶対に持っておきたい一着が、ソラーロのスーツです。シックでありつつ解放感をも兼備し、光の当たり方で表情を微妙に変えるスーツは、本当に洒落ています。

この一着はソブリンハウスで買いました。オーダーメイドではなく既製品の48サイズ。裕福でお洒落な人はスーツはオーダーメイドと言う人も多いのですが、僕は多くの人にクラシックスタイルを気軽に楽しんでもらいたいと思っています。だから誰でも購入しやすい吊るしのスーツを選んでいるのです。

ただし最近は、既製スーツでどこまでキレイに見せるかを追求するあまり、体型作りにまで追われていますけど(笑)」
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ロバート フレーザー ソラーロスーツ
▲ 今回選んだソラーロ・スーツはベージュ×オレンジ。そのカラーに合わせてネクタイもオレンジベース。シルク製でありブランドはロバート フレーザー。
ベージュ×オレンジのソラーロ・スーツに合わせ選んだオレンジのタイは軽妙なドット柄。小さめのノットにて締めつつ、やや小衿のタブカラーシャツを用いたVゾーンが、引き締まりつつもどこか遊びの雰囲気を感じさせます。

「確かにこの装いは正統派のスーツスタイルですが、フォーマルなどのシリアスなものではありません。サマーシーズン特有の季節感や開放的な要素、それに独自のダンディズムを入れ込んだコーディネートです。そしてソレは腕時計へと集約する組み立てですが、ソコは最後に説明します」
クロケット&ジョーンズ ローファー
▲ 足元はクロケット&ジョーンズのローファー。スムースレザーだと革の艶が少しばかり暑苦しく見えがちに。マットなスエードならば、さっぱりと涼しげ。
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細部にまで配慮を尽くしたダンディな夏の盛装。足元はスエードのローファーで固めます。

「あえてヌケ感を設けるため、シューズは気軽にはけるロファーをチョイスしました。ソラーロ・スーツとオレンジタイということで、シューズのカラーはブラウン。毛並み豊かなスエード素材の一足ゆえに、しっとりした色気と寛ぎも感じさせます」

パリの洒落感に軽妙な遊び心を託して

▲ ベージュベースのスーツにゴールドケース&ブラウンレザーのストラップが良く似合っています。生真面目なラウンド&バーインデックスではなく、カルティエらしい洒落感を備えた時計が、装いのテンションにマッチしています。
そして気になるのが腕元です。着こなしマスターがこのパッケージを仕上げるために選んだ一本は、カルティエのサントス。現行モデルであるサントス ドゥ カルティエ ウォッチの系譜に連なるヴィンテージ時計です。

「カルティエはタンクにしてもそうですが、パリのジュエラーならではの華やかなエレガンスが特徴です。スタイルに軽妙なエッセンスを添えたい時に、重厚なスイスブランドの時計よりも洒脱にマッチするように感じます。このサントスというモデルは、スクエアフォルムやビス留めスタイルのベゼルが特徴的。
ヴィンテージ カルティエ サントス
▲ ヴィンテージで購入したカルティエ サントスは金無垢ケース。パリのブランドらしい、得も言われぬ洒落感と色気が気に入っていると並木さん。前回のカジュアル編で登場したヴァアシュロン・コンスタンタンと同様に南青山のクロンヌにて購入したもの。
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同社ならではのローマンインデックスに華やかなギョーシェ、それにカボションとの組み合わせにより、非常に色気ある遊び心が腕元に備わる一本です。この時計が加わることで、コーディネートの意図がより明確になったと感じています」

いかがでしたか?  着こなしマスターの時計を含めたトータルスタイルは参考になったでしょうか。実は並木さんのコーディネートストーリーは、これでお終いではありません。取っておきの愛用時計を軸にしたスタイリングがあるのだそう。それはまた次の機会にご紹介したいと思います。
並木孝之 (株式会社アイネックス 商品戦略部部長)

● 並木孝之 (アイネックス 商品戦略部部長)

1970年生まれ。ネクタイを始めメンズウエアの卸業を展開するアイネックスにおいて、シーズンごとの戦略をまとめ実行に移す重要な部署を統括。取り扱いブランドのPRや、セレクトショップ等への営業活動も同時に行う。趣味は装うこととセルフブランディング。その一環としてスイミングやジョギングを継続的に行っている。

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