2017.06.28
花火にもトレンドがある?! 動画で見せます! 最新花火コレクション2017
- CREDIT :
監修/冴木 一馬(ハナビスト) 動画提供・NPO法人大曲花火倶楽部 取材・文/編集部
そう、じつは花火も年々進化していまして、なんと毎年「最新コレクション」の発表の場まであるのだとか! というわけで、2017年に注目すべき花火たちをハナビスト冴木氏の解説とともに動画でご紹介いたします!
3月の大曲は、全国の若手花火師たちが腕を競いにやってくる
ここには全国から選抜された若手花火作家がその年の新作を持ち寄り、ミラノかパリのごとくセンスと腕を競うそう。
使用する花火玉も決まっていて、4号玉(4寸)10発、5号玉(5寸)5発の合計15発。この15発の組み合わせで、1つのテーマを構成し、それをいかに表現するか、というかなりコンペティショナルな花火大会なのです。
この4号玉、5号玉を指定している理由は、全国的に最も多量に打ち上げられる鑑賞用花火の大きさだから、ということ。
とハナビスト冴木氏が語る通り、この地から数々の人気花火が生まれているんです。つまり、ここで評価の高かった花火がその年のトレンドになるというわけで、ハナビストオススメの新作花火を知っておけば、どんな花火大会にいってもちょっと通っぽく語れちゃう?
いままでにないオレンジが斬新な「真砂の花」
「花火師界で数々の伝説を残している、(株)紅屋青木煙火店の青木儀作氏のひ孫にあたる青木義祥氏の作品です。いままでにないオレンジの色が点滅し、一瞬消えた後、銀色に明るく輝く。その柳(最後に光が垂れていく状態)がとても幻想的で、素晴らしい作品です」
さまざまな彩りが美しい「ビードロ」
「加藤煙火(株)の加藤克典さんの作品。 彩度を強調した緑や紫色の八方咲き(はっぽうざき)は、まったく乱れがなく、形も非常に素晴らしい。タイトルにピッタリだとおもいます。八方咲きはその名の通り、四方八方に線を描いて飛ぶ花火で、近年人気です」
スピード感と色のバランスが絶品「虹色が織りなすグラデーション」
「近年ブームのスライド牡丹ですが、目で追うのにちょうどいい星(光の玉)のスピード感と配色の完成度がとても高いですね。曲導まで虹色にこだわるあたりも、作者の豊かな感性を感じさせます。ちなみに、スライド牡丹とは色を帯状に変化させるものですが、最近はさらに進化して様々な方向に変化するようになってきています。(株)齊木煙火本店の飯田茂雄さんの作品です」
優美なかたちにうっとりする「天空の孔雀」
「小さな花火が開花する、分花の段咲きから広がる紫を基調とした八方咲き。まさに孔雀が羽を広げたような優美さがあります。よくある組み合わせですが、これだけの完成度のものは珍しいですね。(株)北日本花火興業の今野貴文さんの作品です。ここは、カタモノのトップクラスの花火師です」
江戸の風情をよみがえらせた「朧朧と褐色に枝垂れる」
「一般的に江戸時代の金属化合物を使用しない赤い花火を、和火(わび)と呼ぶのですが、今では本来の色が中々作れないんです。その和火を濃度の違う色味で仕上げ、基本に忠実な江戸の風情をよみがえらせているところが素晴らしいですね。(有)伊那火工 堀内煙火店の氣賀澤文平さんは大人気の花火師で、各地で引っ張りだこの存在です」
ジャパンブルーにこだわったシックな作品「藍燦燦」
「近年、都市部は明るいので、中間色を使った明るい花火が増えています。そんななか、昔ながらのダークな色味の花火を作るのは、とても難しいんです。(有)岸火工品製造所の岸洋介さんの作品ですが、氏は立体のハートの花火を作ったことでも有名な方です」
その花火には職人たちの熱い思いが詰まっていたのでした
毎年腕利きの花火師たちが発表する「新作」。そこには日本の花火の伝統と、常に技術とセンスを研き続ける花火師たちの思いが詰まっていました。
そんなことを知っていると、いつもの花火大会が少し違って見えてくるかもしれないですね。
● 冴木一馬
写真家。世界を股にかけ花火を撮り続けて30年。撮影だけでなく、花火の歴史や民俗文化をも調査・研究し、花火のことならなんでもござれ、花火師の資格まで有する日本唯一の“ハナビスト”。山形県出身。http://www.saekikazuma.com/
写真集『花火』光村推古書院刊
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A4判 オールカラー96頁
ソフトカバー 本体2400円
ワンシャッター、多重露出をおこなわず、花火本来の姿をとらえることにこだわりぬいたハナビスト冴木一馬による花火写真集。