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2025.11.12

V12エンジンを諦めない! 世界50台の限定車メルセデス・マイバッハ V12エディション

2025年9月23日、イタリア・ローマの港湾都市、チヴィタヴェッキアにあるミケランジェロ要塞にて、メルセデス・マイバッハ Sクラスをベースとした世界で50台の限定車「メルセデス・マイバッハ V12エディション」が発表された。電動化を進める一方で、V12エンジンにもこだわる、メルセデスの最新の戦略について考察する。

BY :

文/藤野太一(自動車ジャーナリスト)
CREDIT :

写真/Mercedes-Benz Group 編集/森本 泉(Web LEON)

2030年までV12エンジンの継続生産を明言

世界50台の限定車メルセデス・マイバッハ V12エディション
V12エンジンはいまや絶滅危惧種である。BMWが生産を終了し、そしてベントレーも昨年同じく12気筒のW12エンジンの生産を終えた。国産車では唯一V12を搭載していたセンチュリーも現行型ではエンジンをV8+ハイブリッドへと置き換えている。

メルセデス・ベンツのラインアップにおいてもV12エンジンを搭載するモデルはない。メルセデスAMGも同様だ。現在はメルセデス・マイバッハにのみ存在する。

そもそもV12エンジンとは、振動が少なく静かで滑らかな特性をもっており、そのため長くラグジュアリィカーに採用されてきた歴史がある。一方で、近年の電動化の流れの中で、静かさや滑らかさを追求するなら内燃エンジンよりモーターのほうが効率的だという声もでてきた。そうしてラグジュアリィーなBEVが登場しているわけだが、どうやら世界の富裕層はそれを望んでいないようだ。
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ある意味では時計の世界に似ているかもしれない。時間の正確性を追求した結果クォーツがあらわれた。いまではマルチタスクをこなすスマートウォッチが主流だ。それでも機械式時計は世界中で支持され続けている。V12エンジンは機械式時計におけるトゥールビヨンのようなものといえるかもしれない。

実は9月に行われたIAA(ミュンヘン国際モーターショー)でメルセデスは、V12エンジンの生産を排ガス規制が許す限り2030年までは継続することを明言した。この傾向はスーパーカーブランドでもみられ、フェラーリ、ランボルギーニもV12エンジンの生産継続を発表している。

1930年代にはじまるV12エンジンのヘリテージを継承

フロントボンネット内に、6リッターV12ツインターボエンジンを搭載。最高出力612PS、最高トルク900Nmを発生する。
▲ フロントボンネット内に、6ℓV12ツインターボエンジンを搭載。最高出力612PS、最高トルク900Nmを発生する。
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メルセデス・マイバッハには、V12エンジンを搭載するメルセデス・マイバッハ S 680というモデルが存在する。「メルセデス・マイバッハ V12エディション」はそれをベースに特別な仕立てを施した世界50台の限定車だ。

メルセデスがあえて車名にV12とつけたのは、これからも生産を続けていこうという意思表示ととれるかもしれない。ちなみにブランド名にあるマイバッハとは、メルセデス・ベンツの生みの親のひとり、ゴットリープ・ダイムラーとともにエンジンの研究を行っていたヴィルヘルム・マイバッハが1909年に創業したエンジン製造会社「マイバッハ・モトーレンバウ」をルーツとする。

V12エンジンの製造で名をはせ、その後は高級車メーカーとしても広く知られるようになる。マイバッハ社は1960年代にダイムラー・ベンツの傘下となり、そして2000年代に入ってふたたびメルセデス・ベンツの最上級ブランドとしてその名は復活をとげた。したがってV12エンジンはマイバッハにとって象徴といえるものなのだ。
メルセデス・マイバッハCEOのダニエル・レスコウ氏。
▲ メルセデス・マイバッハCEOのダニエル・レスコウ氏。
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発表会に登場したメルセデス・マイバッハCEOのダニエル・レスコウ氏は、次のように述べた。

「V12エンジンは自動車工学における最高峰であり、マイバッハのエンジニアの真の意味でのこだわりなのです。今日、私たちは最高のクラフトマンシップと究極のテクノロジーを結集したモデルを発表します。1930年代のマイバッハ・ツェッペリンモデルの精神的後継車ともいえる、V12エンジンを称えるモデルなのです」

ツェッペリンは、ドイツ車として初めてV12エンジンを搭載したモデルであり、そのヘリテイジを受け継ぐモデルとしてこの限定車がつくられたというわけだ。ビスポークプログラムであるMANUFAKTURを通じて、細部に至るまでゴージャスに仕立てられている。
マイバッハのルーツともいえる1930年代のマイバッハ・ツェッペリン。
▲ マイバッハのルーツともいえる1930年代のマイバッハ・ツェッペリン。
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このマイバッハ・ツェッペリンをもとに限定車専用エンブレムを再現。
▲ このマイバッハ・ツェッペリンのボンネットオーナメントをもとに限定車専用エンブレムを再現。

ふんだんに盛り込まれた職人による手作業工程

印象的なエクステリアペイントは、ボディ上部はオリーブメタリック、下部はオブシディアンブラックメタリックのツートンカラーとなっており、職人の手作業によってハイテクシルバーメタリックのピンストライプが配されている。これら塗装工程だけで最大10日間もの時間を要する。これは、マイバッハの通常のツートンカラーの2倍に相当するという。
Cピラーに配された限定車V12エディション専用のエンブレム。メダル部分は24金製。
▲ Cピラーに配された限定車V12エディション専用のエンブレム。メダル部分は24金製。
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5穴の鍛造ホイールもボディ上部と同様のオリーブメタリックとなり、CピラーにはV12エディション専用のマイバッハエンブレムが備わる。

クロームのマイバッハのダブルMエンブレムとゴールドのメダルを組み合わせたもので、メダルにはマイバッハ・ツェッペリンDS 8のボンネットオーナメントへのオマージュとして、大きく「12」の数字が刻まれている。メダルは24金製で、12の周囲にはV字パターンの、12分割されたリング部分にはダイヤモンド型のエングレービングが施されている。
ショーファーカーといえども運転席ももちろんゴージャスなもので、ナッパーレザーやバーウォールナットウッドトリムをふんだんに使用する。
▲ ショーファーカーといえども運転席ももちろんゴージャスなもので、ナッパーレザーやバーウォールナットウッドトリムをふんだんに使用する。
インテリアでは、MANUFAKTUR限定のサドルブラウンのナッパレザーと、ステアリングホイールまで一連のものとして、ハイグロスブラウンのバーウォールナットウッドトリムが組み合わされている。
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ダイヤモンドキルティングのサドルブラウンルーフライナー、スペシャルエディションの刺繍、そしてフロントのセンターコンソールには「1 of 50」バッジが、リアのセンターコンソールにはゴールドのインレイがあしらわれている。このインレイは職人の手により最長7日間にも及ぶ時間をかけてつくりあげられるという。
職人の手作業によってリアセンターコンソールにあしらわれたゴールドのインレイ。まさに工芸品。
▲ 職人の手作業によってリアセンターコンソールにあしらわれたゴールドのインレイ。まさに工芸品。
オットマン付きのリアシートには専用のロブ&バーキング社製シルバーメッキシャンパングラスなどが備わっている。
▲ オットマン付きのリアシートには専用のロベ&バーキング社製シルバーメッキシャンパングラスなどが備わっている。
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また、V12エディション専用の彫刻が施されたロベ&バーキング社製シルバーメッキシャンパングラス、インテリアコンセプトにマッチしたサドルブラウンの縁取りが施されたトランクマット、ジンデルフィンゲンにあるMANUFAKTURにおいて手作業で仕上げられたキーホルダーなど、特注アクセサリーが付属する。

エンジンは、排気量5980ccのV12で、最高出力450kW(612hp)、最高トルク900Nmを発生。トランスミッションは9G-TRONICを組み合わせる。駆動方式はAWDで、0-100km/h加速は4.5秒、最高速度は電子リミッター付きのため250km/hとなっている。

快適性を高める装備としては、電動コンフォートリアドア、静粛性をさらに高めるアクティブロードノイズキャンセレーション、リアアクスルステアリング、そして乗り心地と俊敏性を向上させるE-ACTIVE BODY CONTROLアクティブサスペンションなどを装備する。
現在マイバッハのラインアップは、マイバッハS680をはじめ、マイバッハGLS、マイバッハEQS SUV、マイバッハSLの4車種がある。
▲ 現在マイバッハのラインアップは、マイバッハS680をはじめ、マイバッハGLS、マイバッハEQS SUV、マイバッハSLの4車種がある。
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発表会ののち、この限定車ではないが12気筒エンジンを搭載したS680に試乗する機会を得た。あわせてBEVのマイバッハEQS SUVにも試乗したが、やはりS680は別格だった。圧倒的になめらかなで、滑るように走る。トルクの出かたもアクセル操作に応じてじわじわと湧き出してくるようでモーターのそれとは力感が異なる。どちらかを選んでよいと言われたなら間違いなくV12を選ぶ。

メルセデス・マイバッハ V12エディションは一部市場でのみ販売され、2025年秋より納車を開始。日本市場への導入も予定されている。

Mercedes-Maybach V12 Edition

全長×全幅×全高/5469×1921×1510mm
ホイールベース/3396mm
車両重量/2365kg
エンジン/5980cc V12気筒ツインターボ
最高出力/612PS/5250-5500rpm
最大トルク/900Nm/2000-4000rpm
トランスミッション/9速AT
駆動方式/4WD
乗車定員/4

公式サイト
https://www.mercedes-benz.co.jp

藤野太一(自動車ジャーナリスト)
大学卒業後、自動車情報誌「カーセンサー」、「カーセンサーエッジ」の編集デスクを経てフリーの編集者兼ライターに。最新の電気自動車からクラシックカーまで幅広い解説をはじめ、自動車関連のビジネスマンを取材する機会も多くビジネス誌やライフスタイル誌にも寄稿する。またマーケティングの観点からレース取材なども積極的に行う。JMS(日本モータースポーツ記者会)所属。写真/安井宏充

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