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2025.07.09

【試乗リポート】アウディの大本命「Q6 e-tron」。EV食わず嫌いの方もぜひお試しあれ!

2020年に国内販売が始まったアウディのEVシリーズ「e-tron」。Q4とQ8のあいだを埋めるミッドサイズSUVの「Q6 e-tron」が日本に上陸した。アウディのEVラインアップにおいて大本命ともいえるモデルの出来栄えやいかに。

BY :

文/藤野太一(自動車ジャーナリスト)
CREDIT :

文/藤野太一 写真/アウディ ジャパン

アウディとポルシェが共同開発した新プラットフォームを採用

現在のアウディのEVラインアップは、コンパクトSUVの「Q4 e-tron 」、ラージSUVの「Q8 e-tron」、スポーツサルーンの「e-tron GT」によって構成されている。
ラインアップはQ6 e-tronの2WDとAWD仕様。そして高性能版のSQ6 e-tronがある。本国ではクーペスタイルのQ6 Sportback e-tronも発表済みで追って日本にも導入予定。
▲ ラインアップはQ6 e-tronの2WDとAWD仕様。そして高性能版のSQ6 e-tronがある。本国ではクーペスタイルのQ6 Sportback e-tronも発表済みで追って日本にも導入予定。
そのQ4とQ8のあいだに位置するミッドサイズSUVが「Q6 e-tron」。プラットフォームは、アウディとポルシェによって新たに共同開発された電動車専用の「PPE(プレミアムプラットフォームエレクトリック)」を採用する。アウディにとってはPPEを使った初の市販モデルとなる。内燃エンジン車のアウディQ5とポルシェマカンがプラットフォームを共用する姉妹車であったのと同様に、このQ6 e-tronとポルシェマカンのEVも姉妹関係にあたる。
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アウディとポルシェが共同開発した新プラットフォーム「PPE」を採用するアウディ「Q6 e-tron」(右)とポルシェマカンEV(左)。
▲ アウディとポルシェが共同開発した新プラットフォーム「PPE」を採用するアウディ「Q6 e-tron」(右)とポルシェマカンEV(左)。
ちなみに最新のプラットフォームに求められる要件は、運動性能の向上はもとより、コネクティビティをはじめデジタル化を推し進める電子アーキテクチャーとの組み合わせが重要な鍵を握る。このQ6 e-tronでは、5基の高性能コンピュータによってインフォテイメントや安全運転支援機能、駆動配分をはじめとする車両ダイナミクスなどあらゆるものが統合制御されている。
アウディが得意とするライティング技術も最新のものが駆使されている。フロントのアクティブデジタルライトおよびデジタルOLEDリヤライトは8つの配光パターンから好みに応じて選択できる。
▲ アウディが得意とするライティング技術も最新のものが駆使されている。フロントのアクティブデジタルライトおよびデジタルOLEDリヤライトは8つの配光パターンから好みに応じて選択できる。
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リアライトは緊急時に三角停止板をライト内部に表示することも可能。
▲ リアライトは緊急時に三角停止板をライト内部に表示することも可能。
ボディサイズは全長4770mm、全幅1940mm、全高1670mm、ホイールベース2895mm。ちなみにマカンEVは全長4784mm、全幅1938mm、全高1623mm、ホイールベース2893mmと全高以外は近い寸法となっている。Q6 e-tronには今後クーペスタイルの「Q6 e-tron Spotrback」が追加される予定で、そちらはもう少し全高が低くなるようだ。
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ChAdeMO方式として国内最大出力の150kW充電器を利用した場合、最大135kWの急速充電に対応。約35分で10%から80%まで充電が可能。8kWのAC充電にも対応する。
▲ ChAdeMO方式として国内最大出力の150kW充電器を利用した場合、最大135kWの急速充電に対応。約35分で10%から80%まで充電が可能。8kWのAC充電にも対応する。
エクステリアでは穴のあいていない閉じたシングルフレームグリルがEVであることの証。いわゆる目にあたる部分にあるのはLEDのデイタイムランニングライトで、その真下に配置された四角いユニットがヘッドライトだ。

そして、アウディの伝統的なデザイン要素のひとつである “quattro(クワトロ)ブリスター” によって四輪のフェンダーの力強さを強調している。
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自然なドライブフィール、取り回しやすさなど幅広いユーザー層にマッチ

ステアリングはトップとボトムがフラットな形状のもの。一体となった11.9インチのバーチャルコックピットと14.5インチのタッチスクリーン。助手席用の10.9インチスクリーンも設定。インテリア各部にリサイクル素材を使用したレザーフリーシートをオプション(S lineパッケージ)設定。
▲ ステアリングはトップとボトムがフラットな形状のもの。一体となった11.9インチのバーチャルコックピットと14.5インチのタッチスクリーン。助手席用の10.9インチスクリーンも設定。インテリア各部にリサイクル素材を使用したレザーフリーシートをオプション(S lineパッケージ)設定。
センタートンネルのないフラットフロアで後席の足元も広い。通常時のトランク容量は526 ℓ、長尺ものの搭載にも適した4:2:4分割可倒式を採用し最大1529ℓまで拡大。
▲ センタートンネルのないフラットフロアで後席の足元も広い。通常時のトランク容量は526 ℓ、長尺ものの搭載にも適した4:2:4分割可倒式を採用し最大1529ℓまで拡大。
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インテリアは、最新世代のアウディの流れを汲むもので、乗員を包みこむようにデザインされている。シートの一部にリサイクル素材を用い、またレザーフリーシートをオプションで用意するなど、生産から製品に至るまで持続可能性へ積極的に取り組むアウディらしさがみてとれる。

アウディはドイツ本社のインゴルシュタット工場においてすでにカーボンニュートラルな生産を開始しており、Q6 e-tronも再生可能エネルギーによってつくられた電気を使用して製造されている。

ラインアップは2WD(後輪駆動)のエントリーモデル「Q6 e-tron 」、4WDの「Q6 e-tron quattro 」、ハイパフォーマンスバージョンの「SQ6 e-tron」の3種類がある。

試乗車は4WDのQ6 e-tron quattroでオプションのアダプティブエアサスペンション装着車だった。フロントアクスルとリアアクスルそれぞれに計2基のモーターを搭載。駆動システムは最高出力285kW(387PS)、最大トルク580Nmを発生。総電力量100kWhのリチウムイオンバッテリーによって、一充電走行距離は644km(WLTCモード)を実現する。
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モーターは瞬時にトルクが立ち上がる特性があり、アクセル操作に対して過敏に反応するEVもみられるが、Q6 e-tronの発進はいたってスムーズで違和感もなく、速度があがるにつれて風切り音やタイヤからのノイズも低く抑えられていることが伝わってくる。

ステアリングのグリップは細身で、街中での取り回しやすさを考慮したパワーアシストのセッティングになっている。ずっしりとしたまるでスポーツカーのような手応えのマカンとは明らかに異なるキャラクターで、ファミリー層などより広いユーザーにマッチするものだ。

試乗車は20インチの大径タイヤを装着していたが、とてもスポーツタイヤとは思えないほど快適な乗り心地で、これはオプションのエアサスの効果が大きいだろう。ぜひつけたい装備のひとつだ。

走行モードのデフォルトは「バランス」で、「ダイナミック」では操舵感もダンパーの減衰力もスポーティに、わかりやすく変化を感じる味付けになっていた。また車高をアップし駆動力配分を最適化する「オフロード」モードも用意されている。
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充電設備の拡充、充電時間の短縮。改善が進むEV環境

回生ブレーキはステアリングの左側に備わるシフトパドルを使ってレベル調整が可能。回生せず惰性で走行するコースティングやBモードでのワンペダルフィールも選べる。それ以外にもAUTOモードがあり、交通量の多い市街地では前走車との車間距離をみながら自動調整してくれる。実際のところ制動の約95%はエネルギー回生によって行われるため、ブレーキパッドは減らないし、ホイールが汚れないのもうれしい点だ。
厚木南ICより約1分の「Audi 厚木」の敷地内にオープンした「Audi charging station厚木」。150kWの急速充電器が2基設置されている。
▲ 厚木南ICより約1分の「Audi 厚木」の敷地内にオープンした「Audi charging station厚木」。150kWの急速充電器が2基設置されている。
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高速道路メインにおよそ2時間試乗をしての平均電費は5.9km/kWhだった。一充電で550kmくらいは走行できる計算になるが、リアルワールドでこれくらい走れば日常ユースで困ることはほぼないだろう。

いまアウディはポルシェ、VWとともにPCA(プレミアムチャージングアライアンス)という各ブランドのディーラーネットワークおよび都市部に展開する、最大150 kWの急速充電器ネットワークを利用できる充電サービスを展開しており使い勝手が高まっている。

アウディは独自の充電施設にも積極的に投資しており、東京の紀尾井町と芝公園に「Audi charging hub」をオープン。また郊外型としては新東名高速道路 厚木南ICより約1分の「Audi 厚木」の敷地内に24時間365日利用可能な「Audi charging station厚木」をオープンしている。これらはアウディオーナーのみならずすべてのEVユーザーが利用可能となっている。

一度、150 kWの急速充電器の速さを体験すれば、EVの充電には時間がかかるという既成概念も覆されるはず。食わず嫌いという方もそろそろEVぜひ一度お試しあれ。
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車両価格は、エントリーモデル「Q6 e-tron」が839万円、4WDの「Q6 e-tron quattro 」が998万円、ハイパフォーマンスバージョンの「SQ6 e-tron」が1320万円。
▲ 車両価格は、エントリーモデル「Q6 e-tron」が839万円、4WDの「Q6 e-tron quattro 」が998万円、ハイパフォーマンスバージョンの「SQ6 e-tron」が1320万円。
藤野太一(自動車ジャーナリスト)
大学卒業後、自動車情報誌「カーセンサー」、「カーセンサーエッジ」の編集デスクを経てフリーの編集者兼ライターに。最新の電気自動車からクラシックカーまで幅広い解説をはじめ、自動車関連のビジネスマンを取材する機会も多くビジネス誌やライフスタイル誌にも寄稿する。またマーケティングの観点からレース取材なども積極的に行う。JMS(日本モータースポーツ記者会)所属。写真/安井宏充

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