2025.05.21
【試乗リポート】ラストオーダー迫る! BMWアルピナの最終モデルB3 GT& B4 GTを味わい尽くす
BMWの協力のもと約60年にわたって独自のモデルをつくり続けてきたアルピナが今年大きな転機を迎える。2025年末をもってアルピナブランドはBMWグループへと譲渡され、現アルピナ社が開発を手掛ける“BMWアルピナ”は終焉を迎える。その最終モデルとなる「B3 GT」と「B4 GT」を試した。
秘伝のレシピによって生み出されてきた“BMWアルピナ”

ドイツミュンヘン西部、ブッフローエに本拠を置くアルピナ社。正確にはアルピナ・ブルカルト・ボーフェンジーペン有限/合資会社は、BMWの協力のもとエンジンやボディの提供をうけ、それをベースに“アルピナ・マジック”と称されるボーフェンジーペン家に伝わる秘伝のレシピによって独自の“BMWアルピナ”を生み出してきた。その集大成となるのが今回試乗した「B3 GT」と「B4 GT」である。



300km/hで巡航することを見据えて空力テストが行われており、その結果B3 GTとB4 GTとでは異なるデザインのカナードを備えている。さらに新デザインのリヤディフューザーと組み合わせることで、トータルとしてのエアロダイナミクス性能を高めている。

ちなみにM3/M4の最高出力は530PS、最大トルクは650Nm。最高出力を追い求めるのではなく、トルクを増強しドライバビリティを高めるのがこれまで同様にアルピナの流儀だ。

トランスミッションは8速ATだが、これも出力向上にあわせて高トルク対応型へと変更されている。そっとアクセルに力を込めるとぐっとトルクが立ち上がり、そしてスムーズで途切れることのない波に乗るようなフィーリングを市街地から高速道路までさまざまなシーンで味わうことができる。


足回りの絶妙な味付け。これぞアルピナ・マジック

このGTでは従来モデルよりもメリハリのあるセッティングになっているように感じた。「スポーツ」か「コンフォート」か「コンフォートプラス」か(他にもスポーツプラスやインディビデュアルなどもあるが)、その日の気分や走行するシーンに合わせて走行モードを変えてみるのも楽しい。




レストラン“アルピナ”のラストオーダーはもう間もなく
一方で押し出しの強いキドニーグリルを備えた「B4 GT」はそのルックスともあいまってよりスポーティな味付けとなっている。ひとつの歴史の最後を飾るにふさわしい華のあるモデルといえるだろう。

ドイツの小さな自動車メーカーが仕立てる、酸いも甘いもよく知る自動車グルメのための逸品。レストラン“アルピナ”のラストオーダーの時間はもう間もなくです。
