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2023.04.30

ジョン・レノンとプールで挨拶。これが昭和のバブルライフ⁉

令和の不景気な世の中からは想像もつかない昭和のキラキラした日々。すべてが右肩上がりで勢いを増していたあのバブル期に、筆者が経験した数々の思い出のなんと豪華で華々しいことよ。いやぁ、すごいです!

CREDIT :

文/岡崎宏司(自動車ジャーナリスト) イラスト/溝呂木 陽

岡崎宏司の「クルマ備忘録」連載 第208回

僕のバブル期!?

Alpine A110 Renoult 5 Turbo1 イラスト illustration
僕のバブル期!? は2度ある。第1期は、60年代前半の数年。第2期は、世のバブル期と重なる80年代後半から90年代前半。

高校の3年間はオートバイに取りつかれていた。学校以外の時間は走り回っているか、オートバイ仲間と一緒にいるかのどちらか。

夜もハンバーガーインに集まって、オートバイの話に熱中した。

ハンバーガーインといえば、六本木店が有名だが、僕たちが集まったのは青山店。店の前の歩道にバイクが置きやすく、長時間粘っても大丈夫だったからだ。

そんなことで、GFと遊ぶ時間もほとんどなかった。ほぼ、オートバイと男だけ、、そんな高校時代だった。

ところが、大学に入ると同時に日常は一変。オートバイ仲間は、将来に向けてそれぞれの道を歩き始めた。

そんな矢先に家内と出会った。大学1年、19才の時だ。すぐ交際は始まり22才で結婚。

僕は青山学院大学から日大芸術学部に入り直したので、2年余計大学に通っている。だから、学生結婚ということになる。
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家内は家業を手伝い収入はあったが、僕はなく親頼みの生活。だが、双方の親はそんな我儘を許してくれた。それだけではなく小遣いまでくれた。今も感謝している。ちなみに、この時期のクルマはMGAとMGBだった。

当時の家は千駄ヶ谷。なので、青山、新宿、赤坂、六本木、銀座、、どこも近かった。とくに、赤坂、六本木ではよく遊んだ。

家内の親が遊び好きだったので、夜の赤坂や六本木にもよく連れて行ってもらった。

レストランは、六本木のキャンティとかシシリア。ナイトクラブは、赤坂のラテンクォーターやコパカバーナによく連れて行かれた。

遊び好きの親でラッキーだった。それに、お金は払ってくれるが干渉はなし。親たちは親たちで、われわれはわれわれで楽しむ、、そんなありがたい無言のルールがあった。

ホテルオークラ、帝国ホテル、パレスホテル、、ホテルにもよく連れて行かれたが、親のいちばんのお気に入りはホテルオークラ。母親はプールの会員で、毎日のように通っていたが、家内がそれに付き合っていた。

そんなある日、プールサイドで一休みしていた家内を、少し離れたところから、「ちょっとこっちに来て!」と母親が手招き。

で、行ってみると、そこにはジョン レノンが、、。ビックリしていると、母親はあっけらかんとして「紹介するわね。こちらジョンさんよ、ジョンさん!」と、、。で、ジョン レノンはニッコリ会釈してくれたそうだ。

要は、母親、、「ジョンさん」が何者か、「ビートルズ」がどんな存在なのか、、まったく知らないし興味もない。そこらにいる外国人と同じ存在でしかないのだ。
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そんな母親の態度に、逆に、ジョン レノンも気を許し、好感を抱いていたのだろう。

家内は緊張しまくって挨拶を交わしたようだが、母親は、紹介し終わると、「ジョンさん、またね!」と、プールへドボン。

当時は運転手がいたが、僕が一緒の時は僕が運転手を務めた。僕はお酒を飲まない(飲めない)ので、夜遊びの運転手もよくやった。

一度だけだが、祇園での舞妓さん遊びにも連れて行ってもらった。

1964年、24才で大学を卒業。出版社に就職したが、仕事は忙しく給料は安かった。でも、家内の親のおかげで、週末など、バブリーな生活は続いた。

そんな、親頼みのバブルの謳歌は、1965年、25才のクリスマスを迎えた辺りで終わった。なぜ終わったのかというと、、子供ができたから「終わらせた」のだ。

そう、子供ができてからの生活は、一気に真っ当なものへと変わった。クルマもスポーツカーから、小型の4ドアへ替えた。

僕は仕事に全力投球。将来への基礎づくりに務め、27才でフリーランスに。そして、キャリアは順調に、、いや想像以上、期待以上に加速していった。ありがたいことだった。

さて、ここからは、「僕のバブル期 !?」第2期に話を進める。

上記のように、第2期は世のバブルと同じ80年代後半から90年代前半で重なっている。

年齢でいえば40才代後半から50才代前半といったことになる。

この時期は収入も多く、浮かれた世の中にシンクロして、僕もかなり浮かれていた。

10本くらいの連載を持ち、メーカーや代理店関係の仕事も多かった。文字通り、日々フル回転状態だった、でも、充実していた。辛いと思ったことなどなかった。
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息子が18才になった時には、海外での運転を経験させようと家族で欧州ドライブの旅へ。

ミュンヘンでアウディ200 クアトロをピックアップ。シエナで折り返す長旅の間、半分以上の運転を息子に任せた。

ミュンヘンからアウトバーンに入り、いきなりハンドルを渡した時はさすがに緊張していた。だが、すぐ慣れた。怖がって、後席で緊張しまくっていたのは母親だけだった。

息子の大学生活が終わるタイミングでは、LAからサンディエゴを往復する「カリフォルニアの旅」をした。クルマはキャディラック フリートウッド。

この数年前にも、コルベットで独りカリフォルニアを旅したが、「アメリカの旅はアメリカ車がいい!」とつくづく思った旅だった。

この期を境に家内と二人だけの海外旅行が増え、毎年1~2度行くのが恒例に。日頃の忙しさから解放される唯一の手段でもあった。

だから、旅の間は一切原稿は書かないことに、、。ホテルはもちろん飛行機の中でも。

いくら忙しくても、このルールは守った。守れるようにしっかり事前に調整した。

プライベートの旅だけではなく、仕事での旅でも同じ。このルールのおかげで、仕事の旅であっても、楽しめるようになった。

年に1~2度の家内との海外の旅は2019年まで続いたが、コロナで途切れた。以来、3年半以上海外には出ていない。でも、今年のクリスマスシーズンには復活させるつもりだ。

この時期のわが家のクルマは、ポルシェが930と964、デイムラーダブルシックスが2台、加えて、息子用のシビックSiとCR-X Si、といった陣容を乗り継いだ。
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シビックSiとCR-X Siは、共にホンダがライトチューンを施してくれたもので、素晴らしく気持ちの良い走りを楽しませてくれた。

ポルシェ930にはあれこれ不満はあったが、964には大満足だった。日々の足としても気楽に乗れたし、箱根も楽しかった。

デイムラーダブルシックスのエレガントな容姿と、強力でありながら粛々とした走りには虜になった。なので、91年モデルの後、93年モデル(最終モデル)に買い替えた。

家内は、「デイムラーはいいけど、格が高すぎて私にはまったく似合わない」といって、ほとんど運転しなかったが、、。

当時は賃貸マンションに住んでいた。深くは考えていなかったが、「ずっと賃貸でもいいか、、」といった意識だった。

ただし「4台分の駐車場がほしい!」という願望はけっこう強かった。賃貸マンションでは実現不可能な願望だ。

そして、、それを知っていた業者が持ち込んできた一軒家を買うことに。これで、「4台分の駐車場願望」は叶えられた。

しかし、、自分の好みで建てた家ではないので、時間と共に気に入らないところがでてきた。あれこれ手を加えたのだが、どうにも落ち着けない。

そんなことで、4年後には土地を買って家を建てることに。この2軒の家、、これが、バブル期最後の大きな買い物、、いや、「人生最後の大きな買い物」になった。

でも、「最後の大きな買い物」はとてもいい買い物だった。

賃貸生活の時は「行き当たりばったり」感の強い暮らしだったが、定住地が家が決まったことで、安定感のある暮らしに変わった。

最後の着地がよかったことで、「僕のバブル期はハッピーだった!」と振り返ることができる。ありがたいことだと思う。

● 岡崎宏司 / 自動車ジャーナリスト

1940年生まれ。本名は「ひろし」だが、ペンネームは「こうじ」と読む。青山学院大学を経て、日本大学芸術学部放送学科卒業。放送作家を志すも好きな自動車から離れられず自動車ジャーナリストに。メーカーの車両開発やデザイン等のアドバイザー、省庁の各種委員を歴任。自動車ジャーナリストの岡崎五朗氏は長男。

フィアットカフェ松濤溝呂木陽水彩展2023春

溝呂木先生の春の個展開催!

本連載のイラストを手がけている溝呂木陽先生の個展が開催されます。ルマンクラシックとパリの女性たちの水彩画、模型、個人模型雑誌や画集などを展示販売。在廊日は水彩画実演も行うそう。ぜひチェックを!

「フィアットカフェ松濤溝呂木陽水彩展2023春」
会期/2023年4月15日(土)〜30日(日) 10〜18時
   入場無料 火曜金曜定休
在廊日/4月22日、29日、30日(水彩画実演あり)
場所/フィアットカフェ松濤
住所/東京都渋谷区松濤2丁目3-13
お問い合わせ/03-6804-9992
HP/https://www.instagram.com/fiatcaffe_shoto/

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