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2023.04.02

同じ日本とは思えない! 筆者が体験した驚愕のバブル時代とは?

前回に続きバブル時代のお話。デートカーキングに君臨したソアラは夜の六本木でいかにモテたのか? そして当時の筆者を取り巻く人々がバブルの恩恵を受けいかにハチメチャな日々を送っていたのか。同じ日本とは思えない驚愕のエピソードが炸裂です!

CREDIT :

文/岡崎宏司(自動車ジャーナリスト) イラスト/溝呂木 陽

岡崎宏司の「クルマ備忘録」連載 第206回

デートカー キング ソアラ、そしてバブルの思い出  

ポルシェ テスラ アウディ メルセデスベンツ イラスト
バブル期のデートカー、、前回はホンダ プレリュードとニッサン シルビアを主役に話を進めたが、今回は、デートカーキングの名をほしいままにした、ソアラを中心に話をする。

プレリュードとシルビアは、価格の手頃感も人気の理由になった。でも、ソアラは違う。

ソアラはいわゆる「高級車」であり「高価格車」だが、それも人気の理由になった。つまり、ソアラに乗っている男は金持ち。だから女性にモテる、、といった図式である。

ちなみに、もっとも人気のあった2代目ソアラの価格は、237.2〜489.6万円。かなり幅があるものの、ほしいのは当然上級モデル。だから、高額出費は覚悟しなければならない。

となると、かなり恵まれた環境にいない限り若者には手が出ない。そこで、30~40才代の登場ということになる。若い人たちからみれば「おやじ」に分類される年齢層だ。

僕は当時40代。当然、遊び仲間も同年代が多かったが、3人がソアラのオーナーになった。かなり高い確率だ。で、3人ともが輸入車からの買い替えだったといえば、ソアラ人気のヒート度合いもわかろうというもの。
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それでモテたのかどうか、、ハッキリしたことはわからない。もしモテたとしても「おやじ」だから、口ごもりながらニヤリとするくらいの反応しかしないだろう。

でも、男女の別なく、「ソアラにお乗りなんですね!」と声をかけられたことは多かったようだ。ま、それだけで満足したおやじも少なくなかったに違いない。

それにしても、ソアラ(とくに2代目)はほんとうにカッコよかったし、輝いていた。いや、今見てもカッコいいし、風格を感じさせる。300万円超はザラといった中古車価格にも、衰えない人気ぶりは示されている。

そんなソアラのライバルの座を狙って日産が送り出してきたのがレパード。

レパードは、1980年、「高級パーソナルカー」として誕生している。、、が、ここでピックアップするのは、1986年にフルモデルチェンジした2代目。2ドアボディに絞ってスペシャルティカー路線を明確にしたモデルだ。

スカイラインと共有するプラットフォームに載せた2ドアクーペ ボディ、、そのシルエットは伸びやかできれいだった。

しかし、全体に見て、ソアラのような際立った存在感、、オーラがなかった。

同じことはインテリアにもいえた。ソアラのインテリアに触れた人のほとんどは、レパードのそれに物足りなさを感じたに違いない。

夜の六本木通りは大渋滞が常態化していたが、そんな中で、ソアラ、、中でも「白いソアラ」の存在感は半端ではなかった。

バブルのピーク時、、ソアラ人気のピーク時に僕が乗っていたのは、ポルシェ 964とデイムラー ダブルシックス。かなりバブルっぽいコンビネーションではあった。
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僕は、ソアラやレパードを借り出し、夜の六本木取材!? を度々行った。そして、「花の女子大生」を中心にした若い女性へのモテ度をも探った。

しかし、、レパードはもちろん、964にしてもダブルシックスにしても、夜の六本木でのモテ度はソアラの敵ではなかった。

ただし、集まる人たちの平均年齢が若い六本木ではなく、平均年齢がグンと上がる夜の銀座となると状況は変わる。964やダブルシックスのモテ度はポンと上がる。

六本木では「旬」であることがなにより大切なのだが、銀座では年輪や伝統がもたらす価値をもみる人が多くなるということ。

僕は銀座も好きだったが、若くて新しくて生き生きした六本木も好きだった。だから、ソアラブームは理解できたし、ソアラも好きだった。、、が、幸か不幸か、40代という年輪ゆえだろう。時代の波には流されなかった。

ところで、バブル期って、どんな「ハチャメチャぶり」だったのか、、その辺りのことも、具体的事例を挙げてご紹介しておこう。

僕は当時、10本以上の連載をもっていた。自動車関係の雑誌だけではなく、全国紙、週刊誌、ファッション誌、グラフ誌、、多くのジャンルの紙誌に書いていた。

自動車メーカーはもちろん、タイヤをはじめとした部品メーカー等からも、いわゆるアドバイザー / コンサルタントといった仕事を多く受けていた。

仕事をすれば、担当者や周辺の人たちとも、当然つながりができるし、食事や、夜のひと時をともに楽しむ機会も増える。
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そんなことで、バブル期の夜の時間は、かなり多くを外で過ごした。メーカー、代理店、出版社、、いろいろな仕事先から頻繁に「お呼び」がかかり、「仕事以外の時間」をともに過ごした。

そんな中でも、もっとも「バブルの象徴的存在」だったのが、大手出版社のS社。

僕は週刊誌と月刊誌のクルマ記事をすべて担当していたが、販売部数は膨大な数に上り、それに比例して広告もガンガン入った。

そんな状況を象徴する事例だが、まずは「交際費」がすごかった。新人編集部員でも、たしか、、月に30万円までは自由に使えた。「領収書と適当な理由」だけで、一切お咎めなしに30万円使えたということ。

適当な理由でいちばん多いのは、外部ライターやカメラマン等との打ち合わせ。僕はお酒も飲まないし、せいぜい週一くらいのお付き合いだった。だが、「交際記録上」では「連日連夜の打ち合わせ」をしていたようだ。

S社の前には、夜10時になると、タクシーの長蛇の列ができた。S社の社員は「仕事で10時を過ぎると」タクシー使い放題。

だから、多くは10時過ぎまで「仕事?」をしてタクシーで帰る。仕事内容は、上記のような「打ち合わせ」が多かったようだ。毎夜、小田原の家までタクシーで帰宅していた剛の者もいた。

S社と覇を競っていたH社も似たような状況だったが、面白い話をご紹介しておこう。

H社の若い社員で、社内結婚したカップルが、若くして立派な家を持ったという話だ。

この二人、H社に入って間もなく交際を始め、そして結婚する、、そこまではいい。
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すごいのはそこからだ。結婚した二人は、どちらが立案者なのかは知らないが、すごい計画を立て実行した。

「日常的な出費はできるだけ会社の経費で賄い、二人の給料は貯金する」という計画だ。

タクシー代を含む交通費はもちろん会社でおとす。食事は、基本、社員食堂で済ませ、二人のデート代も「打ち合わせ」という伝家の宝刀を頻繁に抜いて、ほとんどカバー。

こうして、高額なH社の二人分の給料のほとんどが貯金されていった、となれば、当然、貯金残高は雪だるま式に増えていく。

そして数年後、そのカップルは立派な戸建ての家を持つことになる。場所は忘れたが、たしか、東横線沿線の名の知られた住宅地だったと思う。

同じ頃の僕はどうだったかというと、、稼ぎは上々だったが、使い方もまた上々。

気に入った賃貸マンションに住み、複数台のクルマを次々買い換え、旅を楽しみ、外食を楽しみ、ファッションを楽しみ、、、貯金はまるで増えない生活をしていた。

でも、その分大いに楽しんだし、その後に繋がる多くの貴重な体験もできた。だから、後悔は一切ない。

でも、今もときどき、「あの時代に貯金をしていたら、、」といった話を家内とすることがある。もちろん笑い話としてだが、、。

バブルは悲喜交々、、多くを残した。そんな中で「デートカー」は、間違いなく楽しい思い出だ。若い人はもちろん、おじさんまでが「モテるクルマ」を一生懸命に追い求めた。

その結果、借金を膨らませてしまった人もいるだろう。でも、大半の人たちがきっと、「楽しい思い出」を作ったに違いない。

2代目プレリュード、5代目シルビア、そして2代目ソアラ、、。バブル期を体験した人たちの心の中には、30年経った今でも、この3台のデートカーキングの姿がしっかり棲みついているだろう。

● 岡崎宏司 / 自動車ジャーナリスト

1940年生まれ。本名は「ひろし」だが、ペンネームは「こうじ」と読む。青山学院大学を経て、日本大学芸術学部放送学科卒業。放送作家を志すも好きな自動車から離れられず自動車ジャーナリストに。メーカーの車両開発やデザイン等のアドバイザー、省庁の各種委員を歴任。自動車ジャーナリストの岡崎五朗氏は長男。

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EXHIBITION OF AUTOMOBILE ART 2 in Luce 溝呂木先生 水彩画展

溝呂木陽水彩展2023春 アルファロメオ池袋
〜Parisの女性とルマンクラシックinアルファロメオ池袋〜

本連載で毎回素敵なイラストを描いくださっている、溝呂木先生の春の個展が開催。昨年訪れたル・マン クラシックとパリの女性たちをテーマにした水彩画、模型、個人模型雑誌や画集などを展示販売します。在廊日には水彩画実演も行うそう。

会場/アルファロメオ池袋 
住所/東京都板橋区中丸町53-15 ヒルトップ・スクエア 1F
TEL/03-3530-0311
HP/https://ikebukuro.alfaromeo-dealer.jp
会期/2023年3月19日(日)〜4月2日(日) 10〜18時 入場無料 火曜定休 祝日営業
在廊日/(水彩画実演)3/19.21.26、4/2 入場無料

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