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2022.09.18

RX-7はサーキット走行も楽しめる、本物のスポーツカーだった

前回に続きお届けするのはRX-7の思い出。筆者は23年前、LAのウィロースプリンス サーキットでRX-7を走らせるチャンスを得た。仕事柄、日常的に海外での試乗イベントを重ねてきた筆者にとっても、それはことのほか楽しい体験だったようだ。

CREDIT :

文/岡崎宏司(自動車ジャーナリスト) イラスト/溝呂木 陽

岡崎宏司の「クルマ備忘録」連載 第193回

RX-7 in LA、、ウィロースプリンス サーキットにて

1999年1月、RX-7と共にLAで過ごした時、「ウィロースプリングス サーキット」をも走った。

そのあれこれを「Car and Driver誌」に寄稿した原稿も出てきた。なので、前回の「RX-7 in LA / 街走り編」と同様な形で、今回は「サーキット走行編」を書くことにする。

ウィロースプリングス サーキットは、LAから北に約90マイル、1時間半ほど走ったところにある。

「近くに町もあるが、基本的には砂漠の中のサーキットであり、その佇まいは長閑そのもの」

「見渡す限り茶褐色に覆われた大地。その上に掠れたような灰色のコースがうねり、色褪せた建物がポツンポツンと点在するだけだ」

人もクルマもいない時に訪ねたら、過去のサーキット、、閉鎖されたサーキットにすら見えるかもしれない、、そんな印象は今も頭に焼き付いている。
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「走る前に、小さな事務棟で手続きをするのだが、僕が見た限り、事務棟にいたのは無愛想な女性一人だけ」

「壁には妙に古いモノクローム写真。そして、フロアには錆びついたエンジンを載せた、これまた妙に古いフォーミュラマシンが、、」

まるで、遠い過去にタイムスリップしたかのような感覚だったことを思い出す。だが、その一方で、妙に落ち着いた気分にさせられたのだから不思議なものだ。

あの時から23年経っている。だから、今は大きく様変わりしているかもしれない。

ちなみに、事務棟の壁にかけられたイベントスケジュール表を見ると、99年度の週末はすべて埋まっていた。

だが、ビッグイベントはなく、ほとんどがローカルイベントで占められていた。

つまり、ウィロースプリングス サーキットは、特別な場でもなく、特別な人たちのものでもない。ふつうのクルマ好きに愛され親しまれ、モータースポーツの底辺を支え、育てている、、ということだ。

あの日走れたのはショートコース。残念ながらレギュラーコースは走れなかった。占有使用料は午後の5時間で900ドル。料金を支払い、誓約書に署名するだけで手続きは終わり。

「コース図をコピーしたものを手渡されたが、それもほとんど手書きに近いもの。でも、そんな気軽さが、僕にはとても心地よかった」

ウィロースプリングス サーキットには全長2.5マイル(約4km)のレギューラーコースと、1.5マイル(約2.4km)のショートコースがある。

レギュラーコースは以前に何度か走ったことがあるが、ショートコースは初めて。できれば、レギュラーコースを走りたかったのだが、予約がいっぱいで叶わなかった。
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中高速コーナーが多いレギュラーコースでのミスは大事につながりやすい。しかし、テクニカルなショートコースは少し気が楽だ。

とはいえ、アップダウンがあり、先が見えない状態、あるいは下り勾配でのブレーキングがあり、連続するほぼ90度のターンがあり、タイトなジムカーナコースのような区間があり、、、と、かなり難しい。

丁寧にラインを探り、無駄なロスをしないよう、かつ積極的にも攻めないと、好タイムは出せない。

ちなみに、路面μは高く、グリップ感は良いし、メインテナンス的にも問題はなかった。

「真冬のデザートエリアは、陽射しは眩しくても風は冷たい。RX-7にとっては絶好のコンディション、、280ps / 32kgmを存分に引き出せるコンディションだった」

従来のRX-7も速かった。だが、新型には、走り出してすぐ、「ハッキリと違いがわかる速さ」が加わっていた。

「その速さはそうとうに骨太で厚みがある。切れ味のいい加速と、野太い加速を重ね合わせたような加速と言えばいいのか、、」。

サーキットでの走りやすさを決定的に左右するドライビングポジションと、姿勢の保持性にも文句はない。

ヒール&トゥのしやすいペダルレイアウトもいい。

「5速MTのシフトフィールは、滑らかさという点では少し注文をつけたいところもある。とはいえ、めまぐるしいほどのシフト操作を求められるこのコースでも、しっかり役割を果たした。シフトミスは1度もなかった」
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「1280kgのウェイトと280ps / 32kgmの組み合わせがもたらす瞬発力とスピードは、サーキットでも刺激的だった」

アクセルをフルに踏み続けても、エンジンの状態が変化するような兆候はまったくない。タフな条件下でもクーリング能力は十分だったいうことだ。

300mほどのホームストレートを除けば、横Gがかかっていない状況はほぼない。ブレーキへの負担も大きい。サスペンション、タイヤへの負担も同様。

「ダンパーはビルシュタインが組み込まれていたが、ずっと同じ感触でポテンザを接地させ続けてくれた。同様にポテンザのグリップ感の変化幅も少なかった」

「ブレーキをいちばん心配していたのだが、これも少し踏み代が増えただけ。必要な制動力は保ち続けてくれた。ハードなブレーキング時のクルマのスワリもよかった」

PSは確かな手応えがあり、限界領域でも、ポテンザS-07と路面のコンタクトの状況を正確に伝えてきてくれた。

ステアリングを切ると、スッとノーズが向きを変える、、。回頭性のよさはRX-7の大きな魅力の一つだが、その良さも十分味わわせてくれた。

後輪をかなり滑らせても、トラクションが抜けて一気に流れ出すといったこともない。滑りながらもトラクションは残り、RX-7を前に押し続けてくれる。

なので、コーナーへのアプローチもいろいろトライできたし、楽しめた。

「僕は自信を持って、ウィロースプリングスを攻め続けることができた」

RX-7は開発途上で、かなりウィロースプリングスを走り込んだと聞いていたが、頷けた。
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時間はあっという間に過ぎていった。もっとずっと走り続けていたかったのだが、燃料計がエンプティに近づき始めたので、やむなくピットに戻った。

「ウィロースプリングスでのRX-7は楽しかった。ほんとうに気持ちのいい汗をかいた」

「RX-7をウィロースプリングスに連れて行ってよかった。RX-7がサーキットレベルのドライビングをも楽しめる、本物のスポーツカーであることが確認できた」

、、、原稿はこう締めくくられているが、前回の「LA / 街走り編」と共通しているのは、僕がRX-7をひたすら楽しんでいること。

仕事柄、海外でクルマを走らせるのはほぼ日常であり、特別なことではない。だから、まるで忘れてしまっているイベントも多い。

そんな中、これだけあれこれを、懐かしく、リアリティをもって思い出せるのは珍しい。もちろん、原稿があってのことではあるのだが、、ちょっと驚いている。

23年前の原稿を読みながら、、新しい原稿を書きながら、、RX-7の、LAの、ウィーロースプリングスの思い出を辿る、、ほんとうに楽しい作業だった。 

● 岡崎宏司 / 自動車ジャーナリスト

1940年生まれ。本名は「ひろし」だが、ペンネームは「こうじ」と読む。青山学院大学を経て、日本大学芸術学部放送学科卒業。放送作家を志すも好きな自動車から離れられず自動車ジャーナリストに。メーカーの車両開発やデザイン等のアドバイザー、省庁の各種委員を歴任。自動車ジャーナリストの岡崎五朗氏は長男。

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