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2022.08.21

小さいクルマが大好き! 僕が乗った最高のコンパクト車は……。

これまでに数十台のクルマを乗り継いできた筆者ですが、その中で大型車は3台しかなかったそう。とにかく無類のコンパクト車好きなのです。若い頃に乗ったMGやデザインに惚れたアウディTT、ミニやルノー、フィアットなど、愛車たちの思い出は尽きません。

CREDIT :

文/岡崎宏司(自動車ジャーナリスト) イラスト/溝呂木 陽

岡崎宏司の「クルマ備忘録」連載 第191回

僕はコンパクト系が好き!!

僕はコンパクト系が好き。いろいろなクルマが僕のガレージに住んだが、その多くがコンパクト系。

長い車歴の中でも、大きいのは、、長いテールフィンをもつ1957年型デソート 2ドアハードトップ、V12を積む1991年型 / 93年型デイムラー ダブルシックスの計3台だけ。

中くらいに大きいものでも、アウディ 200クアトロ、アルファ 164、4代目クラウン ハードトップ、アウディQ3 クアトロくらい。

メルセデスに乗ったのは初代SLKだけだし、BMWも初代Zが2台と、他は3シリーズのみ。アウディも、上記の200クアトロを除けばコンパクト系ばかりだ。

ポルシェ911はもちろん大好きだが、930と964の2台を所有したのみで終わっている。

「最新のポルシェが最高のポルシェ!」という言葉があるが、異論はない。最新の911に乗るといつも「素晴らしい!」と思うし、いつも「ワクワク!」する。、、でも、サイズの壁が越えられない。
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アウディ e-tron GTもそうだ。すごく好きで、すごく欲しくてたまらない。試乗して夢見心地になって、ボディカラーまでさんざん考えたのだが、やはり最後はサイズの壁に押し止められた。

僕は決して理性的な人間ではない。小物(中物!? くらいまで)の衝動買いは日常的だし、クルマも短期間での買い換えが多い。

なのに、1993年のデイムラー ダブルシックス以来、30年近くも大きなクルマには手を出していない。若い頃はチョコっとつまみ食いもしたが、50代半ば辺りからはそれさえもなくなった。

コンパクト系が好きとはいっても、むろん、コンパクトならいいというわけではない。

オシャレ感があって、個性的で、ブランドの輝きがあって、、できればヤンチャな雰囲気も、、と、あれこれ注文がある。

1959年に手にした初めての愛車は、タクシー上がり再生車のルノー 4CV、、だったが、チョコレートの濃淡に塗ったボディカラーのおかげで、とても粋なクルマに仕上がった。

学生時代には、アルバイトをしながら、MGAとMGBに乗った。お金のやりくりは大変だったが、素晴らしい思い出ができた。

当時、ヒーレー 3000を愛してやまない知人がいて、「MGなんかやめて、ヒーレーにしろよ。ぜんぜん速いし、ずっと面白いから、、」と、会う度に言われた。

でも、僕にはまったくその気はなかった。速いことより、コンパクトでちょっぴりエレガントな香りもする、、そんなMGの佇まいの方がずっと好きだったからだ。
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ちなみに、MGBは、50歳になった時、再び買った。これは乗ることよりも、レストアのあれこれの方が楽しい思い出になっている。

MGといえば、コンパクトなADO16シリーズながら、プレミアム感が高く、スポーツ+エレガンスをも巧みに表現していたMG版が断然好きだった。

1100 / 1300ともに所有したが、1100はオリジナルカラー(グリーンとオフホワイトの2トーン)で、1300はワインレッドとオフホワイトの2トーンに塗り替えて乗った。

評判の塗装会社の評判の職人に頼んだが、素晴らしい出来栄えだった。艶やかながら落ち着いたワインレッドを纏ったMG1300は、多くの人たちが「いいね!」と言ってくれた。

エンジン周りにも軽いチューニングを施したこのMG1300、、僕の車歴の中でも、忘れ難い1台になっている。

かつて「4WDは悪路走破用」とみなされていた。、、が、1980年、アウディから送り出されたフルタイム4WDの「クアトロ」は、そんな常識を一夜で変えた。

発表されてすぐドイツに乗りに行ったが、オンロードでの「クアトロのパフォーマンス」には感動した。4WDのイメージは、一気に、劇的に変わった。

そして、すぐクワトロを注文した。でも、僕が買ったのはビッグ クアトロではなく80クアトロ。ひと回り小さくて軽量なモデルだ。

カッコいいのは間違いなくビッグ クアトロ。速さも同じく。、、だが、少なくとも僕にとっては、80クアトロの方が魅力的だった。
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コンパクトさと軽量さがもたらすプラスアルファ、、特に下りのワインディングロードでの身のこなしは素晴らしかった。

アウディ80アバント クアトロもよかった。「美しいステーションワゴンはアバントと呼ばれる」というキャッチコピーにも強く惹かれて、すぐオーダーした。

ステーションワゴンとしては荷物積載性に優れているとはいえなかったが、コンパクトかつスタイリッシュな方が僕には重要だった。

アウディTTも2台持った。いずれも初代TTだが、いわゆる「バウハウス的佇まい」には強烈に惹かれた。

コンパクトなサイズの中に埋め込まれた高い美意識は「惚れ惚れする」ほどのもの。欧州試乗会で実車を目の前にし、実車に触れた時、僕はすぐ「ほしい!!」と思った。

実は、この欧州試乗会時点でのTTは、動的な面で問題を抱えていた。それは試乗してすぐに気づいた。

それでも、「TTがほしい!!」という強い気持ちは変わらず、日本上陸第一便の中の1台を手に入れた。多くのメディアに載せた試乗記には必ず「動的問題の改良を待ってから買った方がいい」と書いたにもかかわらず、だ。

その問題は4~5カ月後に大幅な改良が加えられたが、僕はその時点で新しいTTに買い換えた。この堪え性のなさは恥ずかしい限りだが、まぁ、僕にとって、TTのデザイン面でのインパクトは、それほど強かったということになる。

コンパクトといえばミニは外せないが、初代ミニは、兄が1300 クーパーSを買ったので、それに便乗させてもらった。
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僕が買ったのは第2世代ミニ。ともに特別仕様車で、クーパー ベイズウォーターと、クーパーS ハイゲイト コンバーチブルを同時に買った。

家内が主にクーパーに乗り、僕がクーパーS コンバーチブルに乗った。すばらしく楽しいコンビネーションだった。

しかし、遠出をするには、あまり快適とはいえない。そこで、もう1台買ったのがアウディQ3 クアトロ。ちょっと大きめではあったが、ミニとの組み合わせは文句なしだった。

もちろん、ゴルフGTIにも乗った。最初のGTIは2代目。欧州で乗ってすぐ決めた。当時のFWD車はトラクションの甘さが弱点だったが、2代目GTIはそこを見事に克服。その速さ、乗りやすさに痺れた。

3~5世代のゴルフは精彩を欠いたが、6世代で復活。僕は7世代のGTIとGTI Performanceを続けて買った。「1台で多くをカバーするコンパクト」としては、最高の選択肢だ。

コンパクトといえば、ラテン系も絶対に外せない。

ルノーは、4CV、サンク バカラ、2代目ルーテシアに乗ったが、サンク バカラのオシャレぶりは「超一級!!」だった。

2代目ルーテシアは、最長不倒の7年という歳月をわが家で過ごした。家族全員に愛されていた。

フィアットは初代パンダの後期型に乗ったが、楽しいことこの上なかった。ジウジアーロのデザインも、間違いなく「傑作!」だ。

「いつも全開!」的な走りも楽しかったし、キャンバストップも「いい気分!」にさせてくれた。

アルファのコンパクトは、若い頃にジュリアスーパー、50歳代で155ツインスパークに乗った。ちなみに、155とパンダは同時に買ったのだが、この時期、わが家のメニューにはパスタが増えたことを覚えている。
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そして、昨年1月、プジョー e208GTを買ったが、ルックス、EVの走り、サイズ感、、すべてが好きだ。用もないのに用を作って出かけたくなる、、それほど気に入っている。

日本車のコンパクトでは、パブリカ、ホンダの初代CR-X、4代目シビック SiRに乗った。パブリカは家内の買い物用として買ったが、いいクルマだった。ホンダの2台は、カッコもよかったし、軽くチューニングした走りも文句なしだった。

今のところ、プジョー e208を手放す気はまったくない。だが、「もしも、仮にそうなったら何に乗るだろうか、、」と、妄想を巡らさないわけでもない。

そんなとき、よく頭に浮かぶのは、キャンバストップのルノー ツインゴ 。ボディカラーは明るい水色がいい。もし、これにEVモデルがでたら、、心は強く揺さぶられるだろう。

● 岡崎宏司 / 自動車ジャーナリスト

1940年生まれ。本名は「ひろし」だが、ペンネームは「こうじ」と読む。青山学院大学を経て、日本大学芸術学部放送学科卒業。放送作家を志すも好きな自動車から離れられず自動車ジャーナリストに。メーカーの車両開発やデザイン等のアドバイザー、省庁の各種委員を歴任。自動車ジャーナリストの岡崎五朗氏は長男。

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