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2022.08.07

巨大トラックで北米大陸横断! の夢が潰えた理由

アメリカン・カルチャーをこよなく愛する筆者にとって、北米大陸横断のクルマ旅には特別な意味があったようだ。仮眠室付きの巨大トラックに乗って広大な大陸を横断したい! という夢を実現すべく、奮闘したけれど……。

CREDIT :

文/岡崎宏司(自動車ジャーナリスト) イラスト/溝呂木 陽

岡崎宏司の「クルマ備忘録」連載 第190回

北米大陸をトラックで走りたい!!

アメリカはずいぶん走った。いろいろな旅をした。もちろん、クルマで、、。

アメリカの地を初めて踏んだのは1964年。以来、何回も、、いや何十回も行っている。

仕事とプライベートが半々くらいだろうか。
でも、、仕事でも、アメリカに行きたいから受けた、アメリカに行きたいから計画したものも少なからずある。

そんな流れから生まれた旅のひとつが北米大陸横断、、LA~NYを往復する旅だった。カペラ ロータリーでトライしたこの旅については、すでに備忘録にも書いたが、強く記憶に残る旅だった。

往路はルート66をも組み入れ、旧いアメリカを幅広く体験できるようなマップで走った。そして、帰路はハイウェイを基本に、ノンストップで走り切った。

この北米大陸横断は1970年。30歳の時だ。その後、こうした旅が好きになり、いろいろチャレンジした。

アメリカでは、カリフォルニア、ネバダ、アリゾナ、ニューメキシコ、テキサスのデザートエリアを巡り、バハカリフォルニア(メキシコ)を2度縦断した。
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砂漠が好きなので、オーストラリアもよく走った。パースからシドニーの横断も、アデレードからダーウィンの縦断もしているし、エアーズロックにも2度行っている。延べで2万kmくらいは走っているだろう。

アラスカからLAへの旅も、スペインのバルセロナからノルウェーのベルゲンへの旅も懐かしい思い出だ。

こうした旅を、なにかビッグなスケールでやりたい、、と、ずっと思っていた。なかでも北米大陸横断がいちばんの夢だった。それも乗用車ではなく、キャンピングカーでもなく、ピックアップトラックでもなく、、。

そう、僕が憧れ、夢に描いていたのはエイティーン ホイーラーのトラクターでの旅。

ピータービルト、ケンウォース、フレートライナー、マック、インターナショナル、、といったところが思い浮かぶが、僕の「お気に入り」は、ピータービルトとケンウォース。

まぁ、どちらが好きかと問われれば「ピータービルト!」と答えるが、ハッキリした理由はない。なんとなく好き、、なのだ。

なかでも、ピータービルトのスリーパー(仮眠室)付きがベスト。

スリーパーはシンプルな仮眠室だけから、キッチン、トイレ、シャワールーム付きまであるが、僕はシンプルな仮眠室レベルでいい。

トラックストップに行けば、レストランもあるし、コンビニもあるし、シャワールームもあるから、、仮眠さえできれば十分だ。

それに、全体バランス的には、コンパクトなスリーパーがいちばんカッコよく見える。
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ちなみに、エイティーン ホイーラーに積まれるエンジンは、直列6気筒ターボディーゼル、排気量/15ℓ、500hp / 2500Nmといったところだったかと。これを、複雑なシフトパターンをもつ10数段のトランスミッションで操作するわけだから、、大変そうだが、かなり楽しそうでもある。

昔、、ネバダのトラックストップで、ピータービルトに乗るドライバーに声をかけたことがある。そうしたら、運転席に座らせてくれたのだが、、、高い運転席から長大なノーズを見た時は「天下を取ったような気分!」だった。

そんなことを思い出しながら、妄想を逞しくしたのが、「ピータービルトのトラクターで北米大陸を横断する旅」だ。

この件は、単に妄想だけではなく、実際に広告代理店を通じてピータービルトに打診してもらった。そして「イエス!」の回答をもらったのだ。その時の気持ちは文字通りの「有頂天!!」だった。

しかし、夢は実現に至らなかった。

この企画を代理店に持ち込んだ時は「面白い。ぜひやりましょう!」と、リアクションは文句なしだった。だが、、思うようなスポンサーがみつからなかった。

僕が旅をするだけなら大したお金はかからない。だが、広告代理店としては、全ルートをに撮影部隊を同行させ、TV放映することを条件にスポンサーを確保しようとしていた。

数人の撮影部隊とマネージャー等を同行させるとなると、当然、かなりの金額になる。つまり、その金額に首を縦に振るスポンサーが見つからなかったということだ。
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はじめは「自分だけの旅」でいいと思っていた。雑誌に旅日記を書くだけでいいと思っていた。、、でも、いつの間にか話は大きくなって、、なりすぎて、、結局は没に。

まぁ、たとえ自分だけの旅にしても、スケールが大きので、スポンサーなしでは実行できなかった。なので諦めるしかない。でも、途中までがすごい盛り上がりだったので、残念さ悔しさは大きかった。

もし、これが実現していたら、、多くの旅をしてきた僕の生涯の中でも、最高ランクの旅になっていたと思う。

ピータービルトの運転席から眺めるアメリカの景色は、どう見えたのだろうか、、。

15ℓのエンジンを10数段のトランスミッションで操り続けるのはどんな感じだったのだろうか、、。

スリーパーでは、うまく、心地よく眠りにつけたのだろうか、、。

トラックストップでは、どんな出会いが待っていたのだろうか、、。

そして、大陸横断した時の達成感と喜びはどんなものだったのだろうか、、。

考えれば考えるほど「逃した魚の大きさ」を痛感させられる。

面白い単行本も書けていただろう。それもかなり分厚いものが、、。そして、それを何度も何度も読み返し、その都度、「ピータービルトとの旅」を熱く思い返したに違いない。

そんなことで「ピータービルトとの夢」は儚く消えたが、その後も、トラックとの旅への想いは続いた。

大型トラクターの代わりに浮上してきたのがピックアップ トラック。具体的に言えば、フォード F150かダッジ ラムのダブルキャブ モデルでの旅。
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この2台はずっと前から好きだった。フォード F150は1960年代のモデル辺りから、ダッジ ラムは、1994年の2代目から。

もし、アメリカに住んでいたら、、このどちらかを愛車にしていたかもしれない。それほど好き、、ということだ。

この想いも、これまた実現しないまま時は過ぎてしまったが、ピックアップ トラックでイメージした旅は大陸横断ではない。

ピータービルトでの大陸横断を真剣に計画した後となると、ピックアップトラックでは役者のスケールが違いすぎる。とてもドラマチックとは思えない。

そんなことで考えたのは、サンタモニカをベースにした砂漠エリアの旅。カリフォルニア、ネバダ、アリゾナ、そして、メキシコのバハ カリフォルニア辺りを駆け巡る旅だ。

ダブルキャブを望むのは、後席を使うということではなく単純にカッコいいと思うから。

宿泊は基本的にモーテル。それも、昔ながらの佇まいのモーテル。食事もまた、昔ながらの佇まいのレストランにしたいと思った。

アメリカに憧れ始めたのは1950年代から。そして1960年代に初めて足を踏み入れた。そんな足跡を辿りたい、味わいたい、、といった想いがその理由。

スリーピングバッグはもっていく。若い頃よくやったように、時々、砂漠の満天の星空を見上げながら、荷台で眠りたいたいからだ。

そして、最近、妄想しているのは、EVトラックでの旅。「フォード F150 ライトニング」での旅だ。いや、旅というより、カッコいいEVのトラックで、大好きなカリフォルニアの大好きな街やビーチを訪ねたい。

サンフランシスコ、カーメル、サンタバーバラ、ビバリーヒルズ、サンタモニカ、ベニスビーチ、ニューポートビーチ、、、といった街がいい。旧さと新しさが入り混じった素敵な表情を見せるこれらの街に、F150 ライトニングはきっとよく馴染むはずだ。

● 岡崎宏司 / 自動車ジャーナリスト

1940年生まれ。本名は「ひろし」だが、ペンネームは「こうじ」と読む。青山学院大学を経て、日本大学芸術学部放送学科卒業。放送作家を志すも好きな自動車から離れられず自動車ジャーナリストに。メーカーの車両開発やデザイン等のアドバイザー、省庁の各種委員を歴任。自動車ジャーナリストの岡崎五朗氏は長男。

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