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2022.09.04

RX-7とはいかに素晴らしいクルマだったのか?

マツダが作った伝説のスポーツカーRX-7の最強モデルに乗って大好きな街、LAを走った筆者。そのドライブは23年を経たいま思い出しても比類なく素晴らしいものだったと言います。LAの乾いた空気と抜けるような日差しを浴びて疾走するRX-7、その幸せな記憶が蘇ります。

CREDIT :

文/岡崎宏司(自動車ジャーナリスト) イラスト/溝呂木 陽

岡崎宏司の「クルマ備忘録」連載 第192回

RX-7で大好きなLAを走った!

過去の資料を整理していたら、RX-7でLAを走り(1999年1月だったかと思う)、「CAR and DRIVER」誌に寄稿した原稿が出てきた。

なんだかとても懐かしく、思わず読んでしまったのだが、、RX-7とLAを思い切り楽しんでいる様子が手に取るようにわかった。

といったことで、今回は、その原稿をなぞるような形で、23年ほど前の懐かしい思い出をご紹介したい。

、、、「ベッドから起き上がって窓を開けると、ひんやりと乾いた空気がどっと流れ込み、抜けるような陽射しの下、無数のヨットが目に飛び込んできた」

「その間に挟まれるようにハーバーの水路が走り、小さな波頭が陽射しをはね返してキラキラ光っている。そして、ゆったりと揺れるパームツリー、、、」

「光も、風も、匂いも、、、マリナ デル レイのホテルの窓外には、大好きな南カリフォルニアのほとんどすべてが揃っていた」

「南カリフォルニアに行くと、、晴れてさえいれば、、僕は寝覚めがよくなる。カーテンを開けたとたん、ジェットラグによる重苦しく不快な寝覚めが急速に癒やされてゆく」

原稿はこんな書き出しで始まっている。
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南カリフォルニアでの寝覚めの話、、「ほんとに!?」と思うかもしれないが、ほんとうのこと。歳を重ねた今でも変わっていない。

ホテルに届けられていたRX-7は、最強の280psを引き出す13B型ターボ仕様。アグレッシブなルックスは、華やかなホテルのエントランスでも、大いに人目を引いた。

タイトなコクピット、低いドライビングポジション、メリハリあるクラッチ、しっかりしたPSと切れ味のいい身のこなし、、、街中をゆっくり流すだけでも、スポーツカーに乗っている実感は強く伝わってきた。

腰を中心にピタリと決まるドライビングポジションは、安心感と自信を与えてくれるし、左右フェンダーの峰が見えることは、車両感覚を掴みやすくしてくれる。

まずは大好きな街を巡った。サンタモニカ、ベニスビーチ、ビバリーヒルズ、サンセットプラザ界隈、、、若い頃から何度も通った道であり街なので、余計な気遣いもなく気楽に走れる。となれば、楽しさも倍化する。

コーストハイウェイも楽しいし、フリーウェイも楽しい。ウィルシャー大通りや、サンセット大通りも楽しい。いつものことだが、カリフォルニアを走るのは、僕にとっては最高にハッピーなことなのだ。

一般道の速度は25マイル(40km/h)~35マイル(56km/h)、フリーウェイは60マイル(96km/h)~80マイル(128km/h)程。

強化された13B型ロータリー ターボを積むRX-7は、そんなペースを滑らかに力強くこなした。
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5速MTとのコンビネーションだが、忙しないシフトを強要されたり、「もっと飛ばせよ」と背中を押されたり、といったことは一切ない。大好きな街を大好きなLAを存分に楽しませてくれた。

でも、誤解しないでほしい。リラックスさせてくれるからといって、RX-7がダラダラしたいい加減な運転を許すということではない。

ステアリングからも、5速MTからも、クラッチからも、ブレーキからも、、みな、明快でメリハリある操作感が伝わってくる。

そう、スポーツカーならではのタイト感、重み感、精度感等々をしっかり感じ取り、それに合わせた運転が求められるということ。

そして、そんな求めに応えられるドライバーには、ゆっくり流していても、RX-7は「大いなる心地よさ」をもって応えてくれるのだ。

、、、「1月のカリフォルニアは雨季。午前中にシャワーが来ることが多い。その分、緑はイキイキしている。空も澄んでいる」

「そして、シャワーに洗われた緑がまだしっとりした肌合を残している時に晴れ上がる、、、そんな時のカリフォルニアはとくに美しい」

サンタモニカからビバリーヒルズに向かう途中で、ちょうど、そんな場面に出会った。

僕はウキウキした気分になり、ちょっとヤンチャをしてみたくなった。少しだけでいいから、RX-7のリアをスライドさせてみたくなったのだ。

見通しも良く、人目もないコーナーはすぐ見つかった。

ギアを2速へ落とし、ステアリングを切りながらアクセルを踏み込んだ。
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たっぷりと雨に濡れたアスファルト路面、、RX-7のリアはすぐ滑り出した。40~50cm幅程度のスライドだったと思うが、腰のしっかりした不安のないスライドだった。

「これは楽しめる!」、、カウンターを当てながら、思わずニンマリしてしまった。

ふつうなら、、いくら見通しがよかろうと人目がなかろうと、、街中でテールスライドを楽しむなどありえない。でも、なぜか、「ありえないこと」をやってしまった。

このことをRX-7のせいにする気はない。でも、僕の気まぐれのせいだけでもない。

大好きなLAに来て、寝覚めがよくて、美しいシャワーに出会って、楽しいクルマに乗って、、これだけハッピーな条件が重なれば、まぁ、軽いテールスライドくらい、楽しみたくもなるだろう。

280ps/32kgmの13Bターボ ロータリーが引き出すRX-7の加速は圧倒的。だから、混雑したフリーウェイへの流入も楽々、、というよりも、楽しくて仕方がない。

どんなタイトな場面でも、余裕で流入できるし、余裕で車線を変えながら前に進める。そして、60~80マイル辺りで流れる大河の端から端までを、敏捷に思い通りに移動できる。

2500rpm辺りではすでに十分なトルクが出ている。3000rpmも回っていれば、軽くアクセルを踏み増すだけで、力強く、切れ味鋭い加速が楽しめる。ターボのレスポンスの遅れがほとんどないのもうれしい。

4~6車線がびっしり埋まるフリーウェイ405号線。こんなところでは、中速域の瞬発力と身のこなしの良し悪しで楽しさは大きく左右されるが、RX-7は存分に楽しませてくれた。
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ロータリーサウンドのトーンを高め、スッと腰を沈めながら後輪で路面を蹴る、、滑らかで強力な加速はなんとも心地よい。

フリーウェイ405では、一瞬ヒヤリとする状況に出会った。でも、RX-7は素早く、そして安定した身のこなしで僕を守ってくれた。

、、、「80マイルくらいで並走するクルマに両側を挟まれるように走っていた時、、突然、右側の1台がフラッと寄ってきた」

「左側を並走するクルマとの間隔は3分の1車線分くらい。反射的に身体が反応する形のステアリングアクションで逃げるしかない」

「RX-7は、ほとんど並行移動するような感覚の、素早く無駄のない動きで身をかわした」

「そして、オーバーシュートすることも揺り戻すこともなく、何事もなかったかのようにスッと直進状態に戻ってくれた」

「高速での安定性もいい。従来型ではかなり気を遣わされたワンダリング現象も影を潜めた。フリーウェイ405の路面はそうとう荒れているが、安定した走りを見せてくれた」

23年ほども前のことなので、もし、最新のクルマと乗り較べたら、、「??」といったところもあれこれでてはくるだろう。

でも、1999年のあの日、僕は心からRX-7を楽しんでいたはず。そして、大好きなLAをウキウキしながら走っていたのは間違いない。

一世を風靡。世界中の多くのスポーツカーファンを魅了したRX-7。そんなRX-7の最強モデルと共にLAを走り、素晴らしい思い出を残すことができた僕は幸せ者だ。

このラッキーでハッピーな記録(原稿)は、今後も時々読み返そうと思っている。

● 岡崎宏司 / 自動車ジャーナリスト

1940年生まれ。本名は「ひろし」だが、ペンネームは「こうじ」と読む。青山学院大学を経て、日本大学芸術学部放送学科卒業。放送作家を志すも好きな自動車から離れられず自動車ジャーナリストに。メーカーの車両開発やデザイン等のアドバイザー、省庁の各種委員を歴任。自動車ジャーナリストの岡崎五朗氏は長男。

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