2025.08.02
ドレスウォッチってどんな時計? その歴史や基本スタイル、時計としての魅力を解説
大人なら1本は持っておきたい「ドレスウォッチ」。でも、一体ドレスウォッチとはどんな時計なのか。その条件や歴史を解説します。
BY :
- 文/渋谷ヤスヒト
- CREDIT :
編集/岸澤美希(Web LEON)
ドレスウォッチとは本来、正装用の腕時計

シンプルなデザインと機能、そして、ドレスシャツの袖口からのチラリと見える薄型ケースが特徴で、大人の男性ならぜひ1本は手元に備えておきたいものです。
それ以前は、“紳士の時計”といえば「ポケットウォッチ(懐中時計)」でした。スーツのベストやスラックスのウォッチポケットに入れて持ち運んだのです。
ただ、18世紀から20世紀初頭のポケットウォッチ時代にも、ドレスウォッチ── シンプルな機能とデザインで、しかも超薄型ケースのポケットウォッチ── は存在していました。
このように、フォーマルウエアを着用する際には、その上品さを損なわない時計が求められ続けてきたのです。
“超薄型”は、時計愛好家も注目する大切なポイント

実は、コアな時計愛好家にとって、ドレスウォッチに搭載される超薄型ムーブメントは、何よりも見逃せない情熱と関心の対象でもあります。
部品点数は少ないけれど、薄型にするために歯車の厚みは1mm以下になります。そんな極薄の歯車を噛み合わせてきちんと動すことは、究極の時計技術のひとつだと言えるのです。
作るのがとにかく難しいため、超薄型ムーブメントを開発・製造できる時計ブランドはごくわずか。名だたるマニュファクチュール・ブランドでも、この超薄型ムーブメントだけは他社から供給してもらったりします。
シンプルウォッチの究極形

文字盤もインデックスも針もこれ以上ないほどシンプルで控え目なのは、目立たぬことを美徳とするドレスの思想に基づくため。
ただ、シンプルなデザインほど、造りの良さが問われますし、視認性も大事です。だから、ディテールも一般的な腕時計よりもずっとずっと繊細な造りになっています。
つまり、ドレスウォッチとはあらゆる意味で、ケースの大きさと厚さで存在感を主張する“デカ厚”系のスポーツウォッチとは対極にある存在。さまざまな時計を楽しんできた時計愛好家が最後にたどり着く“究極の腕時計”とも言われています。
ドレスウォッチのディテールとは?

(1)丸形あるいは角形のケースでサイズは直径35mm前後。ドレスシャツの袖口に引っかかることがないよう、に、ケース厚は10mm以下。
(2)ストラップは“革のダイヤモンド”とも呼ばれる薄いクロコダイルレザーが基本。
(3)文字盤はシンプルなバーインデックスかローマ数字インデックス、あるいは小さくて目立たないドットインデックスで、針もシンプルなバトン針やリーフ針。
(4)搭載ムーブメントは、超薄型の手巻き、あるいは自動巻き。
正装用に生まれた腕時計ですから、フォーマルやスーツの装いに完璧にフィットしますが、せっかく手に入れたなら、それだけじゃもったいない。
ニットやTシャツなどカジュアルスタイルを品よく格上げするために使ったり、いつものスポーツウォッチにはない軽やかな付け心地で気分を変えたり……。そんな使い方もオススメです。
■ お問い合わせ
ヴァシュロン・コンスタンタン 0120-63-1755
A. ランゲ&ゾーネ 0120-23-1845
ブレゲ ブティック 銀座 03-6254-7211