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2020.07.03

「裏スケ時計」の楽しみ方を達人が指南!

高級機械式時計には裏スケ、つまりケースの裏からムーブメントが覗けるもの、が少なくありません。そして、そこに魅了される男も数知れず……。そんな裏スケ時計の魅力を、腕時計のプロが語ってくれました。

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写真/人物・金田 亮、静物・鈴木泰之(Studio Log) 文/福田 豊 

『クロノス日本版』編集長の広田雅将さんと時計ライターの福田豊さんの対談の第2回目(1回目はこちら)。今回は、ケースの裏側でムーブメントを覗くことのできる、いわゆる「裏スケ」「シースルーバック」の魅力について語ってもらいました。

ちなみに、「裏スケ」「シースルーバック」は「トランスパレントバック」というのが正式名称。トランスパレントバックの発祥は古く、ムーブメントを見せるために裏蓋をガラス張りにするのは、懐中時計の時代から行われていたそうです。しかし、太陽光(紫外線)に当たることでムーブメントの潤滑油の劣化を早めてしまうのが大きな障害となり、普及するのはずっと後になってから。腕時計の時代になっても、ガラス製の裏蓋はメタルよりも耐衝撃性や防水性に劣るため、敬遠されるのが通常でした。

そのため、トランスパレントバックが一般的になったのは1980年代になってから。そこから大きな人気を集め、今日の標準的な仕様となったのです。
▲『クロノス日本版』編集長の広田雅将さん(左)と時計ライターの福田豊さん(右)
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キレイなムーブメントは、高級機械式時計の証

広田「ムーブメントを見せるのは、時計の魅力を訴求するのに、とても効果的な手法ですよね。クオーツ式との違いも一目でわかる。見どころはケースやダイヤルなどと同様に、ムーブメントも面がキレイで線に歪みのないものが高級です」

福田「僕の思うイチバンの見どころは入り隅(部品の窪んだ隅の部分)。狭い角度の入り隅を磨くのは難しく、ここが美しく磨かれているのは高級品の証ですね」

広田「面取り(部品の表面と側面が交わるエッジを取り除いた仕上げ)も、わかりやすい部分。丁寧に美しく面取りするには、いうまでもなく手間がかかりますからね。そのため、値段の高い時計ほどプレスしたままや削りっぱなしの部分は少なくなる。で、それは素人でも見たらわかります。ですから見た目がキレイだったら、それでオッケー。良い時計だと思います」

福田「ビスの頭もわかりやすいですよね。そこまで磨いているとホンモノ」
広田「ビスまで磨いているのは、本当に手間のかかった、ホンモノだけ。いいビスは頭がフラットで、ピカピカに磨かれている。これも見ればわかります」

福田「ただ個人的には、何から何まで見せられても……と思うことはありますね。見せるほどのムーブメントなのか、と感じることも少なくありません。例えば、ETA7750は大好きなムーブメントで何本も持っているけれども、特に見たいとは思わない。センターローターしか見えませんからね。それと個人的に、トランスパレントバックはガラスが汗でペタペタ張り付くのが好きじゃないんです」

広田「確かに、着け心地が良くないというのはよく耳にします。でも、それを差し引いても、良いムーブメントは単純に見応えがありますから。キレイなムーブメントは、特別な時計の知識がなくても、見た目がキレイなだけで楽しめる。見ているだけでお酒が呑める(笑)」

福田「本当、それはそうですね。このモリッツ・グロスマンとか、A.ランゲ&ゾーネとか、お酒が何杯でも呑めちゃう(笑)」
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ムーブメントは磨かれることで、性能も高まる!?

広田「それと、見るところがたくさんあるのもムーブメントの魅力。先ほどの面取りとか、地板の表面、ビス、歯車など、いくらでも見るところがある。そして、仕上げがキレイなら、性能も優れているといえる。

例えば、歯車の歯がきちんと磨かれていると、噛み合わせが良くなり、動きが滑らかになって、摩耗が少なくなる。つまり、キレイに磨かれていると、性能が上がり、傷みにくく、長持ちするんです」

福田「つまりムーブメントが見えることで、時計の良し悪しを見極める手がかりがたくさんできる、というわけ。それは買う側からするとうれしいポイントですよね。それと、ここ最近は見せるためのムーブメント設計が増えていますよね。ウブロのウニコとか、シャネルの自社ムーブメントとか。このあいだ発表されたグランドセイコーの新型ムーブメントもそう。この潮流は、時計好きには歓迎すべきことですね」

広田「選び方としては、前回もいいましたけど、最初は見た目がキレイだと思う時計を買うと良いと思います。そうすれば、だんだんと目が肥えてきますから。それと、まずはベーシックなものを買って、実際に使ってみるのがいい。

ムーブメントは複雑な方がキレイに見えますけど、複雑だとメンテナンスに手間がかかるし、初心者は故障させてしまう可能性も高い。ですからシンプルなものから始めて、ちゃんと使えるようになったら、複雑機構に挑戦するのがオススメです」
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よく見かける“○石”ってなんのこと?

福田「ああ、それと編集部から石数について説明して欲しい、と言われているんですけど」

広田「確かに、時計に詳しくない人にとっては謎ですよね(笑)。ムーブメントの石というのは、歯車の軸受けに使われる人工ルビーやサファイアのこと。歯車は時計が動いている間、常に回転しているので、部品の摩耗を防ぐために耐摩擦性の高い人工石を採用しているんです。その数は、最低で17石ぐらい。複雑機構になると石数が多くなります

福田「昔は石数が多いほど高級だといわれた時代があって、あの頃は凄かった(笑)」

広田「100石以上とか。必要ないところまで石を入れてね(笑)」

福田「そういえば『クロノス日本版』では、モデルスペックに必ず石数を表記していますよね」

広田「石数を表記するのは、時計専門書籍の昔からの伝統ですね。それとエボーシュ(半完成状態のムーブメント)を使っている場合、石数を表記すれば、時計オタクはどのキャリバーかわかるので。超マニアックですけど、21石ならETA2892だとか、25石ならETA2824だとか」

福田「そういう石数なども含めて、ムーブメントは機械式時計の醍醐味。だから、ムーブメントが見えるのは時計好きにとっての喜びですね」

広田「高級時計の基本は、キレイに磨かれていること。それがムーブメントを見ると一層よくわかる。そして、ムーブメントが見えることでの満足感も確実にあると思います。だから、時計好きは裏スケ時計に魅了されるんです」

左● 広田雅将(ひろた・まさゆき) 
1974年生まれ、大阪出身。時計専門誌『クロノス日本版』編集長。サラリーマンを経て2004年からフリーのジャーナリストとして活躍し、2016年より現職。関連誌含め連載を多数抱える。また、一般・時計メーカー・販売店向けなど、幅広い層に対して講演も行う。
高級腕時計専門誌クロノス日本版[webChronos]

右● 福田 豊(ふくだ・ゆたか)
ライター、編集者。『LEON』『MADURO』『ENGINE』『クロノス日本版』などの雑誌やwebで、ファッション、時計、クルマ、旅など、男のライフスタイル全般について執筆。webマガジン『FORZA STYLE』にて時計連載や動画出演多数。ロックTシャツの紹介をインスタグラムでやってます。
Instagram/@fukuda1959

※掲載商品はすべて税抜き価格です

■ お問い合わせ

A. ランゲ&ゾーネ 03-4461-8080
モリッツ・グロスマン ブティック 03-5615-8185

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