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2024.02.18

スイス時計の新鋭「ノルケイン」。その人気の理由に迫る

スイスの時計産業の新星ブランド、ノルケイン。2023年には待望の18Kゴールドケースを発表し、ますます注目を集めています。CEOのベン・カッファーさんと、バイスプレジデントのトビアス・カッファーさん兄弟に、ノルケインの強みと今後の目標を伺いました。

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写真/丸益功紀 文/LEON.JP編集部

スイス時計業界の新鋭「ノルケイン」、2024年の次なる一手は?

▲ 左から、ノルケイン バイスプレジデントのトビアス・カッファーさん、CEOのベン・カッファーさん。
▲ 左から、ノルケイン バイスプレジデントのトビアス・カッファーさん、CEOのベン・カッファーさん。
スイス時計産業では珍しいスタートアップ企業として2018年に始動したノルケイン。100%スイスメイドの独立系企業として、伝統の時計産業の継承を使命としています。

創業7年目ながら、2020年からは高品質な自動巻きムーブメント専業メーカーとして知られるケニッシとパートナーシップを提携、2022年には時計業界のレジェンドであるジャン-クロード・ビバーさんを取締役会顧問に迎え、業界の重鎮にもその実力を認められています。

そんなノルケインは、今後もさらなる飛躍を画策しているのだとか。来日したCEOのベン・カッファーさんと、弟でありバイスプレジデントのトビアス・カッファーさんにノルケインの独自性と今後の目標を伺いました。
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顧客との「近さ」がブランド成長の秘訣

▲ 2023年末に発表した2モデル。総重量は、「ワイルド ワン オールブラック」(左)は84g、「ワイルド ワン ゴールド」(右)は105gと超軽量。「ワイルド ワン オールブラック」自動巻き、ノルテック™×ラバーケース(42mm)、ラバーストラップ、200m防水。84万7000円。「ワイルド ワン ゴールド」自動巻き、18Kレッドゴールド×ノルテック™×ラバーケース(42mm)、ラバーストラップ、200m防水。世界限定99本。217万8000円/ともにノルケイン(ノルケインジャパン)
▲ 2023年末に発表した2モデル。ノルケインのタフかつ軽量な独自素材ノルテック™を採用したことで、総重量を「ワイルド ワン オールブラック」(左)は84g、「ワイルド ワン ゴールド」(右)は105gに留めた。「ワイルド ワン オールブラック」自動巻き、ノルテック™×ラバーケース(42mm)、ラバーストラップ、200m防水。84万7000円。「ワイルド ワン ゴールド」自動巻き、18Kレッドゴールド×ノルテック™×ラバーケース(42mm)、ラバーストラップ、200m防水。世界限定99本。217万8000円/ともにノルケイン(ノルケインジャパン)
── まず、ノルケインの強みをお聞かせください。

ベン・カッファー(以下、ベン) 最もユニークな点は、現在のノルケインの価格帯で独立した家族経営を行なっていることでしょう。こんなブランドは他にはありません。ノルケインで働くスタッフも業界としてはとても若くて、平均年齢が35歳なんですよ。その若いチームでスイスの機械式時計産業を次の世代に届けていくことが、私たちの使命です。そのためには受け継ぐだけではなく、新しいことにも取り組んでいくべきだと考えています。それが独自素材の採用や、これまでになくタフな時計ワイルド ワンの生産なのです。

そして、独立系かつ家族経営では、短いタームで結果を求めるのではなく常にロングタームで考えることができるので、その点をブランドの成長に活かします。そもそも、文化とは長い時間をかけて育てるものなので、長い目で見るべきです。その意味では私たちの仕事の形態は強みだと思います。

── ノルケインは、伝統的な生産方法による100%スイスメイドにこだわっていますね。

ベン はい。私たちは、近隣のトップクオリティのファクトリーとともに時計を作っています。それから最重要なのが、最高のパートナーファクトリーと伝統的な作り方を守りながら、3000〜1万スイスフラン、日本円では50万円前後のプライスレンジの中で、最高品質の時計を作ることです。これは非常にやりがいのあるチャレンジです。

ブランド始動前は、この考えは夢だと思われていました。しかし今では、私たちの夢はすでに顧客にまで伝わっていると実感できます。イベントでは私も直接、顧客の皆さんとコミュニケーションを取りますが、特にノルケインを何本も所有してくれているオーナーとは、顧客の域を超えてファミリーみたいな感覚です。立場は違えど、ノルケインをシェアして未来へ進んでいるという感じがしています。
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ノルケイン CEO ベン・カッファー
── 顧客との距離がとても近いですね。

ベン 私にダイレクトメッセージを送ってくれる顧客もいます。日常的に世界各国から届きますよ。マーケットから直接フィードバックを得るのはとても重要なことです。顧客のタイプは本当に様々で、中には70代のものすごいコレクターもいらっしゃいますが、メインの年齢層は25〜45歳ですね。

── CEOとダイレクトにやり取りできるブランドは実に珍しいです。ここからはノルケインの挑戦についてもう少し詳しく聞かせてください。昨年末に発表した初のゴールドケースのワイルド ワン ゴールドもその1つですよね。

ベン ゴールドケースは過去にもたくさんのリクエストがあり、満を持しての発表です。ノルテック™ケースと同様に、ゴールドをゼロからモールディングしました。ケースの上部ケージを18Kとしたので、最終的には職人が手で仕上げています。今年は100本目をユニセフのチャリティーオークションに出品予定です。

── 次のチャレンジは一体何でしょうか。

ベン 2024年は、ウォッチズ&ワンダーズに出店します。これはノルケインからすると、大きなネクストステップ。新しいキャリバーもそのタイミングで発表させていただくことになると思います。まだ詳細は言えませんが、どんなスポーツアクティビティでも付けられるタフなムーブメントです。
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ノルケインの成長はまだ“エベレストの五合目”!? 

── 新しいムーブメントの発表が今から楽しみです。さて、ノルケインの今後5年、10年の目標をプロダクトサイドとセールスサイドの両面から聞かせてください。

ベン 私たちは確かに、5年間で他ではあまり見ない速度で成長してきましたが、登山で言うと、やっとベースキャンプを作ったようなところだと思っています。ただ、ベースキャンプと言ってもエベレストで、もう4000mくらいかもしれません(笑)。今後の成長を見越して、現在はチーム体制もどんどん大きくしているところです。なので、まだまだこれから山を登っていきます。
ノルケイン バイスプレジデントのトビアス・カッファー
トビアス・カッファー(以下、トビアス) セールスサイドでは、初年度の時点で72店舗を展開し、2023年末で40カ国・260店舗にまで増やしました。流通や販売網の構築においても、かなりの速度で育ってきています。ここから先は、流通を拡大させながらも、主要マーケットを育てていくことに注力していきます。それが、スイス、アメリカ、日本、ドイツです。あとは、インドにも大きな成長のポテンシャルを感じています。ノルケインだけではなく、インド市場にポテンシャルを感じているブランドは多いと思います。

── 時計業界の今後について、どのように考えていますか。

ベン スイスの機械式時計業界は近年、毎年過去最高の業績を更新し続けています。しかしその一方で、平均単価がものすごく上がっていて、出荷本数ベースではどんどん減っています。しかも現在、日本に入ってくるスイスの機械式時計の平均単価は250万円超。2019年は平均124万円だったので、コロナ以前と比べると、その額は倍です。つまり、金額上では成長していますが、購入できる人は限られて来ています。なので、中長期的に見た時に、機械式時計を好きでいてくれる方の数を増やしていくのは、業界全体にとって重要なことです。

トビアス ノルケインが現在の価格帯で最高のクオリティの機械式時計をより多くの人に伝えていくのは、ブランドだけでなく業界における大きなミッションです。現在はApple Watchで時計を使う習慣ができた若い方もいます。そういった方々の次のステップにもなるよう、ノルケインは手の届く良質な機械式時計を作り続けていきます。
※掲載商品はすべて税込み価格です
▲ 左から、ノルケイン バイスプレジデントのトビアス・カッファーさん、CEOのベン・カッファーさん。

● ベン・カッファー(右)

ノルケインSA創業者 兼 CEO。1988年、スイスにて三代続く時計界に携わる家系に生まれる。時計業界にて11年の経験を積み、ブライトリング社ではブランドマネージャーとしてアジア全土を担当。2018年にノルケインを創業。小売業界における時計産業に関する知識向上を目的とする団体、AMSの理事も務める。

● トビアス・カッファー(左)

ノルケイン バイスプレジデント。1990年生。2013年にルイ・エラールで時計業界でのキャリアをスタート。様々なブランドで主にセールス部門でキャリアを積み、2021年5月から現職。

■ お問い合わせ

ノルケインジャパン 03-6864-3876

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