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2020.09.19

ニューヨークコロナ禍ニューノーマル:違和感ありの生活は楽しんだもの勝ち!

アメリカでは9月から新年度を迎え、“コロナとの共存”という意味でも新たなスタートが始まりました。ニューノーマルなライフスタイルは正直違和感も多々ありますが、この今までにない状況を楽しんだもの勝ちかと。現地在住の元LEON編集者、菅 礼子がレポートします。

CREDIT :

文/菅 礼子

パンデミック中にアメリカの田舎に避難していた私はニューヨークに戻ってきて徐々にニューノーマルな生活に慣れてきたところでした。それでも先日、USオープンで大坂なおみ選手の活躍を観戦している際、無観客の会場やヒーローインタビューに応じるマスクをした選手、6フィート(約1.8メートル)遠くからインタビューをする記者に違和感を感じてしまったわけで。

アメリカは日本よりも感染の被害が大きかったため、ニューノーマルなライフスタイルにもギャップを感じることが多いのかなと思います。それでもいちいち気にしているわけには行かず、この状況を楽しみ、コロナによって生まれた新たなトレンドを見てみましょう。
▲ 普段は若者で賑わうイーストビレッジもひと気がなく閑散としています。
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マンハッタンから人々が消えた??

ニューヨークの街を歩いていて率直に感じるのは人の量が減ったな〜ということです。セントラルパークから「ティファニー」や「ルイ・ヴィトン」「バーグドルフグッドマン」など名だたる高級ショップが並ぶ五番街を南に向かって歩いてみると、晩夏、休日の昼間なのに人気が少ないことに驚きます。

地下鉄もそう。ニューヨークの地下鉄、MTAは汚いことで有名だったのですが、パンデミック以降、24時間運行をやめて毎日消毒をしているせいか綺麗になった印象です。そして、いまだに感染を恐れてか電車もガラガラ……。

ニューヨークタイムズ紙によると、3月〜5月の間に約42万人のニューヨーカーがニューヨークを離れたそうです。実家に帰った人もいれば、富裕層などはアップステートやハンプトンズと言った高級リゾートのセカンドハウスに避難していきました。

同紙は夏になっても流出した人々が完全にニューヨークに戻っていないことから、寒さの厳しくなる冬はさらにひと気がなくなるだろうと予想しています。実際、遠隔で仕事をすることが増えたため、マンハッタンに住む必要もなくなりました。狭くて高い家賃を払うぐらいなら、同じ値段で郊外の広い家に住みたいという人々が増えてきています。

ニュージャージーの郊外やニューヨークの北にあるウェストチェスター群、コネチカット州でこの現象は顕著で、郊外の一軒家に100件程の内見が殺到したり、Zoom内覧のみで家の購入を決める人もいるほど、現在はマンハッタンから郊外のエリアに人気が移っています。

先日、マンハッタンから1時間ほど離れた場所にあるニュージャージーのアズベリーパークを訪れましたが、ビーチも近く自然豊かなため、休日は家の内覧をする人たちで混み合っていました。逆にマンハッタンの家賃は下落傾向にあり、初夏の時点で空室率が4%と10年間で過去最高となっています。

そんなわけでマンハッタンにいると地下鉄乗車でもセントラルパークでのピクニックでも、常に“ソーシャルディスタンシング”を気にしているので、今まで以上に人との距離を感じるわけです。そうなると出会いの形にも変化が生じてきます。人とのソーシャルや恋人探しも断然オンライン上でのやり取りが活発化するわけです。

ティンダーやマッチ、OKキューピットなど、アメリカでも人気の出会い系アプリを運営するマッチ社は、Elie SeidmanティンダーCEOによると、パンデミック以降の3月29日、1日だけで世界中の30億人がスワイプし、アプリが記録した過去最高の記録を突破したそうです。

マッチ社全体では第二四半期で新規加入者が15%増加するなど、“寂しい時代”を乗り切るために人との出会いをオンラインに求める動きが加速し、今でもその勢いは続いています。マスクをしながら6フィート離れてセントラルパークでデートをした、なんて友人もいました。確かにオンラインにアクセスしないと新規の出会いは難しいご時世になっています。
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▲ 地下鉄に乗らないことを勧められますが、毎回Uberというわけにはいかないかともあり乗車するとこんな感じ。夜間はひと気がないエリアはちょっと心配。実際にパンデミック以降ニューヨーク市での銃犯罪は昨年よりも2倍以上に増えています。
▲ パンデミック前はニューヨークでマスクをしている人なんて見かけませんでしたが、今では駅の構内にもマスクショップができています。
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レストランでのタッチレス化にドギマギ

現在、ニューヨークでは期間限定で公共の道路にレストランのテラス席の設置を法的に許可し、屋外での食事が楽しめるようになっています。いまだにデリバリーも多いのですが、外で食事が楽しめるのはうれしいことです。

先日、クオモ州知事より、9月30日から25%のキャパシティで店内飲食の許可も出たので、冬場もどうにかレストランでも食事が楽しめそうです。
▲ このように道路にせり出した屋外シートが現在では許可されていますが、店によっては雨の日は屋根がないため一気に売上が減少するなど、今でもレストラン業界は苦しい状況です。
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▲ 屋外でも席と席の間は6フィート離すことが求められているので、意外と優雅に食事をできます。
▲ ニューヨークらしいなと思うのがカクテルのテイクアウト人気です。このように出来上がったものを販売するお店もあれば、家に帰って自分で混ぜるキットも販売されています。
レストランはいわゆる密集が危惧されるので、変化が顕著でした。まず、屋外シートもパーテーションで仕切られているお店が多く、距離が保たれています。スタッフはゲストが使用した後のテーブルや椅子をスプレーで入念に掃除している姿が見られるのですが、風によってスプレーが食事をしている私たちにかかっても、「お構いなし」という態度が面白い。

そして紙のメニューなどが姿を消し、テーブルにQRコードが貼られていて、携帯からメニューを読み取るお店が増えました。あとは決済方法にも変化が見られます。カードやサインをすることで接触が増えるので、こちらもレシートのQRコードを読み取って携帯からお支払い、というお店が増えてきた模様。いつもならカードを持った店員さんがなかなか戻ってこない〜、とか、カードが不正にスキャンされていないかなどと言った不安もあったので、個人的にはこの決済方法はスピーディでいいと思っています。
▲ メニューもQRコードで読み取るお店が増加しています。デジタル化が進み、年配の方々にはハードルが高いのか?
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不便を感じるショッピングも、新しい形?

ニューノーマルな生活を楽しみつつも正直不便を感じるのはショッピングです。現在、ほとんどのブティックでは試着ができない状態に。「家で試着をして、サイズが合わなければ返品してください」というポリシーのお店も多く、戸惑いを隠しきれません。

ソーホーにある、アイウエアショップ「ワービーパーカー」では、試着したアイウエアを自分で消毒し、使用済みのアイウエアは隣にあるトレイに移すというもの。ここでは試着できるだけマシという印象です。女性で不便だな〜と感じるのが、すべてのメイクアップのカラーが試せなくなったということです。

化粧品大手「セフォラ」ではすべてのテスターは肌につけることは許されず、ショップスタッフに試したいカラーを伝えるとティッシュに色を出してくれるのですが、自分の肌の色と真っ白なティッシュは色がまったく違うし、それでは分からないな〜というのが率直な感想です。男性陣には関係ないことかとは思いますが、こんなところで地味に不便を感じる世の中になってしまいました。
▲ 試着をすると注意をされる店もあるため、恐る恐る様子を伺うなんてことも。ほとんどの店では入店時にスタッフよりルールの説明があるのでご安心を。
ネイルサロンやヘアサロンでも変化が顕著です。先日、ノリータにある「ドレス ヘアサロン」で髪を切ってきましたが、ゲストは入店時に体温を測り、店内はシートとシートの間がすべてクリアボードで仕切られています。

「スタイリストのマスクとフェイスカバーは徹底し、使用した道具はすべて消毒をしています。また、2週間に一度、スタッフのPCR検査を徹底しており、お客様に感染しないようにすることをファーストプライオリティにしています」とオーナーのMIWAさん。

コロナ禍においてヘアスタイルにも変化が現れているそうです。
「withマスクの生活なので、店としてはマスクに似合うバングスにこだわっています。どうしてもマスクをつけると顔の面積が隠れてしまうので、前髪を短くすると明るく、目元もハッキリとした印象になります。ですので、オンザ眉毛かそれよりも短めを提案しています」。

このように、衛生面を保つ厳しい規則だけでなく、ヘアカットのトレンドもニューノーマルです。
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▲ 現在ニューヨーク州ではアメリカの感染が拡大する別の州から来た人の2週間自宅待機を命じています。お客様への感染を危惧し、別の州から来たお客様の管理も徹底しているのだそうです。
ニューヨークはすでに肌寒くなってきましたが、ニューノーマルな冬はどのような新しいことが待っているのでしょうか。引き続きレポートします!

■ お問い合わせ

dress hair salon by MIWA
HP/http://dress-hairsalon.com/newyork
メンズヘアカットは$70〜(MIWAさんによるカット$80〜)
※銀座にも姉妹店あり。

Dress
HP/http://dress-hairsalon.com/tokyo81/

● 菅 礼子

LEON編集部で編集者として勤務後、2018年に渡米。現在はニューヨーク在住。男性誌や女性誌、航空会社機内誌などにニューヨークのライフスタイルの情報から世界中の旅の情報までを執筆する他、ニューヨークでクリエイティブエージェンシーのAYDEAを主催(www.aydea.co)。Instagram(@sugareiko)でニューヨークだけでなくアメリカ&世界の情報を発信中。

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