2020.02.28

【最終便】絶対食べたい「鍋料理」5選

世の中に美味しい料理は星の数ほどあれど、LEON.JPならまず「モテ」なくちゃ。まず旨い、かつモテる=女性ウケ抜群! な目線で厳選したグルメネタ総括編です。

CREDIT :

文/秋山 都  写真/菅野祐二、松井康一郎、sono(bean)

池波正太郎はひとりで食べる「小鍋だて」を好んだといいますが、せっかく鍋をつつくなら誰かと「おいしいよね」ってにっこり、幸せな気持ちを共有したい。
ここでは大切な人としっぽり囲むための冬の鍋を厳選——激辛から、老舗ふぐ店の元祖裏メニューまで、あなたは今夜、どんな人と、どの鍋を囲みますか?

スパイスブームの火付け役⁉ 「クンビラ」の「ヒマラヤ」鍋

「クンビラ」の「ヒマラヤ鍋」1人前2940円
ここ数年、料理界のビッグトレンドのひとつであるスパイスが鍋に! でもこの鍋、ここ最近の“映え”ブームからにわかに生まれたものではなく、恵比寿のネパール料理店「クンビラ」で25年、長野での創業から数えれば41年にもなる老舗のオリジナルなのです。

実はこの鍋、ヒマラヤ山麓ではポピュラーな家庭料理のアレンジだそうで、「もともとは、骨つきのチキンをヒマラヤの黒岩塩とウコンで煮込んだスープで、子供の頃から食べていた料理なんです」とは、ジェネラル・マネージャーの出口美保さん。そのスープをスパイス鍋にアレンジするにあたっては、スープにさらに磨きをかけて、ウコンの他、オリジナルブレンドのガラムマサラを始め、エベレストにしかないピプラやネパール特有のジャイパトリ……ざっと15種類ものスパイスをブレンド。丸鷄からとったチキンスープと合わせれば、独特な深みを持つスパイシーな味わいの鍋が出現します。

食べ進むうちに、次第にカラダがポッポと温まり汗ばんできます。ヒマラヤの雪解け水で作られた、日本ではレアな「アイスビール」や「エベレスト」ビールでカラダのほてりをクールダウンしながら、彼女とヒマラヤ鍋で“発汗デトックス”と洒落こんでみてはいかが? 〆にはすてきに旨いカレー雑炊が待ってます!
15種のスパイスを使った薬膳スープが味の決め手。

◆ クンビラ

住所/東京都渋谷区恵比寿南1-9-11 
予約・問い合わせ/050-3469-7424
営行時間、11:30~14:30(L.O.)、17:00~22:30(L.O.)
土日・祝11:30~14:30(L.O.)、17:00~22:30(L.O.)
不定休

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江戸の粋を伝える 「山さき 」の「ねぎま」鍋

江戸伝統の料理をいまに伝えていた大塚の名店「なべ家」(2016年に閉店)で修業した山崎美香さんが15年前にオープンした「山さき」。
鍋一筋を志す山崎さんのスペシャリテは、やはり「ねぎま鍋」です。
「鍋にはあれもこれも、と入れずにすっきりシンプルにつくるのが江戸前の良さ。その分、素材のよさにはこだわっています」と語る山崎さんの「ねぎま鍋」には、まぐろ、クレソン、芹、ウド、ネギがスタンバイ。鍋にはかつお出汁に醤油、酒、塩で味付けた下地がたっぷりと張られています。
クレソン、芹、うど、ネギとまぐろ。堂々のお姿。
マグロはトロの背と腹の部分を両方使います。
「江戸の料理は色が濃いからしょっぱいのではと言われることもありますが、そんなことはありません。素材の味を大切にした、まろやかな味。吉田健一さんは『江戸料理は親切な料理だ』と書いたそうですが、それは何も足さずにそのままでおいしいから。私のお鍋も、味を重ねるのではなく、引き算で考えています」

と山崎さんが語る「ねぎま鍋」には築地で仕入れる本マグロのトロから、腹の部分と背の部分を2種類使用。口に入れた瞬間にホロリと溶ける腹の部分と、肉の旨味を感じる背トロの両方が味わえます。その脂の口溶けと、肉のおいしさから、相当高級なマグロを仕入れていらっしゃると拝察した次第。

こんなにいいマグロは半生で食べたい、とも思いますが、きっちり火を通すのがおいしさのヒミツ。お好みでふる黒胡椒のピリリとしたアクセントが、マグロの脂と好相性、まさに「出会いもの」です。
〆のお楽しみは汁かけごはん。こちらにも黒胡椒パラリ。
〆は汁かけごはん。硬めに炊いたごはんに、マグロや野菜の旨味が沁みたお出汁をたっぷりとかけて、黒胡椒をパラリ。味見した筆者もカメラマンも、いままでにさまざまな鍋の〆(雑炊やらうどんやらラーメンやら)を食べてきましたが、これが正直マイ・ベストの〆かも、と顔を見合わせる美味しさでした。何度でも食べたいと思わせる、上品で淡白な味わい。飯碗軽く1杯をさらりとかっこむ、江戸の粋な〆ですね。

◆ 山さき

住所/東京都新宿区神楽坂4-2 福井ビル 2階
営業時間/18:00~22:00(L.O.20:00)
定休日/日曜・祝日(12月21日~1月8日冬休み)
予約・お問い合わせ/☎03-3267-2310

●ねぎま鍋 1万800円、ほかにふくちり 1万7280円など

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その旨さは反則! 「ふぐ牧野」の「蟹大根鍋」

11月くらいから「今年、もうアレ予約した?」と話題になる「かに大根鍋」は、食通たちの間で冬の風物詩となっているほどの逸品。でもここ、上野は稲荷町で90年以上続く、ふぐ料理専門の名店ですよね?
なぜ、ふぐ屋で蟹鍋が名物になったのでしょうか?

「元々まかないとして豚肉で食べていた鍋を、たまたま残っていた毛蟹を使って食べていたら、その場にいた常連客が『次にはそれを食べたいな』と言ったの。正式なメニューになった約10年前は、冬の接待といえばあっちでもこっちでもふぐ。だから連れてくる方も、連れられてくる方も、重なれば飽きてくるでしょ?  当時は、みんなコソコソと『蟹の鍋にして』って注文していたのよ。『うちはふぐ屋だ』って大将が怒ってましたね(笑)」
と教えてくれたのは女将さん。つまり、裏メニューだったというわけですね。
鍋の具は毛蟹が一杯と大根のみ。「かに大根鍋」(おおよそ4〜5人前)1万9000円(税別)
イキのいい毛蟹を一杯さばいて、大根と一緒に沸騰したお湯に入れ、カツオ出汁、関東白味噌、手のひら一杯分ほどの鷹の爪、そしてたっぷり30gはありそうなバターをのせてグツグツ。しばらくすると、味噌の香ばしくて甘い香りが。

「開業当時から、白味噌は『ちくま味噌』(東京・深川で300年続く老舗の味噌)を使っているんです。この味噌じゃないとダメね」

目の前の卓上コンロに運ばれてくるやいなや、今度はバターの芳醇な香りと新鮮な大根のほのかにツンとする香りに鼻と食欲を刺激されます。このタイミングで、甲羅から蟹味噌を溶かしてくれていた女将さんの「どうぞ」の掛け声。湯気まで美味しそうな器を手に取り、ふ〜ふ〜。

バターと白味噌、そして蟹味噌が溶け出したスープと、ぷりぷり濃厚な蟹の肉。もはや鍋の主役とも思える、すべての具のうまみをいっぱいに吸い込んだ大根。「ああ、幸せ!」と思わず口からあふれてしまう至極の味わいです。
追加のラーメン 600円(税別)。最初の頃はメニューになかったそう。「若い人やしっかりとシメたい人に」と2代目大将がアドバイスして始まりました。
最後に待っているのは、「雑炊にしますか、ラーメンにしますか」という、究極の選択。まだまだ食べるぞ!というがっつり派なら中華麺がおすすめです。中太の乾麺がスープとほどよく絡み、さながら超豪華な北海道ラーメンような一杯に、満足感もひとしおです。

7~8人で行けば、鍋が2台になるため、ラーメンと雑炊の両方を楽しむなんて贅沢も許されるそう。おまけにこんなイクラの出汁漬けトッピングも! くうぅ、これ反則でしょ!
いくらの出汁漬け 1000〜1500円(量によって金額が変わります) 。

◆ ふぐ牧野

住所/東京都台東区松が谷3-8-1
営業時間/17:00~22:00
定休日/日曜
お問い合わせ/☎03-3844-6659

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今年も予約を急げ! 「ほていさん」の「あんこう鍋」

冬の鍋といえば「あんこう鍋」も忘れちゃいけません。こんもりと乗っておりますコチラは、あんこうの肝。門外不出の味付けで仕上げたあん肝をたっぷりと乗せ、出汁に溶いて食べるスタイルは「ほていさん」ならではのオリジナルです。

鍋の中にはあらかじめ、あんこうの身と皮。あんこうは俗に「あんこうの七つ道具」と言われるように、身だけではなく内蔵や皮などさまざまな部位が食べられるのが特徴。ほろり、ほろりと崩れてゆく肉や、ゼラチン質豊かな皮を肝の溶け込んだ出汁にからめてフハフハ……。

時折ネギのしゃっきりとした食感を楽しんだり、豆腐の意外な熱さに驚いたり…思わず無言で食べ進めてしまう美味しさです。
たっぷり乗っているのは、あんこうの肝。深い旨味にお酒がすすみます。
れんげで肝をグッグッと、沈めるように混ぜていきます。
「あ~美味しかった。ご馳走さまでした」って? ちょっと待った! ここに来たなら彼女もローカーボダイエットは今夜だけ封印。あんこうの旨味、野菜の甘みがすべてギュッと凝縮した「雑炊」を食べなければ、「ほていさん」のあんこうを味わったとは言えませんぞ。
炊はぜひ自家製の漬物とともに。ぬか漬けの酸味で口中を洗いつつ、もうひと口、、と箸がとまりません。
あんこう鍋は突き出し二品、刺身盛り合わせ、あんこう鍋と雑炊、お漬物で7000円(税込)のコースのみ。一度食べたら、毎年通わずにはいられない、恐るべきあんこう鍋。今年もぜひどうぞ!

◆ ほていさん

住所/東京都中央区月島3-9-7
営業時間/月〜金18:00~23:15、土・祝17:00〜22:15
定休日/日曜
お問い合わせ/☎03-3531-5200

●12月と1月は4名以上でご予約ください。

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納豆がいい仕事する、「貴州火鍋」の「豆鼓火鍋」

いままでいろいろ食べてきましたが、世の中にはまだまだ食べたことのない味があります。「新小岩」駅から徒歩6分……三ツ星レストラン好きな美食家とは縁のなさそうな町にひっそりと佇むのが「貴州火鍋」。その名のとおり貴州省の料理を供する店です。

 貴州とは、中国にあって四川省の南、湖南省の西に位置する山岳地帯。苗族やトン族など少数民族が多く住むことでも知られており、店長の林敏(リンミン)さんは、貴州の中でも辛い唐辛子の産地だという遵義出身。その唐辛子はさまざまな方法で発酵され、多様な料理に使われるが、この「発酵」が貴州料理の最大の特長なのだそう。
「貴州火鍋」の「豆鼓火鍋」2500円(2人前)*要予約
「豆鼓火鍋」はこの遵義の郷土料理のひとつ。貴州の豆鼓は麹で発酵させる通常の豆鼓と異なり、納豆菌で発酵させるのが特徴。つまり日本の納豆に近い。ということで「貴州火鍋」の豆鼓火鍋には、日本製納豆を発酵唐辛子と炒めたものを使用しています。

その豆鼓を鍋底に沈め、皮つきの豚三枚肉や野菜とともに蘸水(主に唐辛子)タレでひと口。……ゴフッ、か、辛いっす。でも、それ以上にさわやかな酸味で、後を引くのは発酵によるマジックでしょうか。
鶏ガラ、もみじ、昆布でとった出汁に、唐辛子とともに発酵させた豚の皮つき三枚肉、野菜や納豆を入れ、さらに発酵唐辛子ベースのタレで食す。
「豆鼓火鍋」の〆は鍋底の納豆をさらってごはんに乗せた納豆ごはん。さらりと粘りのない納豆ごはんがこれまた納豆好きにはたまりません!
穴あきおたまで鍋底の納豆や肉のカケラをすくい、ごはんへ。さらりと粘りのない納豆ごはんは旨い!

◆ 貴州火鍋

住所/東京都葛飾区新小岩1-55-1 多田ビル1F 
予約・問い合わせ/03-3656-6250
営業時間/17:00~23:30
定休/日曜

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