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2021.04.26

ちょいダメなオトコが愛される!? 木村祐一が女性にモテるワケ

バツ3の過去や数々のダメ男伝説がありながらも(笑)、後輩に慕われ、しかもモテると評判のお笑いタレント・木村祐一さん。「ちょいダメ」オトコだけど愛されるその魅力に、女優の木村美月さんが迫りました!

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写真/椙本裕子 文/井上真規子

最近では、芸能人の不倫が叩かれたり、少しでも政治的に正しくない発言が厳しく糾弾されたり、人の失敗に不寛容な世の中を、窮屈に感じながら生きている人も多いでしょう。だからこそ、「常に正しく生きている人」より「ちょっとダメなところもあるけれど、飄々と本音で生きている人」の自由さに、癒しのような魅力を感じるのではないでしょうか。

バツ3ながら女優・西方 凌さんとの4度目の幸せな結婚生活を送り、ダメ男伝説もあるけれど実は後輩の面倒見も良く、しかもモテると評判の木村祐一さんは、そんな「軽やかにちょいダメ」オトコの筆頭では⁉と、その生き様に迫ってみました! 

インタビュアーは、女優の木村美月さん。平成生まれの20代女子である彼女にとって、30歳の年の差のある「ちょいダメ」木村祐一さんは、どんなオトコとして映るのでしょう。それでもやっぱり、魅力的!?

「妻からも本当に天然やって言われます」(木村)

木村美月(以下:美月) 「阿佐ヶ谷スパイダース」という劇団で俳優をしている木村美月です。今日はよろしくお願いします!

木村祐一(以下:木村) よろしく願いします。そのワンピース、珍しい色ですね。よくお似合いで。

美月 わ! ありがとうございます。うれしいです! それでは、初めから不躾な質問で恐縮ですが、木村さんといえば4回結婚されていますよね。私からすると、結婚は1回でも難しいと思ってしまうのですが、4回って凄いなと。

木村 プロポーズはたいてい男性がすると思いますが、結婚へと流れをもっていくのは女の人だと思ってて。女の人って「いつうち(実家)に来る?」、「今度の日曜ならお父さん家にいるよ」とかよく言うじゃないですか。もちろん、男性にも相手の女性を好きって気持ちがあるから優しくして、その結果、女性が結婚したいと思うのでしょうけど。

美月 でもやっぱり、木村さんに女性をホンキにさせる魅力があるってことですよね。今のご結婚も、奥様の方からアタックされたとのことですが、どうしてそんなにおモテになるのですか?

木村 自分ではモテるとは思っていないですけど……でも今の歳になって思いますが、自分にはどこか隙のようなものがあるみたいですね。

美月 隙というのは具体的にどんな?
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木村 自覚はないんですが、昔から「天然」ってよく言われます。妻もそう言いますね。この間なんか、僕が充電器にサイズの違う乾電池を入れてしまっていて、妻のインスタに「充電できると思ってるんだろうな〜」って写真とコメント付きで上げられていました(苦笑)。

美月 アハハ。奥様はきっと木村さんのそういう部分に、女心がくすぐられているんでしょうね。先日、木村さん出演の映画『シグナル』(現在公開中。木村さんはベテラン捜査員・山田 勉役を務める)を拝見したのですが、地下駐車場で防犯カメラを探すシーン(※)が印象に残りました。
(※他の刑事役の役者たちが真剣かつ真っ直ぐ立ちで緊迫した話をする中、木村さんだけが真ん中でストッパーに足をかけて脱力した状態でゆらゆらしていてるんです!)
その愛嬌ある仕草に、人柄というか役の幅のようなものを感じました。ちょっとしたシーンですが、真剣なシーンでもギャップを表現できる貴重なキャラだなって。あれは台本に書かれていたんですか?

木村 ああ、あのシーン、ほんまですか(照)。あれは確か、自然にやりましたね。監督の指示とかじゃなく。あの日は雨で、撮影があのシーンだけだったので、それで今日はこれで終わりか、みたいな感じだったと思います(笑)

美月 自然な仕草だったんですね、ますます可愛いです(笑)。

木村 そういえば、あの日の撮影は初めてのロケ場所で、最寄り駅でコーヒーを買おうと近くのコーヒーショップを検索して反対方面の改札口の店に行ったら、ロケ場所側の改札の目の前にドトールがあったんですよ。僕、そんなんばっかで(笑)。

美月 確かに天然かも(笑)。

木村 あとは……僕がソファでウトウトしてて、妻に「眠かったら寝ていいのよ」と言われて、しばらくして寝られへんなと思って「眠たくなかったら寝なくていいの?」って言ったら、「何それ〜! もう一回言って?」って喜んでてて。そういう、自分にとっては自然な返しが喜びになるんやなって。わざと言ってる訳ではないんですけどね。

美月 会話が可愛すぎますね(笑)。
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「手のひらから落ちても、膝の上だから拾ってあげるって」(木村)

美月 天然なところ以外で、奥様から好きって言われるところはありますか?

木村 何しでかすかわからへん、ってよく言われます。そういえば、18歳ぐらいの時に付き合っていた彼女からも、プレゼントでもらったチョコレートに「何をしでかすかわからへんから、あなたから目が離せません」って書いてありました。うまいこと書きよんな〜って。

美月 そんなチョコレート素敵〜! 母性がくすぐられるんですかね!

木村 どうなんですかね。妻は、「この人には何か足りない、それはきっと私だ!」って思ったらしいです。「幸せにしてあげる」って4回プロポーズされて、最終的には「17歳も年下の女性が幸せにしてあげるって言ってるんだから、もういい加減任せなさい」って言われましたね(笑)。
美月 うわ〜〜! すごいうらやましい!! 実際に結婚して、満たされたっていう感覚はありますか?

木村 妻がいないのはもう考えられないですね。これも計画通りらしいんです(笑)。結婚までは僕に全部合わせてたのに、結婚後は僕の生活の細かいこだわりもいい意味で潰してくれて。子供もいらないって言ってたのに「嘘だよ、いるに決まってんじゃん!」って。女性って怖いですね(笑)。でも、手のひらで踊らさせてもらってる感じです。

美月 奥様、すごく賢いというか、しっかりされている印象です。

木村 そうですね。相手のことをすごく真剣に考える人なんです。ちょっとした3000円ぐらいのプレゼントでもすごく真剣に考えるから、見てて偉いって思いますし。

美月 木村さんはそういう部分はありますか?

木村 影響された部分は、かなりあります。プレゼントでも、相手の顔を浮かべて真剣に考えるようになりました。あ、さっき、手のひらで踊らされてるって言いましたけど、妻は「手から落ちても、膝の上だから拾ってあげる」って言ってました、ハハハ(照)。

美月 きゃ〜!! 素敵すぎます! やっぱりモテますね! 最近のモテエピソードはありますか?

木村 う~ん、モテとは違うかもしれないけど、年配の女性で、色々わかってはるやろなって方から褒められるとうれしいです。秋吉久美子さんとか、賀来千香子さんとかに、ちょっとしたシーンだけやったんですけど、「動きが可愛いですね」って言っていただいて。さっきの『シグナル』の話で、足のせるみたいなことなのかもしれんけど。

美月 素敵な女性ばっかりじゃないですか!
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「良いところを見つけて素直に褒める。そしたら相手もうれしいと思うんですよ」(木村)

美月 可愛いらしいエピソードを聞かせていただきましたが、一方で木村さんって、キレやすいとか怖いってイメージも一部であるじゃないですか。でも、エッセイや映画を拝見すると、ちょっと違うなと感じて。よく気がつく方なのかな? って。そこはご自身でどう思われてますか?

木村 今はもう、怒るようなイメージはそんなにないんじゃないですかね? 昔話でそういうエピソードは出てきますけどね。言葉で怖い目に合わせたような人には申し訳ないな〜って思います(笑)。今は家族さえいればいいかなって思うようになってきて。そう思うと、外の人に対しても優しく、丁寧にできるんです。

美月 だんだん考え方が変わられたんですね! 今の奥様で初めて得た感覚ですか?

木村 そうですね。あとは、よく気づくというのは、実際そうだと思います。親には、昔から揚げ足取りって怒られてました。この間も「沖縄国際映画祭」のタイムスケジュールを見てたら、タレント名前がずらっと並んでる中に、僕の名前の祐一の一がなくて。よく見たら「新喜劇すっちー」の“ー”が2個あって、1個は俺のや! って社員に言ったんです。

美月 アハハ(笑)。
木村 そしたら、よく気づきましたねって驚かれて。自分では普通のことなんだけど、そう言われるのは好きですね。中にはマイナスな気付きもやっぱりあるんですけど、そういうことより、良いことの方を自分の中に残していくようにしてます。

美月 さっき、私のワンピースを褒めてくださったのも、そういうことだったんですね。日本人男性って褒めるのが苦手じゃないですか。さらっと褒められる木村さんは素敵です! 普段から女性を褒めているのでしょうか? 

木村 めっちゃ褒めますよ! 『シグナル』の撮影でもみっちゃん(吉瀬美智子さん)に「今のシーン可愛いかったな〜」って言ったりして。世間では、可愛い人にわざわざ「可愛い」って言わないから、本人としてはだんだん言われへんようになっていくんですよね。でも本当はみんな言われたいと思うんです。

美月 それは絶対にうれしいです。色んなことに気づくと、きっと毎日が発見で新鮮なんじゃないですか?

木村 確かにそうですね。NSC(吉本総合芸能学院)の生徒にも、自分を決めすぎるなって言うんです。自分が思うのと、相手に見えてる自分って全然違うから。例えば、黄色は絶対似合わないって思っていても、いざ着たら褒められるかもしれない。したことない服装をしたり、読んだことのないジャンルの本を読んだり、興味のないことにも面白さがあるかもしれない。自分で気付く可能性を潰してしまったらもったいないじゃないですか。僕自身、若い時からそうしてきました。

美月 気づくことを諦めたらそこで終わってしまいますよね。勉強になります。
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「実はLEONを10年以上読んでます!」(木村)

美月 木村さんは、LEONを愛読されていらっしゃると伺いました。今日のコーディネートもとてもお洒落ですね! 

木村 LEONはもう10年以上読んでますね。今も誌面の写真をたくさん撮って、コーディネートの参考にさせてもらってます。

美月 そうなんですね!!  今日は、靴下が可愛いな〜!って思ってました。

木村 いつも足元からからコーディネートするんです。靴、靴下、パンツって順番。あとは、その日に着たいものを一つ決めてそこから考える。このジャケットは、知り合いのテーラーに生地が余ってると言われたんで、作ってもらいました。裏地はパープル。ボタンは特別に僕の出身高校のものを合わせてます。

美月 高校の! めちゃくちゃ素敵ですね! 時計やリングもお似合いです。
木村 時計はセイコーなんですが、妻の父の形見なんです。ベルトは皮だったのを、ブレスレットに付け変えて。指輪は妻の父が亡くなった時に、結婚指輪を俺が付けとくって言ってもらいました。

美月 すごい! 全部にストーリーがある。

木村 そういうのが好きなんですよね。服を買う時も、写真を撮って一旦考えてから買います。時間を置くと、買わなくてもいいかってなるものもあるし。ネクタイとか5000円だからって、その場で買う時ありますけど、妻に「値段じゃない。これが2万円でも買うのかって考えなさい」って怒られたり。そういえば、今さっきも妻から「この服どう?」ってメールきてましたけど(笑)、妻の洋服も全部見てあげてます。

美月 奥様は、ご自分の哲学をしっかり持っていて素敵ですね。それにしても仲良しだな〜!
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「ジョークというか気の利いたボケをさらっと言えるのはカッコいい」(木村)

美月 最後に伺いたいんですけど、木村さんにとっての「いいオトコ」ってどんな人物でしょう?

木村 今思うのは、「奥さんと子供を幸せにしてあげている人」ですかね。

美月 素敵です! ちなみにご自身の評価はどうですか?

木村 良いと思います(笑)。やっと最近、娘が「お父さんと結婚する」って言うてくれてます。

美月 素敵!  昔に比べて、木村さんの中でのいいオトコ像は変わってきてますか?

木村 20代の時は結婚や子供に憧れはなかったです。その頃は、仕事ができて、食べ物にも精通してて、お酒も飲めて、って先輩に対してカッコいいなって思ってました。

美月 今でも芸人の先輩で、憧れる方はいますか?

木村 吉本にも先輩はいっぱいいますけど、まあみんなカッコいいっすね! 100円くれて、「家買うときの足しにしろ」とか、楽屋でズボンはく時に何回も足前に出してコケたりして。ちょっとしたことで笑かしてくれるのって、カッコいいな〜って。

美月 ええ〜、楽しそう(笑)。
木村 最近、浜田さんがボケてるとかテレビでようやられてますけど。ボケって、単にモノを間違うとか、忘れるとか、わかりやすく突っ込まれるようなことだけじゃない。ジョークというか気の利いたボケを、さらっと言えるのは良いっすね。その2つのボケがあると可愛いし、カッコいいなのかな〜って。

美月 可愛くてカッコいいっていうのが、木村さんらしいです。

木村 それから、さんまさんはお祝いとかあったら絶対にひと言くれるんです。「こないだの見たで〜」とか。ちょっとしたことでも言われたらうれしいじゃないですか。だから僕も間違ってもいいから「髪切ったんか〜」とか何か言うようにしてます。

美月 間違ってもいいから相手を喜ばせてあげたいって、素敵です。木村さんの根底にはやっぱり、相手に対しての気遣いがあるんですね!

【インタビューを終えて】

木村さんは細やかさをオモシロと新鮮さに変身させることのできる、素敵なパフォーマーなのだなと改めて感じて、これは「人間モテ」だ! と思いました。対女性に限った話ではなく、自分らしく振る舞われる木村さんは非常に魅力的で、接してるだけで私も元気をいただいてしまったくらい。木村さん、ありがとうございました!  (美月)

● 木村祐一(きむら・ゆういち)

1986年よりコンビ・オールディーズとして活動し、1990年にコンビを解散してピン芸人に。芸人のほか、構成作家として活動しており「ダウンタウンのごっつええ感じ」(フジテレビ)や「ダウンタウンDX」(読売テレビ)などの番組に携わる。2009年には初監督を務めた映画『ニセ札』を公開。「THE MANZAI」「R-1ぐらんぷり」「ABCお笑いグランプリ」といった大会には審査員として参加。

● 木村美月(きむら・みつき)

1994年生まれ。劇団・阿佐ヶ谷スパイダース所属。俳優部。『MAKOTO』や『桜姫〜燃焦旋律隊殺於焼跡』などに出演。自身で脚本執筆や演劇プロデュースもしており、2019年の、ふたり芝居『まざまざと夢』では初脚本と主演を務めた。11月公演予定の阿佐ヶ谷スパイダースの新作にも出演予定。
Twitter/@MiChan0315 

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