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2020.11.07

【第32回】

【後編】美人作業療法士が遭遇した、とんでもない修羅場とは?

美人とは「美」という高スペックを備えたスーパーカーのような存在。その“スーパーぶり”に男は憧れるわけですが、果たしてそのスペックは彼女に何をもたらすのか? 「ワイングラスのむこう側」(cakes)で人気の林伸次さんが、世の美人たちの隠された恋愛事情に迫ってみる連載です。

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取材/林伸次 写真・構成/木村千鶴

「ワイングラスの向こう側」(cakes)でおなじみ、奥渋谷のバー「BAR BOSSA」(バール・ボッサ)のマスターにして作家の林伸次さんが、バーテン仕込みの絶妙な話術でさまざまな美人さんの本音を聞き出す連載です。

テーマは今どきの美女たちの”悩める恋愛事情”。美人が出会った最低男を裏テーマに、彼女たちの恋愛体験(主に失敗)談と本音の恋愛観に迫ります。

第32回目のゲストは、前回(こちらに引き続き、作業療法士の美嘉さん(32歳)。前編では、ちょい不良な高校生活から受験勉強に打ち込み、晴れて今の仕事に就いたこと、そして、ちょっぴりハンターめいた恋愛観を話していただきました。後編では仕事中の修羅場なんかも教えていただきます。

心を開いてくれるまで、ただ会いに行くだけ、ということもあります

── 前回は作業療法士になるまでのお話を聞きましたが、専門学校を卒業してからはどんなところで働いてたんですか。

「神経系の治療をしたかったので、大学病院に勤めていました」

── 神経系というと?

「端的に言うと、病気や事故で脳や脊髄が病変したり損傷したりして、身体を動かせなくなった人などのためにするリハビリ、が多いでしょうか」

── 凄く大変そうなお仕事ですね。身体に動かない部分があると人ってわがままになりませんか。そういう人と接する仕事は、ストレスが溜まりそうだなって思うんですけど。

「それは本当にないですね。もうまったく動かなかった手が握れただけで、患者さんと一緒になって『わっ、動いたよね!今動いたよね』って、うれしくて」

── あ〜達成感があるんですね。やっぱり感謝されるんだ。

「そうですね、一生懸命やったぶん」

── そうか〜、でもきっと仕事で活躍されてた人なんかが、病気でその仕事を離れて身体が動かなくなっちゃったりしたら、きっと落ち込んでますよね。

「はい、私の患者さんでも有名な企業の役職だった人や社長さんなどもいます」

── これまで頑張ってきた自負の人がそういう状況になって、嫌になって投げ出すことはないんですか。

「プライドがあるからうまく誘導しないと難しいですね。投げ出すこともありますよ」

── そうなったら、頑張ろう!ってところから始めるんですか。

「頑張ろうというか、そうなったら、まあ別にいいかってことにして、毎日会いに行くだけ。それでやっとこさ心を開いてくれるみたいな」

── それじゃ身体のリハビリだけでなく、心理的なことも込みなんですね。

「そういう部分もあります。10代の子がバイク事故で脊髄損傷になって、もうこの先歩くことができない、というケースもありますから」

── そうか……そういう人もいますよね。

「そのリハビリをどうやっていくかとかね。心を閉ざしていますから、私のことを見てくれるという状態までに2カ月くらいかかるんです。それまではやっぱりただ会いに行くだけ」

── わ〜、辛い。すみません、そこで恋愛って生まれるんですか。だってそうして親身にしてくれると好きになりますよね。

「ありましたね。まあ、私達の仕事は接近戦なので。ただの骨折で来た18歳くらいの子とかは下心で一杯だからよくあるし(笑)。あ、私に対する下心じゃないけど、思い出に残っている人がいます。その人は完全な麻痺じゃなくて下半身が動きにくい状態だったんですが」

── どんな思い出ですか。

「その患者さんを担当してされた相談が『正常位でやりたい』でした。彼女とセックスする時に、体力がもたないから基本的に騎乗位だってことで」

── あ〜そうか、でも目標としては良さそう。

「なので『わかった!』って言って、めっちゃ四つん這いの練習して(笑)」

── ワハハ!

「めっちゃやりましたよ。『3分じゃまだダメ、それじゃウルトラマンだよ!』って(笑)」

── やっぱりみんなセックスのためなら本当に頑張るんですね〜。

「はい、みんな頑張ってる!」

── しかしいろんな人がいるな〜。
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病院にはマンガみたいな修羅場もあるんですよ

「静かな修羅場に遭遇したこともありますよ。大量の脳出血になって、意識が戻らず人工呼吸器をつけた、大変お金持ちの患者さんだったんですけど、和服を着た奥様が毎日見舞いに来ていたんです。娘さんもよく来ていて」

── ハイハイ。

「それが娘じゃなかったんですね。実は愛人で」

── わあ〜怖い。

「そしたらある時、鉢合わせしちゃって、『いつもお世話になってます〜』って愛人が言ったんですよ」

── はい、ゴングが鳴りました。

「“おいおい喧嘩をふっかけるんじゃないよ”と思いながら私はね、足の関節を動かしたりしているわけですよ」

── ワハハ!

「まあ派手な服装の愛人だったんですけど、奥さんが『やっぱり若い方はそうやって肌を見せていていいわよね。でも冷えるんじゃない?(笑)』って言い出して。そしたら愛人が『い〜え〜。でもさすが、年齢を重ねるとお着物がお似合いで。まあ肌も出せなくなるんでしょうけど』ってやり合ってて」

── その場に居合わせたら、僕もどうしたらいいかわからない。

「もういたたまれない気持ちでリハビリしながら、患者に『お前最低だぞ、私を巻き込むな』って思ってました」

── 本当にそういうことあるんですね。お葬式に来るのは聞いたことあるんですけど、病院にも来るんですね。

「そう、あるんですよ。この仕事をしていると本当にいろんな患者さん、いろんなご家族に会います。その中でマンガみたいなお金持ちにあったこともあります」

── どんな人ですか。

「詳しい仕事は言えませんが、門から玄関までクルマで行くような家に住んでいて、その方が脊髄の病気で入院している時に私が担当したんですけど、奥様が毎日運転手付きのロールスロイスでお見舞いに来られて」

── 本当にマンガみたい(笑)。

「その方が退院する時に、奥様が『先生お世話になりました』って分厚い札束を私の制服のポケットに入れてきたんです」

── えええええ! そういうお金ってもらっちゃうんですか。

「いや、もらっちゃダメ(笑)。でも正直、5千円や1万円だったらスッと入れちゃいますけど、それは額が(笑)。帯がついてるくらいの札束だったので。でも私が返しても知らない間に入れてるから、どうしようと思って、理事長に言って病院に寄付してもらいました」

── え〜〜もったいない!でもやっぱり患者さんにも気に入られるんですね。

「そういうことは多いですね。その方には息子さんがいたんですが、うちの息子、どうですかってお見合い写真みたいなのを持ってこられて」

── それどうしました!?

「お金持ち!って思ってちょっと心が揺れましたけどね、お断りしました」
PAGE 3

『モダンラブ』を観て、“たぶんあいつだな”って思って連絡したんです

── またそれももったいない(笑)。美嘉さんは今まで男性のことを好きになったことはないんですか。

「かつてひとりだけいました。心地の良い人でした。なんで別れたかは自分たちでもわからないんですけどね。今でも年1回くらいは会う機会があるんですけど」

── そこで再燃したりは。

「ないですね。もう彼が結婚してるから」

── なんで彼と結婚しなかったんだろうって思いはあったりしませんか。

「少し思います。『モダンラブ』という海外ドラマを配信で観ていて、それに「あなたの人生で最大に愛した人は誰でしょう」という問いがあったんです。その時に、“多分あいつだな”って思って、連絡したんですよ。モダンラブ観た?って」

── うんうん。

「そしたら、観たって。俺も同じこと思ったって言ってました」

── え〜すごい切ない〜。それは本人たちも切ない思いなんですよね?

「ん〜切ないのかな〜。心がくすぐったくなる、いい思い出かも」

── そうですか〜、聞いてると十分切ないですけど。でももう彼とはもう戻ることはないですか。

「多分一緒になってたら、こんな綺麗な形で思えなかったんでしょうね」

── あ〜そうか、ちょうどいい綺麗な感じで終わったからこそ、いつまでもあの人だったのかもしれないって思うんですね。

「うん、そう思いますね」

── あ〜いい話ばかりだった〜。今日はありがとうございました!

【林さんから〆のひと言】

本当に「強い」、強いの一言ですよね。セックスの時も自分が男性より上であることを求めるし、自分がやりたい仕事を若いうちに見つけてそこに向かって努力する、本当に素敵な人生。でも、天職のような職業に出会って、自分だけの道を歩き出しても、恋愛のところでは、こんなロマンティックな恋をするんですね。やっぱり切ない恋って良いものですね。

■ bar bossa(バール ボッサ)

ワインを中心に手料理のおいしいおつまみや季節のチーズなどを取り揃えたバー。 BGMは静かなボサノヴァ。
住所/東京都渋谷区宇田川町 41-23 第2大久保ビル1F
営業時間 / 月~土 19:00~24:00
定休日 / 日・祝
問い合わせ/TEL 03-5458-4185

● 林 伸次(はやし・しんじ)

1969年徳島県生まれ。早稲田大学中退。レコード屋、ブラジル料理屋、バー勤務を経て、1997年渋谷に「bar bossa」をオープン。2001年、ネット上でBOSSA RECORDSを開業。選曲CD、CD ライナー執筆等多数。cakesで連載中のエッセー「ワイングラスのむこう側」が大人気となりバーのマスターと作家の二足のわらじ生活に。最新刊「なぜ、あの飲食店にお客が集まるのか」(旭屋出版)は、林さんが「このお店はすごい! 」と感じた飲食店のオーナーに自らインタビュー取材。繁盛店の秘密に迫ったドラマティックなビジネス書です。

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