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2025.12.27

成宮寛貴インタビュー。「『サド侯爵夫人』は普通であれば復帰1作目には選ばない作品だと思います」

成宮寛貴さんが、宮本亞門さん演出の舞台『サド侯爵夫人』で12年ぶりに舞台に出演、主演を務めます。舞台の復帰1作目が宮本さんの演出作品となった経緯や、今回の舞台にかける並々ならぬ思いを伺いました。

CREDIT :

文/浜野雪江 写真/内田裕介 スタイリング/杉長知美 ヘアメイク/INOMATA(&’s management) 編集/森本 泉(Web LEON)

サド侯爵夫人 LEON 成宮寛貴 三島由紀夫


今年3月に配信ドラマ「死ぬほど愛して」で俳優に復帰した成宮寛貴さんが、宮本亞門さん演出の主演舞台『サド侯爵夫人』(2026年1月上演予定)で12年ぶりに舞台に出演します。


芸能界を離れていた8年の間、どのような時間を過ごし、再び“演じる”仕事をやりたいと思うに至ったのか。そして、宮本亞門さんといえば、成宮さんが17歳で俳優デビューを飾った舞台作品の演出家。舞台の復帰1作目が宮本さんの演出作品となった経緯や、今回の舞台にかける並々ならぬ思いを伺いました。

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東京の暮らしで囲まれていたものは全部処分してトランク1つで海外に

── 成宮さんが配信ドラマ「死ぬほど愛して」で俳優に復帰されるまで8年の時が経ちました。芸能界を引退したあとも、出演の打診はずっと続いていたそうですね。


成宮寛貴さん(以下、成宮) 舞台や映画のお話もあれば、広告のイメージキャラクターのお誘いもいただきました。けれど、僕自身、この世界が大好きだからこそ離れたいという心境だったので、すべてお断りしていました。

サド侯爵夫人 LEON 成宮寛貴 三島由紀夫


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── 引退後は海外へ、ご自分を見つめる旅に出られたとか。


成宮 東京では様々なものに囲まれ、豊かに生活していましたが、それらを全部処分してトランク1つで出かけました。いざ海外で暮らし始めると、なんだ、トランク1個で生活できるじゃないかと初心に返れたし、何よりも日々の生活の中で感じる些細な喜びが身に染みて、ひとつ一つの事柄を、「ああ、これって楽しい~」と感じながら生きていました。


最初に滞在したのはインドネシアで、毎日海を見て、すごく綺麗な夕日に包まれ、毎日本当に感動して……。1年半経ったある日、これ以上この夕日を見ていたら甘えになってしまうと思い(笑)、暖かい国からヨーロッパに移動しました。

── ヨーロッパでも新鮮な体験はありましたか?


成宮 オランダは、人々の生活に花が身近で、値段も日本の半分くらいで買えます。僕も花が好きなので、色々な種類の花を買って、色や形を組み合わせるのが楽しくて、気づくと1時間近く(フラワーコーディネートに)没頭していたこともあります。手や指に絵の具を付けて描くフィンガーペインティングを始めたのもその頃です。


そうした中で色を求めたり、柔らかい花びらに触れることで生命を感じてハッとする瞬間がありました。同時に、ふと我に返ると、自分はやはり何かを表現をすることが好きだと思いました。

サド侯爵夫人 LEON 成宮寛貴 三島由紀夫

▲ ジャケット6万2700円、シャツ2万5300円、パンツ3万800円、ブーツ6万3800円/すべてLAD MUSICIAN(LAD MUSICIAN HARAJUKU)

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── 4年間の海外生活を経て帰国後は、表現の新たな形態として始められた「HN Prpduct」(※)のプロデュース業に専念。そこから再び役者を始めるきっかけがあったのでしょうか。

※現在はコンフォートライフスタイルブランド「NU DO.」を展開。

成宮 配信ドラマ「死ぬほど愛して」は原作者である樹林伸さんとゆう子さん姉弟と長年のお付き合いがあり、帰国のご報告をしたあとお会いした際に、主演のオファーをいただきました。でも、自分の中でまだ時が来ておらず、お断りさせていただきました。


それから1年半後にもう1度、同じ役でオファーをいただき、1度お断りした役のオファーをもう1度いただけたことにご縁を感じましたし、ちょうどその頃、現場を回してくださるスタッフとの出会いがあったり、活動再開に必要な準備も整いつつありました。


なにより、ドラマの台本を改めて開いた時、今の自分なら、今までにできなかったような芝居ができるのではないか? という、自分自身に対する期待が持てるところまできていたので、お受けすることに決めました。


さらに、本当に奇遇なことに、樹林先生ご姉弟原作のドラマからいよいよ活動をスタートすると決めたタイミングで、海辺で開かれたジャズのコンサートに行ったら、偶然、目の前に亞門さんがいらっしゃいました。

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今後を考えると自分を破壊するような作品に挑戦すべきだと思った

── 宮本さんもジャズを聴きに来られていて、バッタリ会われたのですか?


成宮 はい。「久しぶり! なんて偶然なんだ!!」みたいにお互いとても驚いて(笑)。宮本亞門さんは、僕のデビューのきっかけになった舞台作品の演出家なので、当時の思い出が一気に蘇り、「実は僕、復帰を考えているんです」と話したら、日を改めてお食事に誘ってくださったんです。


次の食事のタイミングでは、僕が今どんな作品に興味があるかとか、どういう役をやりたいかという話を引き出してくださって、まるで、見えないものに導かれているような感覚でした。


そのあと少し時間が経ってから、これでどうだ! といただいたオファーが、三島由紀夫の戯曲『サド侯爵夫人』のルネ役でした。

サド侯爵夫人 LEON 成宮寛貴 三島由紀夫


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── 『サド侯爵夫人』は、18世紀フランスを舞台に、背徳の人・サド侯爵を巡り対立する6人の女性の会話劇。人の心の奥底に潜む欲望や葛藤を描いた傑作と評される作品です。


成宮 台本を読ませていただくと、僕はただの1行でさえしっかりと理解していないのではないか? と思うほどの難解さがありました。久しぶりの舞台としてはとてもハードルが高いと正直感じた上で、普通であれば復帰1作目には選ばない作品だと思います。


でも、人生には大きな壁を乗り越えなくてはいけない時があり、僕のこれまでの人生を思い返すと、その乗り越えなくてはいけない地点には必ずキーパーソンとなる人物がいて、その方としっかり手を結ぶことで確実に次へ行けた。今回もきっとそうなるのだろうと感じています。


また、今後自分がどのように生きていくべきかを考えた時に、俳優として皆さんにしっかりと見ていただくには、自分を破壊するような作品に挑戦すべきだし、そこに立ち向かう姿勢を見せたいという思いもあって、この『サド侯爵夫人』は絶対に挑戦するべきだと思いました。


難しい挑戦であることは亞門さんも重々承知で、「断られる覚悟でオファーしたよ」とおっしゃっていたし、僕が「挑戦する」と答えたからびっくりしたみたい(笑)。

── 自分を破壊する、とはどのような感覚でしょうか。


成宮 この作品に対峙するには、今の僕の持っている物差しでは到底足りないと思わされたし、それを一度壊して、身も心も作品世界に没頭し、今まであった常識を壊しながら新しく構築していかなくてはいけない。


その過程にはおそらく、恥じらいや怖さがあって、そのようなものが邪魔をするけれど、そうした自分をも破壊して、次なる自分をもう一回構築していくというか。積み木の模型を一気に崩して新しく作り直してみると、意外と違う形になったりするようなイメージです。

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サド侯爵夫人 LEON 成宮寛貴 三島由紀夫


── 過去の出演作では、ドラマ「ごくせん」の生徒役を始め、「相棒」シリーズでの刑事役など、ドラマでの成宮さんに親しんだ視聴者も多いと思いますが、ご自身としては俳優デビューされた「舞台」という場に特別な思いがあるのでしょうか。


成宮 絶対に舞台も挑戦したいという風には思っていました。今いる場所からさらにジャンプしないと到達できないような、そのような作品に自分を立ち向かわせていくことも役者には大切だとわかっているし、今こそ、そのタイミングだと感じています。

── 12年ぶりの舞台で、難度が非常に高い舞台作品に挑戦するというのは、決断するまでに迷いや怖さはなかったですか?


成宮 怖いとか、ドキドキするとか、それも役者の魅力のひとつなのかなと思っています。


(後編に続きます)

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サド侯爵夫人 LEON 成宮寛貴 三島由紀夫

● 成宮寛貴(なりみや・ひろき)

1987年9月14日生まれ。東京都出身。2000年に宮本亞門演出の舞台『滅びかけた人類、その愛の本質とは…』でデビュー。主な出演作に、ドラマ「ごくせん」(02年)、「オレンジデイズ」(04年)、NHK大河ドラマ「功名が辻」(06年)、「ブラッディ・マンデイ」(08年)、映画『NANA』シリーズ、ドラマ「相棒」シリーズなど。2025年3月にABEMAオリジナルドラマ「死ぬほど愛して」にて8年ぶりの俳優復帰。2026年1月からは12年ぶりとなる舞台『サド侯爵夫人』に主演が決まっている。

サド侯爵夫人 LEON 成宮寛貴 三島由紀夫 宮本亞門

『サド侯爵夫人』

『サド侯爵夫人』は三島由紀夫が友人である澁澤龍彦の著書「サド侯爵の生涯」に触発され創作した戯曲で、人間の心の強烈な欲望と道徳の規範を美しくも残酷な言葉で描き出した傑作。18世紀フランスを舞台に、「サディズム」の語源にもなった悪徳の限りを尽くすサド侯爵をめぐり、彼を待ち続ける貞淑な妻、ルネ夫人他5人の登場人物たちを中心に展開される会話劇。演出は『金閣寺』の舞台化、『ライ王のテラス』、オペラ『金閣寺』『午後への曳航』を手がけ、三島作品への深い洞察と独自の美学から、作品世界に常に息吹を与える宮本亞門。出演は成宮寛貴がルネ・サド侯爵夫人を演じるほか、東出昌大、三浦涼介、大鶴佐助、首藤康之、加藤雅也とすべて男性キャストが務める。

2026年1月8日(木)~2月1日(日) 紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA

2月5日(木)~8日(日) 森ノ宮ピロティホール

2月13日(金)・14日(土) 穂の国とよはし芸術劇場PLAT 主ホール

2月17日(火)・18日(水) 福岡市民ホール中ホール

公式HP/https://tspnet.co.jp/sade/

■ お問い合わせ

LAD MUSICIAN HARAJUKU 03-3470-6760

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