2025.11.12
渋谷すばる(44)「自由で楽しいオヤジになるために、誰に対してもまっすぐに向き合いたい」
LEON世代へと突入した渋谷すばるさん(44歳)。歳をとるほど人生が楽しくなってきたという彼の描くカッコいいオヤジ像は、“なんか楽しそうやなっていうのが伝わってくる人”。「大人になって自由に過ごすということは、責任感の上に成り立っていると思うんです」
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撮影/トヨダリョウ 文/松永尚久 編集/菊地奈緒(Web LEON)
44歳はただの数字。歳を重ねていくほどになんだか人生が楽しくなっています

── 渋谷さんもLEON世代となりましたが、40代で変化したことはありますか?
── 音楽の部分でもそうですか?
渋谷 振り返ると、30代の頃は若かったと思いますね。自信も余裕もなかったから、とにかく自己主張が強かった。40代に入って、変なこだわりが抜けていったというか、なんかどんどんシンプルになっている感覚はありますね。
自己主張をなくす必要はないと思うのですが、それはちょっとだけもっていればいいんだなっていう気がします。今はそれよりも、なんかこう、みんなで楽しく音楽をやれていることが大事というか。楽しく作ったものは必ず雰囲気が伝わると思うので、そこを大切にしたいという思いが強いですね。
── なるほど。アルバム『Su』は、まさに楽しい雰囲気の作品になっていますね。
渋谷 今回はとにかくライブを意識して曲を作りました。もちろんCD(音源)を聴いて楽しんでいただくだけでもありがたいのですが、そこから発展して「ライブへ行きたい。会場でみんなと一緒に歌いたい」という気持ちになってもらえるような楽曲を制作しようと思いました。

渋谷 デモの段階で、アレンジも含めて完成形に近いものを自分で制作して、そこからアレンジャーの方に参加していただくという流れが多かったですね。自分が作ったアイデアのいい部分をさらに伸ばしてもらうとか、エッセンスを注入してもらうみたいな。そういう形で楽曲のクオリティを上げていただく感じでした。
── 渋谷さんのアイデアが詰まった結果、とても多彩なサウンドになりましたね。歌詞の部分ではどうですか?
── 楽しさは冒頭の「繋がる -Su ver.」からも伝わってきます。この楽曲は、盟友であり作詞を手がけている横山裕さんの発表曲をThe Birthdayの皆さんが演奏によって再構築したものですよね。
渋谷 横山から歌詞が送られてきて、衝動的に僕が感じたことをメロディにしたのですが、それだと彼と一緒に歌うにはキーに合わなかった。今回収録したのは、デモで彼に送ったボーカルテイクをそのまま使ってThe Birthdayの皆さんに演奏いただいたもので、楽曲の初期衝動が詰まっています。

渋谷 純粋に懐かしかったですね。グループに所属していた頃は、彼の歌詞にメロディをつけるということをやっていたので。今回、横山のこれからどういうことをやっていきたいのかという思いを聞いて、感銘を受けた。その数日後に送られてきた歌詞から無意識に生まれたものをメロディにして歌ったという感覚でした。
── 未来に向けて疾走する2人の姿が伝わる仕上がりです。また、横山さんがゲストボーカルに参加しているタイトル曲「Su」もエモーショナルな内容。特に関西弁でシャウトするボーカルがインパクト大でした。
渋谷 関西弁を使う楽曲を発表するのは、ずっとやりたかったことの1つ。自分のアイデンティティでもあるので、関西弁で畳みかけていく曲を収録できたのは、うれしかったですね。
── ファンキーでゴージャスなサウンド展開が印象的な「with U」はLEONっぽい雰囲気だと思いました。
渋谷 (笑)。LEONっぽく作ろうとしたワケじゃないんですけど、今まで作ったことのないような音にチャレンジしてみたいなと思って。お洒落でダンサブルな大人のポップスを制作しました。

渋谷 そうですね。「Final Note」や「POPEYE」はロックンロールですし、そういう効果があると思います。
── ほかの楽曲も聴き応えのあるものばかり。さまざまなキャリアを重ねたからこその深みや表現力を感じました。
渋谷 今回の制作はとにかく楽しかったんです。時間も限られてどんどん締め切りが迫っているという緊張感はあったのですが、それが逆によかったというか。限られた時間の中で自分が作りたいことを最大限に表現していくこと。焦りそうなところをちょっと耐えながら、納得のいくアルバムに収録すべき楽曲が完成するまで、じっくり進行することができて楽しかったですね。
渋谷 何年か前やったら、こういうふうにはできなかった。もっともっと突き詰めたいという気持ちが強かったから。今は、やれる範囲でできることを追求したいと思っています。
なんかこの人楽しそうやなっていうのが伝わる人ってすごくカッコいい

渋谷 ライブをするごとに、どんどん変化・進化していて、今は皆さんに楽しんでもらうというか、楽しませる自信がある。ライブでの表現、どういう見せ方ができるかっていうところも、たくさんの仲間がいるんで、みんなで考えて突き進んでいきたいと思います。
渋谷 カップルで足を運んでくださる方も大勢いらっしゃるので、ぜひ遊びにきてほしいです!
── そんな渋谷さんの思う、カッコいいオヤジ像とは?
渋谷 なんかこの人楽しそうやなっていうのが伝わるのってすごくいい。大人になって自由に楽しく過ごすということは、責任感の上に成り立っていると思うので、強さも感じます。
── そんな自由で楽しいオヤジになるために、渋谷さんが追求したいことは?
渋谷 誰に対しても、まっすぐに誠実に向き合いたい。昔からそういう思いが根っこにあったのですが、最近はよりストレートに表現できるようになってきたのかなって思います。

渋谷 実はスーツを1着も持っていないというか、オーダーメイドしたものがないんですよ。グループで活動していた時の衣装はあるのですが、自分でお店に足を運んで、あつらえてもらったことがないので、挑戦してみたいです。
── オーダースーツ企画の際には、ぜひお願いします! 年齢を重ねると体型の変化などもあると思いますが、体型や体力維持のためにしていることはありますか?
渋谷 継続して何かをやってはいませんね。忙しい日が何日か続いたりすると、体を動かしてストレス発散する感じで。ボクシングジムに通っていたことがあるので、疲れが溜まったなって時にだけ、ボクシングのトレーニングでぷわーっと体を動かして汗をかいてスカッとする。それでリフレッシュしています。
── 最後に、いくつになってもモテることに積極的なLEONオヤジについてどう思いますか?
渋谷 素晴らしいと思います。人生を満喫されている感じがする。人間ってモテたいって思うことが大事なのではないかって。誰かを意識することで、自分の在り方って変わるのではって思いますし。

● 渋谷すばる(しぶたに・すばる)
1981年9月22日、大阪府生まれ。グループ活動を経て2019年より本格的にソロ活動をスタート。11月15日の中国・上海公演を皮切りに、渋谷すばる ASIA TOUR 2025-2026「Su」を敢行。26年3月5日は東京・⽇本⻘年館ホールにて。https://shibutanisubaru.com

■ 『Su』通常盤(CDのみ)3300円/トイズファクトリー
1年ぶりとなるオリジナル・アルバム。今年春にリリースされた配信シングル「さらば」などを含む全12曲。横山裕、The Birthdayのほか、藤森真一(藍坊主)、玉屋2060%(Wienners)など、個性的なミュージシャンが多数参加し、彼独特の伸びやかさと強さを放つ歌声を際立たせる。アルバムの制作ドキュメンタリーやインタビュー映像などが収録されたBlu-rayとフォトブックがパッケージされた初回限定盤も発売。















