2025.08.30
橋本環奈インタビュー。「恐怖心と高揚感は紙一重。テンションが上がって多分ドーパミンが出ています」
2022年に公開されて大ヒットした橋本環奈さん主演によるホラー映画『カラダ探し』。その最新作が、この秋公開されます。前作に続き主人公・明日香を演じる橋本さんに、ホラー映画ならではの撮影の裏話、多忙を極めながらも大事にしている仕事のマイルールなどを伺いました。
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文/飯田帆乃香 写真/土屋崇治(TUCCI) スタイリング/滝沢真奈 ヘアメイク/NAYA 編集/鎌倉ひよこ

ウェルザードという著者によるこの作品は、ある高校生たちが時間のループに取り込まれ、真夜中の校舎で血まみれの少女の霊“赤い人”に追われ無残に殺されるも、時間を前日の朝まで戻されては蘇生する毎日を繰り返すというストーリー。殺されバラバラに分割されたカラダのすべてを見つけないとループを抜け出せないというデスゲームに巻き込まれてしまった彼らの恐怖と奮闘を描きます。
2022年に公開された橋本環奈さん主演による映画『カラダ探し』は興行収入11.8億円を記録し大ヒット。その最新作『カラダ探し THE LAST NIGHT』が、この秋公開されます。前作に続き主人公の高校生・明日香を演じる橋本さんに、3年ぶりに制服を着た感想や、ホラー映画ならではの撮影の裏話、多忙を極めながらも大事にしている仕事のマイルールなどを伺いました。
赤い人の足音が近づいてくるドキドキ感、ぜひ体感してください
橋本環奈さん(以下、橋本) 明日香は物静かな女の子で、自分から行動できるタイプではなかったけど、カラダ探しに向き合い、周りのみんなに支えられて強くなりました。そんな前作からまったく違った立ち位置で、新たなカラダ探しが始まります。

橋本 当時は決まっていなかったので、今回またこの作品をつくることができると聞いて驚きました。学生さんを中心にたくさんの人に観ていただいたおかげだと思います。本当にありがたいです。
── 久しぶりに高校の制服に袖を通して、明日香に戻る感覚はありましたか?
橋本 そうですね。血のりのついたボロボロの制服を着た時に“ああ、戻ってきたな”と感じました。同時に、ちょっとホッとしたところもあって。あれから3年経っている自分が、明日香とかけ離れていないか不安もあったので。
橋本 試写を観て私も思いました。前の映像をうまく繋げて、自然な流れができていて、羽住監督、見事ですよね!
── 今回はおひとりのシーンが多い橋本さん。深夜の遊園地でカラダ探しをしている高校生チームの奮闘は、いち観客として応援できたのではないでしょうか。
橋本 はい。みんなフレッシュで可愛い。そして迫真の演技が、本当に素晴らしかったです。劇中でポップな音楽や映像が流れる演出もあり、遊園地というテーマにすごく合っていました。

橋本 郷敦がスクリーンに出てきた時に、カラダ探しを経験した者としての安定感がありました。
── ジェットコースターの印象的なシーンがありますが、皆さんの演技は迫力があり、大きなスクリーンで観るべきだと思いました。
橋本 音楽や映像美はホラーの醍醐味。やっぱり、劇場で観ると格別ですよね。事前に台本で「高広がここにいる状態でジェットコースターが動き出す」みたいなト書を読んだ時は、“え、ここで動き出して大丈夫⁉”とびっくりしましたし、遊園地の現場はそういう想像を超えるシーンがたくさんあったので、高校生チームも含めて本当に大変だっただろうなと思います。
橋本 私の現場は埃っぽくて、陰鬱とした空気が漂っていました。そこにCGと効果音が足されて恐怖感が増した映像になっています。

橋本 スタッフさんに「高広がここにぼんやり出てきます」と指示をいただいた状態で、想像を膨らませながら演じました。あとは「そこに石が飛んできます」と言われたところに向かって「うわーっ!」と構える演技をしたり。その点は前作より大変だったかもしれないです。でも、美術チームのセットが精巧だったおかげで助かりました。CGに頼るだけではなく、目に入る環境をしっかり整えてもらえたことで嘘のないお芝居をやりやすかったです。
── おひとりでも恐怖のテンションを演じられるのはさすがです!
橋本 死の境地に立たされた時の立ち居振る舞いは、こちらがオーバーかなと思うくらいの表現じゃないとリアリティに欠けるというか、観ている人が冷めちゃう気がしています。だからベクトルを上げる意識で演じますが、ホラーあるあるなのか、そんな映像とは真逆に撮影現場はすごく明るい雰囲気で進行するんです。たぶん、テンションを上げて演じているからドーパミンが出ていて。前作の現場でも感じましたが、恐怖心と高揚感は紙一重なのかなと思います。
── たしかに、ゾクッとする時も熱狂する時も、鼓動がドキドキする現象は同じですよね。今回は、木村佳乃さんとの初共演も見どころでした。
橋本 私も、佳乃さんと共演できることがうれしくて、撮影を楽しみにしていました。いざご一緒させていただくとイメージ通り! いつも明るくサバサバしていて、周りを惹きつける魅力に溢れていました。特殊メイクに時間がかかるので朝は誰よりも早く来て準備されていましたし、壁に一体化する体勢が多くて身体が辛いはずなのに、「お疲れ~!」と元気に挨拶してくださるカッコいい女性です。

橋本 すごいですよね! 私も感動しました。前情報を持たずに映画を観たら、途中まで誰だかわからないんじゃないかなってくらい、ものものしい空気を生み出す凄みがある。それを間近で感じることができて貴重な経験になりました。
── 本作は高校生の青春を掛け合わせた新たなホラージャンルですが、LEON読者のようなオヤジさんでも楽しめそうですか?
橋本 スタンダードなホラーとはまた違うキャッチーさを楽しんでいただけると思います。辛い状況下でも悲観的になるだけではなく、仲間ができて、楽しんでいる高校生の姿は、その場にいる“今”を生きる力強さがある。もちろん「このグロテスクな感じ、懐かしいな~」とは絶対に思わないので(笑)、青春を懐かしむ感覚というより、壮絶なアクション、迫力のある映像から、お化け屋敷にいるようなゾクゾク感を味わっていただきたいです。“赤い人”の足音が近づいてくるドキドキ感、ぜひ体感してください!
継続力に必要なのはオフのスイッチと、無理をしないこと
橋本 この3年間はあっという間でした。朝ドラも舞台も、それぞれ新しい経験を積みましたけど、自分の成長って目に見えるものじゃないから難しいです。ただ、ここ数年で学生役を演じる機会が減ったので、今後は社会人の役が増えていくのかなとは感じています。

橋本 もともと強いからな……。この「カラダ探し」のインタビューでよく「自分があの場にいたらどうしますか?」と質問されるけど、積極的に戦うだろうなと思います(笑)。
── その強さを維持する秘訣は?
橋本 なんだろう。気合いとか、根性? 昭和的な回答ですね(笑)。
── 橋本さんの強さは天性なのかもしれませんね。ちなみに、「カラダ探し」には「深夜12時から始まる」「終わるまで同じ日を繰り返す」などのルールがありますが、橋本さんが大事にしているマイルールはありますか?
橋本 ルールってほどでもないけど、何事も楽しむことが大前提にあります。仕事も楽しむほうが円滑に進む。もちろん、それが正しいとは思っていません。生みの苦しみを越えることで成果を出す人もいらっしゃるので、あくまで自分の中のポリシーです。
橋本 プロフェッショナルな皆さんが集まっているおかげか、意外と苦手な人に出会わないんですよね。一風変わっている人は多いかもしれないけど、そこは面白い魅力として捉えちゃう。演技においても同じです。苦しいシーンもやっているうちに魅力を感じて、最終的に楽しくなっています。
── 橋本さんは目上の方々の飲み友達も多く、交友関係も円滑なことで知られています。たくさんの大人を見てきた橋本さんがカッコいいと思う人を教えてください。
橋本 “余裕”のある人です。自分の機嫌を自分で取れる余裕だったり、細やかな気遣いを人に向けられる余裕。周りの状況を把握したうえで行動に移せる人は所作に現れて、すごく素敵な印象を受けます。そういうカッコいい大人はたとえ苦手な人間がそばにいても、動じないスルースキルを持っている方が多いです。

橋本 全然! 余裕ある先輩方の足元にも及びません。すごくせっかちでもありますし。でも気持ちにゆとりを持てるのは、オフが得意だからかもしれません。家に帰ったらすぐ寝ちゃいますし(笑)。
── うまくオンオフを切り替えることがタフに働けるコツですね。
橋本 もともとタフな素質をもっている人も休むことが得意なイメージです。スイッチを切る時は切る、無理はしない。それが物事を継続するために必要で、そういう人たちをたくさん見てきたから自分も同じルートに乗っています。周りに素敵な大人ばかりいると、自然と意識が高まりますね。
橋本 ご飯を食べていたいです。ギャル曽根さんみたいにお腹いっぱいにならずもっと食べたい! コース料理でも、内心はアラカルトを追加で頼みたいけどお腹と相談して諦めたりして……。
── これがまた、歳を重ねるほど食べられる量が減ってきてしまったり。
橋本 胃もたれしちゃったりとかね(笑)。

橋本 「美味しい」時間ってめっちゃ幸せじゃないですか? でも通常、食べられる上限は三食だから、味覚の楽しみは“食事”に全振りしています。特に夜ご飯は美味しさをしっかり噛みしめたいので、お菓子やスウィーツの間食はしません。
── 休日の夕飯にはさらに気合いが入りますね。
橋本 はい。この前は友達と北海道に行ってジンギスカンと海鮮丼を食べました。日帰りなのにどっちも欲張ったからお腹がはち切れそうで…(笑)。一日24時間以上あればもっと食べられるのに! と、いつも思います。美味しい食事と美味しいお酒は、永遠ループしたいです♡

● 橋本環奈(はしもと・かんな)
1999年2月3日生まれ、福岡県出身。2016年、初主演映画『セーラー服と機関銃 -卒業-』で第40回日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。主な出演作に『銀魂』シリーズ、『キングダム』シリーズ、『かぐや様は告らせたい~天才たちの恋愛頭脳戦~』『今日から俺は!!劇場版』、また近年は連続テレビ小説「おむすび」のヒロイン役や、主演ドラマ「天久鷹央の推理カルテ」の天才医師役など、作品の顔として存在感が光る。2022年より舞台「千と千尋の神隠し」で主演の千尋役を務め、イギリスや上海といった海外公演もヒットを飛ばす。「NHK紅白歌合戦」の司会やバラエティー番組など、活動は多岐にわたる。

『カラダ探し THE LAST NIGHT』
2022年ホラー映画No.1興収を達成した『カラダ探し』の最新作となる本作は、次世代の若手俳優を迎え新たなカラダ探しが始まる。舞台は深夜12時の遊園地。ある日突然、5人の高校生は血まみれの少女である“赤い人”に惨殺され、そしてまた同じ日を繰り返すことに。この死のループから脱出するには、バラバラになったカラダをすべて見つけなければいけない。しかし、前作でカラダ探しを完了させた高広(眞栄田郷敦)が高校生たちの前に現れ、「カラダ探しをやめろ」と言う。高広とともにカラダ探しを行った明日香(橋本環奈)が姿を消してから3年。「カラダ探し」に隠された謎が、ついに明かされる──。高校生役には櫻井海音、安斉星来、鈴木福、本田真凜、吉田剛明といった注目の次世代俳優が揃う。
配給/ワーナー・ブラザース映画
2025年9月5日(金)全国公開
公式HP/https://wwws.warnerbros.co.jp/karadasagashijp/