2025.08.23
Z世代の金メダリスト・小林陵侑「死ぬかもしれないけど、また飛びたい!」
2022年の北京冬季五輪で金メダルを獲得し、昨年4月には世界最長291mのジャンプを成功させたスキージャンパーの小林陵侑選手。来年のミラノ・コルティナ五輪まで半年を切るなか、WEB LEONがインタビューに成功。フェンディのセットアップを纏い、艶っぽく変身した小林選手に、世界最長ジャンプ成功秘話と2大会連続の金メダルへの想いを伺いました!
- CREDIT :
写真/HIRO KIMURA(W) スタイリング/小林伸崇 ヘアメイク/吉田葉づき 文/野中真一 編集/吉田奈緒子(Web LEON) 撮影協力/VILLA FOCH GINZA 写真協力/レッドブル・ジャパン
◾️ INTERVIEW 【後編】
決死の世界最長ジャンプ291mは、どのように成し遂げられたのか?

2026年ミラノ・コルティナ五輪開催まで半年を切るなか、日本を代表するトップアスリートには、2大会連続金メダル獲得の期待がかかるが、Z世代の金メダリストにプレッシャーの度合いを聞くと、飄々と少年のように笑った。
後編では、昨年4月に達成した世界最長ジャンプの成功秘話を中心にお届けします!(前編はコチラ)
「飛ぶのが怖い時もある。けれど、スキージャンプはすごく楽しい!」
小林陵侑選手(以下、小林) 今でもシーズン最初のジャンプは怖いです。恐怖心があります。でも1回飛んだら、あとは大丈夫。ジャンプは楽しい。楽しいからやっています。


小林 風圧がすごくて、(スキー)板をコントロールするだけで精一杯です。空中にいる時は“板で前に進んでいる”感覚ですね。
── 昨年4月にアイスランドの特設ジャンプ台で、非公式ながら291mという世界最長ジャンプを飛んだ時はいかがでしたか?


小林 2日間で合計7本飛びましたけど、一歩間違えれば死ぬかもしれないと思いながら飛んでいました。試合のジャンプ台は滑走路のレーンが氷。でも、あのジャンプ台のレーンは雪を固めて作っていたんです。日中に陽ざしが強くなると、どんどん雪が溶けてきて表面がデコボコになってしまって。滑走中、何度か(スキー)板が(レーンから)外れそうになったけど、なんとか耐えて、2日目の最後の1本で291mを出すことができたんです。
── もし今後、ご自身の世界記録に挑戦する機会があったら、やってみたいですか?


── 10代の頃から目をかけてもらっているレジェンド・葛西紀明さんはどういう存在ですか?
小林 師匠でもあり、兄みたいな存在です。「ジャンプを通して、人生を楽しめ」と教わりました。あとゴルフも。社会人になった時にノリさん(葛西さん)が「ゴルフを始めたほうがいい。人付き合いができる」と言って、ゴルフセットをくれました。ゴルフは面白いですね。道具を扱うスポーツというところもスキーと似ていますし、プロゴルファーの方のマインドも勉強になりますね。選手それぞれにプレイスタイルが違うのも参考になります。
── ゴルフのスコアはどのくらいですか?
小林 平均スコアは95くらいです。一応、ベストは83。ドライバーが全然飛ばなくて、250ヤードくらい。ドライバーはキャロウェイの最新モデル「エリート」を使っています。

── 五輪本番のことは覚えていますか?
小林 緊張したというのは、すごく覚えています。でも細かいことは覚えていません。
だからこそ楽しいし、また飛びたくなる。
彼は、金メダルが獲りたくて飛んでいるのではない。幼い頃に始めたジャンプが楽しいから飛んでいる。その先に、金メダルや世界最長記録があった。
「よく子供っぽいとか、発言が小学生みたいだって言われるんです(笑)。ヤバいですよね? もう28歳なのに」
飄々と空を飛び、世界を制す。
来年のミラノ・コルティナ五輪でも少年のような笑顔で表彰台の頂点に立つ姿を、期待したいです。

Profile
小林陵侑(こばやし・りょうゆう)
1996年11月8日生まれ、岩手県出身。小学3年生から本格的にジャンプ競技を開始。中学時代の全中大会で史上2人目のジャンプ、複合の二冠を達成。高校時代に葛西紀明選手にスカウトされて、土屋ホームに入社。2018年、平昌五輪の個人ノーマルヒルで7位入賞を果たすと、同年、ワールドカップで初優勝。同シーズンは13勝を挙げて、圧倒的な強さで年間王者に輝いた。2022年には北京五輪の個人ノーマルヒルで金メダル、個人ラージヒルで銀メダルを獲得。同年、紫綬褒章を受賞。ワールドカップ通算35勝、表彰台71回はともに日本人男子最多記録。ワールドカップの年間総合順位が2018年以来、7シーズン連続トップ10入りを継続中。
2025-2026シーズンは、8月初旬に札幌・大倉山ジャンプ競技場で開催されたサマースキージャンプ大会の個人ラージヒルで優勝。幸先の良いスタートを切った。
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