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2025.07.22

菜々緒インタビュー。「完璧主義の私が“ちゃんとできなくてもいいんだ”って思えたのは」【後編】

今回のゲストは大ヒットドラマの劇場版第2弾となる劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~南海ミッション』(8月1日公開)に看護師・蔵前夏梅役で出演する菜々緒さんです。過酷な撮影現場の裏側から、菜々緒さんの意外なプライベートまでたっぷりお話を伺いました。その後編です。

CREDIT :

インタビュー/樋口毅宏 文/井上真規子 写真/トヨダリョウ スタイリング/倉田 強 ヘアメイク/浦上祐子(ARTS) 編集/森本 泉(Web LEON)

菜々緒 TOKYO MER   LEON  !webLEON  樋口毅宏 手玉に取られたい!
『さらば雑司が谷』『タモリ論』などの著書で知られる作家の樋口毅宏さんが、時代の先端を走る女神たちの魅力に迫る連載対談企画「樋口毅宏の手玉にとられたい!」。

今回のゲストはトップモデルから女優に転身し、抜群の存在感で多くのファンを魅了してきた菜々緒さんです。前半(こちら)では8月1日から公開となる大ヒットドラマの劇場版第2弾となる、劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~南海ミッション』の過酷だけれど濃密な現場の話や、菜々緒さんの子供時代の話などを伺いました。後編ではこれまでの女優の仕事についてやプライベートの過ごし方についても語っていただきました。
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「ワークアウトで体もメンタルも成長しました」(菜々緒)

樋口毅宏さん(以下、樋口) 菜々緒さんというと、カッコよさや現代を生きる女性像、新しい希望の女性像を強く感じます。インスタを拝見したらすごく体を鍛えられていて、なんてストイックなんだろうと驚きました。オフの時も自分に厳しいのだろうなと勝手なイメージを抱きましたが、実際はどうですか?

菜々緒さん(以下、敬称略) ワークアウトは、最初の頃はなんとか這いつくばってジムまで行く感じだったんです。

樋口 忙しいスケジュールの合間を縫って。

菜々緒 そうですね。以前は撮影の合間でも行く俳優さんがいると聞いて、信じられないと思っていました。でもウエイトトレーニングをした後に、体や頭、思考がスッキリするのを体感して。筋肉を強制的に動かすと固まっていた部分がほぐれるし、酸素や血液が全身に回るんです。それでやっとみんなが(ジムに)通っている意味がわかって、あとは何の苦もなく習慣化できました。自分で体験するのってすごく大事ですよね。
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樋口 頭がさえ渡るような感じですか。

菜々緒 はい。特に仕事で疲れた日は、終わった後の爽快感が何にも代えがたいんです。もちろん行くまではしんどいんですけど。

樋口 やっぱりストイックです。

菜々緒 それに筋肉も育つので自信になるんです。5回しかできなかったウエイトが、10回、15回とできるようになっていって、できないことができるようになっていく感覚。

樋口 なるほど〜。

菜々緒 大人になるとなんでも要領よくできちゃうから、挑戦する機会も減ってくるじゃないですか。でも筋トレは何歳になってもメンタルを成長させてくれることに気づいたんですよね。それは本当に収穫でした。
樋口 自分のように運動神経を母体に置いてきたような人間には耳が痛いです。

菜々緒 アハハ(笑)。でも、私も運動神経よくないんですよ。

樋口  し、信じないですよ!

菜々緒 本当なんです。でも運動神経がなくても、ウエイトトレーニングで体幹とか最低限の筋肉をつけることの方が大事だと思います。メンタルも変わったし、いいことしかなかったですね。

樋口 でも、菜々緒さんは本当にスマートですよね。例えば自分へのご褒美で、お酒を飲んだり、ラーメンを食べたりすることはあるんですか?

菜々緒  私は甘いものがすっごい好きなんです。
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樋口  えっ! 何が好きなんですか?

菜々緒 アップルパイが好きで、頑張ったご褒美にチートデーでよく食べます。母と祖母が好きなケーキ屋さんがあって、そこのアップルパイをみんなでよく食べるんですけど、トースターで焼き直すとより美味しくなるんです。ある時、母が丸焦げにしちゃって、別の日に買い直して「絶対に焦がさないでよ」って言ったのに、また焦がしちゃって。その時は久しぶりに怒っちゃって、次の日まで引きずってました。私の大切なチートデイのアップルパイを焦がさないでって(笑)。

樋口 ワハハ(笑)。

「これだけ忙しい人たちをどうやって集めたの?っていう豪華キャスト」(菜々緒)

樋口 これまで膨大な数の作品に出られていますが、一番印象に残っている作品はどれですか?

菜々緒 やっぱり『TOKYO MER』はインパクトがありすぎました。

樋口 ですよね〜。

菜々緒  『TOKYO MER』は、コロナ禍に医療従事者の皆さんのエールになるような作品を作りたいという熱い思いから生まれた作品なんです。コロナが落ち着いた今も、事故や事件、病気は誰しもに起こりうることだし、全国各地に頑張っている看護師やドクターの方がいらっしゃることを考えると、やっぱりエールになるような作品にしたいなと強く思いました。

樋口 間違いなくなっていると思います。

菜々緒 思いを受け取ってくださった皆様が応援してくださったり、メッセージを寄せてくださったりすることがすごく糧になっています。その声が大きいからこそ、これだけ忙しい人たちをどうやって集めたの? っていう豪華キャストが集まって、続編の撮影ができたんだと思います。
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樋口 このキャストを集めたのはさすが『TOKYO MER』だと思いましたね。

菜々緒  それに今回は新しいチャレンジで、沖縄で長期ロケをしたんですが、最近ではなかなか見られない壮大なスケールの作品になっていると思います。離島が舞台で、NK1やNK0などの特殊車両も出てくるので、子供たちにも楽しんでほしいですね。

樋口 ファンの層が幅広い作品ですよね。そんな作品、今どきないですよ。

菜々緒 本当にいろんな方に応援していただいてありがたいです。子供から大人、家族、友達、カップルまで、いろんな層の方に響くのはやっぱりすごいですよね。

樋口 役柄でも、これまで外科医、秘書、ヤンキーOLなど色々な人物を演じられてきましたが、自分に近いキャラクターや共感できたキャラクターってありましたか?

菜々緒 強いキャラクターは、自分の内側にあるものを引き出しながら演じていくので、通ずる部分はすごくあります。『TOKYO MER』の夏梅も決めたことは絶対にやるし、男性が優位な職場でも食らいついていくようなタフさを持っていて、強さの部分でもすごく共通しているなって。俳優の仕事も、大変な撮影が続いたり強さが求められる場面が多いので。
樋口 菜々緒さんが演じた強いキャラで僕が忘れられないのは、『土竜の唄』の殺し屋「胡蜂(フーフォン)」。こんな女に殺されたいと思いました。あんな回し蹴りを見たら、運動神経がよくないと言われても信じられないですよ!

菜々緒  ハハハ(笑)。立ち回り的なアクションはどちらかというとダンスの振り付けに近い感覚。だからリズム感の方が大事じゃないですかね。アクションは、受け手の反応や、どうやって相手と息を合わせるかの方が重要だそうです。

樋口 なるほど、プロレスと同じかもしれませんね。

菜々緒 そうなんですね(笑)。
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▲ トップス5万9400円、スカート13万6400円/ともにSportmax(マックスマーラ ジャパン)、シューズ13万3100円/JIMMY CHOO、リング26万7300円、ピアス9万3500円、ブレスレット43万6260円/すべてShihara(Shihara Tokyo)
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「鷹野ツメ子がすごい人物だったので衝撃を受けた」(菜々緒)

樋口 あと、僕は2024年に放映されたドラマ『無能の鷹』がすごく好きでした。ドラマ自体がゆとり世代のカウンター的な感じで、コメディエンヌの要素もあって、新しい菜々緒さんを見られた満足感がありました。

菜々緒 うれしい、ありがとうございます。

樋口 きっと、ご自身でも手応えを感じたんじゃないですか。

菜々緒 私は完璧主義なところがあって悩むことも多かったので、「ちゃんとできなくてもいいんだ」って思えることも大事だなと思い始めていた、ちょうどその時に鷹野ツメ子役の話をいただいて。すごい人物だったので衝撃を受けたんです。このタイミングでこの役が来るんだって、とても運命を感じました。
樋口 すごいタイミングですね。

菜々緒 使命感を持ってやらせていただいたし、自分自身もこの作品やキャラクターに出会って「できなくても大丈夫。次に頑張ればいい」と前向きな気持ちに転換できるようになりました。私自身もすごく影響を受けた作品だったし、視聴者の皆さんにもそういう影響を与えられたのがとてもうれしかったですね。

樋口 反響がすごく良かったそうですね。わかります。

菜々緒 日本人ってすごい頑張り屋さんが多いし、自分を犠牲にしてでも他人を優先させてしまう真面目な方も多いじゃないですか。その人たちの肩の力を抜いたり、心を少しでも軽くすることができたんじゃないかなと思いました。
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樋口 あのドラマは本当に菜々緒さんだけでなく、かなりの人を救っていると思います。まさに救済ですよ。

菜々緒 ありがとうございます。

樋口  先ほど完璧主義と聞いて、パブリックイメージのまんまなのかなって思いました。オンオフの切り替えはどうしているんですか?

菜々緒  私は、役者のお仕事の時は全部自分でメイクするんですが、役に合わせてメイクをすることが切り替えのスイッチになっている気がします。パーソナルな部分って、表情や目で見る部分で情報を得ることが多いので、そこを1から作り上げていくのが私の役作りの上ではすごく大事なところです。

樋口  ご自分でされるんですね。それもすごいことです。ところで次にチャレンジしてみたい役柄とかはありますか?

菜々緒 今回、宮澤エマさんとご一緒させていただいて、すごく仲良くなったんです。宮澤さんは舞台に出演される機会も多く、お話を聞いていて、私もいずれ舞台に挑戦したいなと思っています。実はまだ経験がないので。

樋口 そうなんですよね! ちょっと意外な気もしますが、菜々緒さんなら舞台にすごく映えると思います! 楽しみにしていますね。今日はありがとうございました。

菜々緒 ありがとうございました。
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【対談を終えて】

菜々緒、最高!
呼び捨てにしてごめんなさい。しかし、「菜々緒とは何者か?」と、長年幻想を抱いていた身としては今回の邂逅に色々なものが見えてインタビュー中、何度も昇天しかけました。

だっておよそ人間に生を享けたなら、性別を問わず菜々緒さんに対してある種の羨望・憧憬を持たない者などいるでしょうか?

ハードなまでのストイックさ。常に自己を更新しようとするアティテュード。完璧主義ゆえの繊細さ。

「菜々緒はこうあって欲しい」とするこちらのエゴい思い入れと思い込みをすべて寛容し、ドンズバの答えを弾き出しながら、絶対勝者の孤独まで吐露して下さるとは……。
本当の強さとは、自らの弱さを晒け出すこと。菜々緒さんから教わりました。

なおかつ見上げるしかないこちらの下賤な身に合わせて、お母さんとの「アップルパイ焦がし事件」の人柄が見えるほんわか鉄板エピソードにダメ押しの白旗。完全に参りました。

菜々緒とは何か? 
それは完璧を超えた美を持つ者の宿命。

俳優でありながらひとりのカッコいい求道者に会った感じ。菜々緒やっぱり最高!そして最強!
(樋口毅宏)
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● 菜々緒(ななお)

1988年10月28日生まれ、埼玉県出身。身長172cm。2009年より本格的に芸能活動を始め、ドラマ・映画・CM等幅広く活躍中。最近の主な出演作は、NHK大河ドラマ「おんな城主直虎」、「BG~身辺警護人~」(テレビ朝日系)、「Missデビル 人事の悪魔・椿眞子」(日本テレビ系)、「忍者に結婚は難しい」(フジテレビ系)、「無能の鷹」(テレビ朝日系)、劇場版『TOKYO MER〜走る緊急救命室〜』、映画『怪物の木こり』、『七人の秘書 THE MOVIE』など。7月4日に映画『キャンドルスティック』が公開。「NANAO OFFICIAL FANCLUB」はこちら

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● 樋口毅宏

1971年、東京都豊島区雑司が谷生まれ。出版社勤務の後、2009年『さらば雑司ケ谷』で作家デビュー。11年『民宿雪国』で第24回山本周五郎賞候補および第2回山田風太郎賞候補、12年『テロルのすべて』で第14回大藪春彦賞候補に。著書に『日本のセックス』『二十五の瞳』『愛される資格』『東京パパ友ラブストーリー』『大江千里と渡辺美里って結婚するんだとばかり思ってた』など。妻は弁護士でタレントの三輪記子さん。最新刊で初のノンフィクション作品となる『凡夫 寺島和裕。「BUBUKA」を作った男』(清談社)が好評発売中。雑誌『LEON』で連載した小説「クワトロ・フォルマッジ-四人の殺し屋-」も単行本化予定。
SNS/公式X

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劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~南海ミッション』

2021年にTBS日曜劇場枠で放送された「TOKYO MER~走る緊急救命室」は東京を舞台に最新の医療機器とオペ室を搭載した緊急車両(ERカー)で、危険極まりない重大事故・災害・事件の現場に駆けつけ、負傷者にいち早く救命処置を施す救命救急のプロフェッショナルチーム「TOKYO MER」の活躍を描くドラマ。その劇場版第2弾として公開されるのが本作。TOKYO MERの活躍が高く評価され、全国の主要都市である札幌・仙台・名古屋・大阪・福岡に新たなMERが誕生。その一方で沖縄・鹿児島では離島地域に対応できるMERの誘致活動が活発化。指導スタッフとしてTOKYO MERの喜多見チーフ(鈴木亮平)と看護師の夏梅(菜々緒)が派遣され、オペ室を搭載した中型車両=NK1を乗せたフェリーで、離島での事故や災害に対応する南海ERの試験運用が開始されていた。注目を集めた南海MERだったが、運用が決まってから半年間が経過しても、緊急出動の要請はゼロ……まったく実績をつくることが出来ず、廃止が決定的な状況となっていた。そんな中、鹿児島県・諏訪之瀬島で突如として火山が噴火! 大規模医療事案として南海MERの初出動が決まる。溶岩が村を焼き尽くし、多くの噴石が飛び交うすさまじい状況。噴煙のため、ヘリコプターによる上空からの救助は不可能。そして海上自衛隊や海上保安庁の到着も数十分後という絶望的な状況……。しかし南海MERは、島に取り残された79名すべての命を救うために、絶体絶命のミッションにい挑む。
8月1日(金)全国ロードショー
公式HP/劇場版『TOKYO MER~走る緊急救命室~』
©2025 劇場版『TOKYO MER』製作委員会

■ お問い合わせ

マックスマーラ ジャパン 0120-030-535
JIMMY CHOO 0120-013-700
Shihara Tokyo 03-6427-5563

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