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2022.05.14

玉木宏「自分が芸能界に合っていると思う瞬間はほとんどありません」

結婚して専業主夫となった元最凶の極道“不死身の龍”の日常を描いた映画『極主夫道 ザ・シネマ』。主人公・龍を演じた玉木宏さんは、「コメディはまじめにやるからこそ面白い」と身体をバキバキに作って撮影に臨んだのでした。

CREDIT :

文/花村扶美 写真/内田裕介(Ucci) スタイリング/上野健太郎 ヘアメイク/渡部幸也(riLLa)

2020年に放送されたドラマ『極主夫道』は、累計発行部数550万部超えの同名コミックが原作。玉木宏さん演じる主人公の龍は、裏社会で数々の伝説を残してきた最凶の極道で“不死身の龍”として恐れられてきましたが、今では結婚して極道の世界から足を洗い専業主夫として幸せな生活を送っています。

曲がったことや理不尽なことが大嫌い、そんな龍のドタバタな日常をコミカルに描いたドラマが映画化され『極主夫道 ザ・シネマ』として6月3日に公開が決定。

社会派からコメディまで幅広い作品で活躍する役者・玉木宏さんに今回の作品を通した仕事への思いと、多彩な趣味で知られるプライベートの過ごし方についても伺いました。

まじめにやるからこそ面白いことが成立する

── これまでシリアスな役からコメディまで異なるキャラクターを演じ分けてこられましたが、今回は「ここまでやるか?」と思わせるぐらい徹底的にコメディです。

玉木 ここ最近は、『竜の道』や『桜の塔』など復讐に燃える男や裏社会に精通する男の役が続いていましたから。今回、ご一緒した松本まりかちゃんは『竜の道』でも共演したんですけど、「全然イメージが違う!!」とずっと言われていました(笑)。

── でも、ご本人的には違和感がない?

玉木 自分の中ではコメディもシリアスも心持ちは大きく変わりません。役柄としてのアウトローな部分というのは、男として非常に魅力を感じる部分でもあるし、今回も笑わせようという意識はなくて、結果的に観ていただく方に笑ってもらえたらラッキーだと思っているぐらいで。自分の作業としてはそんなに変わらないので、まじめにやるからこそ面白いことが成立するんだという意識でいます。
── 確かにコメディとはいえ、アクションシーンも多いし、玉木さんの体もバキバキでした(笑)。

玉木 原作マンガの龍がすごくバキバキなんです(笑)。キャラクターの絵があるということは非常にヒントにはなるんですが、逆に言うとそこに近づいていかなくてはいけない難しさもあります。連ドラの時は本当に時間がなかったんですが、今回はクランクインまでに1カ月半くらいあったので、食事制限をかけてトレーナーさんにもついてもらいました。やはりドラマの時よりもさらにパワーアップしてやらなければいけないという使命感はありましたね。
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── アクションシーンもキレが良かったです。

玉木 アクションの割合が本当に多くて。撮影していると、また今日もアクションだ、またこの日もアクションだと(笑)。毎日のようにアクション部の人と直接SNSでやり取りをして「こういう動きを考えていますけど大丈夫ですか?」と連絡が来ると、「全然大丈夫です」と返したり。

アクションに関しては自分でやれるならやりたい

── 3年ほど前から趣味で続けているブラジリアン柔術も、アクションに生かされたのでは?

玉木 当然、柔術の技も取り入れたので、いつも習っている先生には映画の現場にも来ていただいて、空いた時間には道場で練習もしました。そうやって趣味でやっていることを生かせるというのはすごくありがたくもあるし、やる意味も出てくると思いました。本当はもっと入れたかったんですけど、龍は柔術をやっている設定ではないので(笑)。まぁ、キレイな本当の柔術の技とは違うけど、それっぽい技に見えるようにと意識して取り入れてもらった感じです。

── アクションの中にもどちらかというとコミカルな部分がある感じで。

玉木 そうです。そこはすごく意識していて。龍もいまは純粋に主夫だし、元極道という意味で若くもないので、全体的な殺陣の振り付けやアクションの所作も、キレ良くというよりも何か無茶苦茶になりながらも真っすぐ前に向かって行くような感じで。キレイな動きというよりも勢いでガ~っといっている感じを大事に組み立ててもらいました。
── そのあたりはこだわりの部分にもなっているんですね。

玉木 基本的にアクションに関しては自分でやれるならやりたいと思っていたので、見え方ひとつにも、自分がちゃんと体を使って臨む意味はあると思います。

── 先ほど、体を作っていくというお話がありましたが、玉木さんも現在42歳。LEON世代でもありますが(笑)、20代、30代の時と比べてご自身の身体の変化は感じますか?

玉木 当然それはあります。代謝は衰えていくので、そういうこととも向き合いながらトレーニングをしていかなければいけないし、20代の時と同じことをやっていても身体は全然変わっていかないので、あまり過信しないで、そのときどきに応じたものに変えていくというのは必要だと思います。
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── 年齢を重ねるにつれ出演する作品も変わってきていると思いますが、どういう基準で作品を選んでいますか?

玉木 純粋におもしろいか、自分が本気で臨みたいか、あとはメッセージの部分がちゃんとあるか……、そこがいちばん大きいです。

僕らの仕事は生涯現役とよく言われますが、歳を重ねることで演じる役は変わってくると思うんです。例えば、夫婦役や刑事役、元ヤクザなどは20代のころは当然できないわけで。でも月日が経つにつれ、経験値がカバーしてくれるようになる。そういう中で、説得力を持たせられるように演じながら、難しさと日々向き合っているところです。

60歳を超えてもこんなに元気なのか? と恐ろしくなる

── 今回は、竹中直人さんや吉田鋼太郎さんという経験を積んだ男優さんたちとも共演となりましたが、彼らは玉木さんにとってはどんな存在ですか?

玉木 お二方とも大好きな先輩です。それぞれ違う魅力があって、鋼太郎さんは多才で舞台も多くやられてきた方。竹中さんも監督をやられたりしていますし、僕自身は『ウォーターボーイズ』や『のだめカンタービレ』でお世話になって、師匠や師弟関係の役をやらせていただくことも多くて。

お二人とも共通しているのが、個性豊かでとてもチャーミング。あのような懐の深さも、経験がなければ出せるものではないと思うので、人間的にも俳優としても尊敬しています。
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── ご自身の将来をそこに重ねてみたり?

玉木 時が流れるのは意外と早かったりするし、僕もあと18年で60歳になるんです。これまでの18年間を振り返るとあっという間だったと思うように、自然とそこにいるのではないのかと思いますね(笑)。ただ鋼太郎さんや竹中さんを見ていて、60歳を超えてもこんなに元気なのか? と恐ろしくなる瞬間があります(笑)。“休むことを知らないのかな、この人たちは”みたいな(笑)。自分としてはその都度を楽しんでやっていければいいと思っています。

外に出ればその分新しいことに触れられる

── ところで玉木さんと言うと多彩な趣味をお持ちのことでも有名です。カメラ、格闘技、ダイビング、水泳、釣り、雪山登山、スニーカー収集、船舶免許など、趣味を増やしていくことは玉木さんにとってどんな意味があるのでしょう?

玉木 もともと小学生のころ、ボーイスカウトをやっていたので、アウトドアに興味があるというのが前提にあるんですけど。とにかく体を動かしたり、外に出て行くのが好きなんです。自分としては趣味を増やすというよりも、興味があるものには触れて、時間があれば全部そこに費やしたいというだけなんです。そうしたらこうなったという(笑)。

── 家庭もあるし、趣味をやる時間はありますか?

玉木 寝る時間を削ってやっています(笑)。子どもを寝かしつけてからジムに行ったり……、そんな感じです。
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── 新しい趣味を見つけるコツのようなものはあるのでしょうか?

玉木 昔から思っているのは、家にいたらパソコンやテレビからしか情報が入って来ないけれど、外に出たらいろいろなものを目にすると思うんです。人に会うのもそうだし、その人がやっていることが話の中で出てくることもあるだろうし。結局、刺激をもらうのは人と会った時だと思うので。外に出ればその分新しいことに触れられると昔から思っているので、まず飛び込んでみる。人から話を聞くことで、興味は沸くものだと思っています。

── そうやって外に出ていろんな人に会って、楽しければまたそれがどんどん自分の興味につながっていく?

玉木 そうですね。食わず嫌いよりも触れてみてダメだったらやめればいいという話だと思うので。それでいいと思います。

仕事が終わった瞬間に遊びのことを考えられる人間です

── 趣味が仕事に生かされることもありますか?

玉木 僕ら俳優は“なんでも屋”で、興味のあることに触れていればいつか役に立つ時が来るだろうと思っているんです。どんなに器用な人でも急にプロフェッショナルに見せることは不可能だと思います。でも、いろんな趣味を経験していれば、お芝居でそれっぽく見せられる。とはいえ何よりも惹かれるものに触れている時が楽しいというのが一番ですけど。

── 興味のあることをやっていたら、それが仕事につながっていった?

玉木 自分ではそう思っています。趣味自体は役に立たないかもしれないですが、精神的なことも含めて仕事じゃないところで汗をかいたり、仕事とは関係のない人と会ったりすることは、メンタル的にもすごくいいです。

── プライベートと仕事のバランスが取れているんですね。

玉木 しっかり気持ちのリセットができています。もともとスイッチのオンとオフを意識しなくても勝手にできるタイプで、仕事が終わった瞬間に遊びのことを考えられる人間です(笑)。
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▲ カーディガン3万7400円、シャツ2万8600円、Tシャツ3万8500円/すべてGran Sasso、パンツ4万1800円/East Harbour Surplus、シューズ4万8400円/Ferrante(エスディーアイ)
── 玉木さんは交友関係も広いと思うのですが、どんなお友達が多いのでしょう?

玉木 いろいろなジャンルの人がいます。芸能界の人たちとは、共演中は一緒に遊んだりしますけど、作品から離れると相手のペースがわからないので、連絡をしなくなってしまうんです。だから、業界とは関係のない異業種の方たちと仲良くしていることのほうが多いかもしれません。

── 芸能界以外の人たちとは、どうやって知り合うんですか?

玉木 僕が通っているジムや道場などです。そこで趣味の話をしたり、紹介してもらってどんどん輪が広がっていくという感じです。いろいろなことを吸収するには、その道のプロフェッショナルに聞くのがいちばん早いと思っているので、そういう人たちと積極的に会って話しています。

歳を取れば取るほど難しいことに直面する仕事

── 芸能界の交流はいかがですか?

玉木 少なくなってきましたね。でも、2年くらい前だったかな、ひょんなことをきっかけに『ウォーターボーイズ』で共演した妻夫木(聡)くんと会ってごはんを食べました(笑)。映画からは20年、プライベートでは10年近く会っていなかったんですが、お互い結婚して子どももいて環境が変わったけど、不思議と時が止まっていた感じはまったくなくて。当然、僕も彼の活躍は、会っていなくても見ていたからだと思いますが、積もり積もった話をするのはおもしろかったです。
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── 玉木さんは来年でデビュー25年になります。芸能界は自分に合った場所だと思いますか?

玉木 合っているなと思う瞬間はほとんどないかもしれないです(笑)。

── そうなんですか。

玉木 この仕事はいつまで経ってもその都度、難しいことだらけです。もちろん24年間という時間でいただいた仕事はすごく経験になっていると思うし、“24年間やってきたんだから、大丈夫だろう”と自分に言い聞かせているというか(笑)。でもいただくお仕事に関しては、年々歳を取れば取るほど難しいことに直面したりもするので。だから当然気を抜くことはできないし、自分とも向き合わないといけない。先輩方を見ていても先ほどの話じゃないですけど、皆さんお元気ですし(笑)。自分はいつまでたってもこういう感じでやっていくんだろうなと思います。
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●玉木宏(たまき・ひろし)

1980年、愛知県生まれ。98年、ドラマ『せつない』(テレビ朝日系)で俳優デビュー。01年、映画『ウォーターボーイズ』で注目を集める。その後、NHK朝ドラ『こころ』(2003年)で知名度を確立し、06年、ドラマ『のだめカンタービレ』(フジテレビ系)の千秋真一役で大ブレーク。代表作はNHK朝ドラ『あさが来た』、ドラマ『鹿男あをによし』(フジテレビ系)『砂の器』(テレビ朝日系)『竜の道 二つの顔の復讐者』(関西テレビ)『桜の塔』(テレビ朝日系)、NHK大河ドラマ『功名が辻』『篤姫』『平清盛』『青天を衝け』、映画『恋愛小説』(2004年)『雨鱒の川』(2004年)『真夏のオリオン』(2009年)『探偵ミタライの事件簿 星籠の海』(2016年)『悪と仮面のルール』(2018年)『空母いぶき』(2019年)『HOKUSAI』(2021年)など。映画『極主夫道 ザ・シネマ』は6月3日より公開予定。現在、二宮和也主演ドラマ『マイファミリー』(TBS系毎週日曜日21時~)に出演中。映画『キングダム2』、『この子は邪悪』の公開を控えている。

『極主夫道 ザ・シネマ』

最強の主夫力であらゆる家事をこなし、ご近所トラブルを解決してきた龍が、劇場版ではシリーズ最大のピンチに直面! 保育園を狙う極悪地上げ屋に対峙することになった龍の元に集まったのは、元レディースの総長、ドスの効いた保育士などクセ強すぎな面々。シリーズ最大のチーム戦、隠し子騒動、龍を巡って勃発する恋愛バトル…….すべてにケリをつけるため、龍は“ある決戦”を開幕する! ドラマ版に続いて玉木宏が龍を演じるほか、川口春奈、志尊淳、竹中直人、稲森いずみ、滝藤賢一ら鉄板のレギュラー陣が総出演! さらに吉田鋼太郎が謎のイタリアかぶれのマフィアを、松本まりかが龍に惚れる元レディースを、安達祐実がキレると豹変する保育士を演じるなど“濃いキャラ”たちが大渋滞!
原作/おおのこうすけ 監督/瑠東東一郎
6月3日(金) 全国の映画館で公開
配給/ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント 
HP/『極主夫道 ザ・シネマ』 
(C)2022「極主夫道 ザ・シネマ」製作委員会

※掲載商品はすべて税込み価格です

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