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2019.01.30

【第9回】

吉岡里帆似の駆け出し舞台女優「枕営業でもらえる役なんて耳カスみたいなもんです」

美人とは「美」という高スペックを備えたスーパーカーのような存在。その“スーパーぶり”に男は憧れるわけですが、果たしてそのスペックは彼女に何をもたらすのか?「ワイングラスのむこう側」(cakes)で人気の林伸次さんが、世の美人たちの隠されたプライベートに迫ってみる連載です。

CREDIT :

構成/木村千鶴

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「ワイングラスのむこう側」(cakes)でおなじみ、奥渋谷のバー「BAR BOSSA(バール・ボッサ)」のマスターにして、作家の林伸次さんが、バーテン仕込みの絶妙な話術でさまざまな職業の美人さんのプライベート(主に恋愛関係)に迫るこの連載(これまでの美人さんはこちら)、第9回目のゲストは舞台を中心に活躍している、女優の里帆さんです。

女優さんのお仕事って、華やかに見えますけど大変そうですよね。欲望渦巻く芸能界で、見た目を使って仕事するんですから。悪い男もたくさんいるんじゃないかなあ。

見た目65点でも自信をもつことってできるんです

── 女優さんに対して女優の誰に似ているというのもなんですが、しきたりですので(笑)。吉岡里帆さんに似てますね! ここでは里帆さんでいきましょう。では里帆さん、何歳くらいのどういう瞬間に、自分を美人だと思いましたか?
「10歳くらいの時に舞台でのお芝居を始めたら、急に顔が生き生きし始めたのが自分でもわかって。その時はどんな風に写真をとってもかわいかったんですよね」

── あれ、私かわいいぞって。

「はい、鏡見ながら踊っていても、“ちょっとキラキラしてない?”って(笑)」

── へ~っ! それは珍しいパターンです。ほとんどの人が、誰かに言われて気づくんですよね。実はその時、自分が美人だということを受け入れられなくて、歪んでいくってパターンも多いんですよ。

「本当ですか!」

── はい。素直に自分をかわいいと思えるのっていいことなんです。で、そのまま演劇の世界に?

「いえ。一旦やめていたんですが、大学生になってから再び。最初はサークルにも入って普通の女子大生として楽しく過ごしていたんですが、なんか飽きちゃって……。私こういうの半年でいいやって思った時に、もう一回やってみたかったのが演劇だったんです」

── では在学中劇団に所属したわけですか。速採用?

「そうですね、倍率は高かったんですけど」

── そこでは自分の美人度ってどれくらいでした?

── 「これは正直に言うと、下の方でしたね。美人ばっかり揃ってたんですよ(笑)」

──  え~、でも里帆さんかわいいですよね? 笑顔がいい!

「ん~、声の高さと愛想の良さで、トータル的になんとか食い込めたけど(笑)」

── あ~なるほど(笑)。でも自分に自信はありますよね。

「はい(笑)。見られたりランキングを付けられたりする職業なんですが、見た目65点でも自信をもつことってできるんですよ」

── え、それどういうことですか? 面白い話ですね。

「自分の65点なりの素敵な部分、いいところを見つけるんです。きれいなスッとした鼻じゃないけど、アニメの羊みたいでかわいいなとか(笑)」

── あ~肯定的に。

「個性です、個性」

── 個性があった方が平均的な美人よりも目立ちますし、覚えてもらえますよね。完璧な美人顔からちょっとズレると、人はそこに引っ掛かりを感じて、好きになったりするらしいですよ。

「それ、わかる気がします」
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女優としては、やれそうでやれないっていう存在感がいい

── 里帆さんはすごくモテると思うんですが、悪い演出家とかが誘ってくることありませんか? そういう悪い大人っていっぱいいるって言うじゃないですか。

「はい、メチャメチャいますね。だからこそ、そうじゃない人を探します」

── 俺と寝といたほうがいいよとか言いそうですよね。周りの人はどうしてますか?

「ん……寝ちゃう人もいるし、絶対寝ない人もいるし。結局、演出家も監督も脚本の人も、魅力的な人が多くて。お仕事たくさんされてる方っていうのは色気もあるし、頭もいいし、カッコいい人が多いので、憧れるというのはあります」

── そうか、仕事もらえる云々じゃなくて素敵だから。演出とか脚本とか監督では、誰が一番権力を握っているというか、誰と寝れば一番役をもらえるんですか?

「正直、寝てももらえないですね(笑)。知名度があればあるほどもらえません。役はみんなが合意しないと決められないし、芝居がちゃんとうまくできないと。寝てもらう仕事なんて、本当に耳カスみたいなもんで、ちっちゃい仕事と下品な仕事は来るけど、いい仕事は来ないですよ(笑)」

── なるほど。正論ですね。じゃあ、業界人と飲みに行って顔を売っておくのは効果なし?

「顔を売るのはいいです。お話をして、面白い子だなって思ってもらうのはいいと思います。“もしかしたら俺の芝居に誘って仲良くなったらやれるかも”くらいに思ってもらえる距離間の方が仕事が来るかもしれないですね(笑)」

── あ~、簡単に寝ちゃうよりも、この後ずっと仕事してたら、恋愛関係になるかもしれないって。

「はい、たぶん寝ない方がいい(笑)。指原莉乃ちゃんが前に「やれそうでやれないっていうのがいいぜ」って言ってて、私もそうだよなって。もしかしたら……っていう想像力を使ってもらうほうが、その場で仲良くなっちゃうより全然いいんじゃないかなって」

── すっごい考えてる〜(笑)。じゃあ、大きい映画の話が来たとしますよね、で、この監督と寝たらいいらしいよ、って言われても、そんなんで役なんか欲しくない?

「私、自分が大好きなんです。そこまでしないと使ってくれないなら、私の事そんなに好きじゃないですよね、じゃあステキに撮ってくれないですよねって思います」

── なるほど~そっか、里帆さんの才能とかを評価した上で役に使ってほしいんですね。

「はい、恋愛ならするけど、そういうことで役はいらないです」
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セックス好き、夜遊び好きの子は見た目も荒れてくる!?

── 誰が一番悪いですか? 演出、脚本、監督、プロデューサー?

「えっと、全部にちょっとずつ悪いやつがいて、ちょっとずつクリーンな人がいて、大半がグレーゾーン。その比率はどの分野でも変わらないです」

── わ~名言出た。悪い男の比率はどこでも変わらないと。

「その辺は同じじゃないでしょうか。女子だってそうですね。でも、女子の場合は悪いやつというより、セックスが好きな人(笑)。セックスが好きな人と、クリーンな人と、あと大半はグレーゾーン(笑)」

── ワハハ。すると誰とでも寝る人もいるわけですね。その人には役がたくさん来ているわけじゃない?

「誰とでも寝るというか、本人の話を繫げて聞いていると、あれ?結果的にすごい寝てるじゃんって(笑)。でも、役が来るか来ないかはまったく関係ないです。むしろクリーンな人たちの方が仕事は回っています」

── そうか、そういう人たちの方が真面目に精進しているから。

「そうですね、清潔感があります。夜遊びしない分不摂生しないじゃないですか。すると見た目が綺麗。でも、セックス好きな人ってどうしても飲んだり食べたりする機会が多いので見た目も荒れていきますよね」

── 夜遊び好きな人は清潔感がない! これ、夜のお客様を相手にしている身としては、素直にはうなずけませんが(笑)。

「みんなってわけじゃないですけど(笑)」

── それじゃあ、自分から演出や脚本の目上の人を誘うことはありえない?

「ん~、自分からは連絡しないですね。でも連絡くれたら飛びつく(笑)。例えば太宰治に『キミ、ちょっと面白いから今度一杯飲まない?』って言われたら行きますよね?」

── そりゃ、そりゃあ!行きますよ(笑)。

「ちょっと、伝説、伝説!って感じで(笑)。この感情は男女問わず、憧れの人に呼んでいただければ行きたいでしょう」

── そっか、すべてが駆け引きじゃなくて。ちゃんと恋愛をするということもありますよね? それで監督と女優が結婚するってこともあるし。

「はい、憧れの人とそういう雰囲気になって、ちゃんと好きになって付き合ったこともありますよ」
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今のところ、狙った男性は100%で落としてます

── 自分から行くと男は落ちる?

「好きになって、具体的に行動した時にダメだったことは1回もないです」

── お~、それは何か作戦があるんですか? これは女子読んどけ~!

「まず、自分が完全に相手を好きって気づく前に、動く」

── へ~、事前に?

「好きだとドキドキしすぎて緊張で吐きそうになったり、デートもキャンセルしたくなったりするんですよ」

── 女の子ってそうなんだ〜。

「だから、“あれ、好きかも?”くらいの時に、これは恋愛じゃなく人間として好きなんだって自分に言い聞かせて緊張を落とすんです。さらに、その人の人間としての魅力の一番深い部分を追究するために会うんだって思い込む。そして魅力的だと思った部分を相手に伝えるんです」

── そっか、男性も自分に自信とかもちたいから、そういうことを言われると「うわ~、俺、やっぱり魅力あるわ~」とか思っちゃうわけですよね~。すると相手はメロメロですか?

「ふふっ。どうしてそんな素敵な性格になったのか知りたいなってスタンスでいくんですよ(笑)。で、子どもの頃ってどんなタイプでした? とか聞きまくって、あなたは魅力的だし話をしてると楽しいって伝えますね、好きだとは言わずに」

── あ~、それ男落ちるわ~! 才能とか魅力とかほめられると男は落ちますからね~。
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── 美人だといじめられることも多いって聞きますけど、どうですか?

「あ~フィールドによりますね。本当に美人ばかりの現場ではないですけど、自分が美人枠になっちゃったときには」

── なるほど~、やはり相対的なんですね! 自分が美人枠だと嫉妬やいじめの対象になるけど、美人が多いところだと……。

「はい、元気だね~とか」

── じゃあ今日は美人ばかりいるな、と思うと元気役でいこうとか。

「わりとチームワークです(笑)、飲み会に女子が集まった時には。誰かが面白い人枠に躍り出たら、その座はさっと譲るとか」

── じゃあその時によってキャラ設定があるんだ。大変ですね~。でも、それが面白いんですね?

「はい、知り合いがいる飲みは楽しいですね。この飲み会はこうしてやろうとか。皆、女優さんなんで(笑)」

── あ~面白~い!
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そんな里帆さんをイメージするワインは

セッピランドマン ゲヴュルツトラミネール 
ドイツの品種をアルザス(フランス)でつくっているオーガニックのワインです。ライチみたいなエキゾチックでかわいい香りがしつつも、甘くてフルーティーでチャーミング。里帆さんとよく似た印象です。

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■ Bar bossa

住所/東京都渋谷区宇田川町 41-23 第2大久保ビル1F
TEL/03-5458-4185
営業時間/18:00~24:00
定休日/日、祝

● 林 伸次

1969年徳島県生まれ。早稲田大学中退。レコード屋、ブラジル料理屋、バー勤務を経て、1997年渋谷にbar bossaをオープンする。2001年、ネット上でBOSSA RECORDSをオープン。選曲CD、CD ライナー執筆多数。「ワイングラスの向こう側」(cakes)で連載中。著書に『恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる』(幻冬舎)がある。

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