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2018.12.25

【森永卓郎が解説】来年、景気はどうなの? ホントのハナシ聞きました

来年2019年は元号変更、消費税アップ、翌年に東京2020を控えて、色々と変化の多い年になりそうです。景気回復との報道もあるなか、本当のところどうなのか? モテる大人なら景気動向もしっかり把握しておきたいところ。というわけで森永卓郎さんに伺いました。

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文/木村千鶴

内閣府は先日、日本が高度経済成長期の「いざなぎ景気」を超える戦後最長の景気回復傾向にあると発表しました。アベノミクスが功を奏し、雇用者数は増加し株価も上昇……というけれど、多くの庶民にその実感がないのも事実。来年は元号の変更や消費税のアップも計画されています。果たして景気はどうなるのか? 消費税アップにはどう対処したらいいのか? 来年も楽しく過ごすためにぜひ知っておきたい経済の話を、経済アナリストの森永卓郎さんに伺いました。

いまの日本の景気って本当にいいんですか?

安倍政権が発足してからの5年間、実質GDPは8%増えているんです。確かにパイ(市場規模におけるシェア)は大きくなっている。でも実質賃金は4%下がっています。この数字から、庶民と地方と中小企業は落ちている一方で、とてつもない富裕層が爆発的に増えているのが今の日本の実情だ、ということがわかりますね。

ワールドウェルスレポートというフランスのコンサルティング会社が発表する報告書では、今年度100万ドル以上の、投資に回せる資産を持っている日本人投資家は316万2千人、前年比9,4%増です。とてつもない金持ちが爆発的に増える一方で、庶民の生活は苦しくなっているんです。

なんでそんないびつな経済構造になってしまったんでしょう?

1995年、日本の対世界GDP シェアって18%だったんです。ところが直近のデータだと6%。その頃の1/3まで落ちているのが実態。日本が世界の普通の国並みの経済成長をしていれば、今頃所得が3倍になっていたはずです(笑)。

なんでこんなことになったかというと、最初のきっかけは1985年に先進5か国で行われたプラザ合意。表向きは世界経済を安定させるために為替の安定化を図りましょうというものでしたが、実際には日本円だけを円高にさせる合意がなされたんです。240円だった対ドル為替レートが、2年間で120円まで円高になったんですね。為替が倍になると、100%の関税をかけられたと同じ状態になるんですよ。その結果日本は円高不況に陥った。そこで円高不況対策として、財政出動と金融緩和を同時にやったことが、バブルの原因になったわけです。
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バブルは何が問題だったのでしょう?

バブルが起こった時には景気は瞬間的に良くなっているんですが、そのバブルが1990年に崩壊して資産価格が下がり始め、97年の消費税引き上げをきっかけに、15年間デフレが続きました。

その時に起こったのが不良債権の問題です。日本の金融機関のシステムでは、企業から不動産の担保を取ってお金を貸すんですね。ところが、バブルが崩壊して都心部の不動産価格は1/10に下がり、それが担保割れしてしまった。貸し付けをしていた企業が倒産しても、お金を回収できないんです。

こうして担保割れした債権を、小泉政権が不良債権処理として2足3文でハゲタカファンド(グローバル資本主義)に売り飛ばしてしまった。日本をどんどん売っていけば、そりゃ日本の経済がシュリンク(縮小)していくに決まっているワケで(笑)。

今はどんなことが問題なのでしょう?

今、その小泉構造改革の不良債権処理というのは終わり、ハゲタカも日本から撤退し始めています。ですがなぜか今も、どんどんハゲタカに資産を売り飛ばすような仕掛けを、日本政府はしています。

例えば水道法改正。水道料金の民営化で世界中がひどい目に遭っている。再公営化する自治体が200数十は出てきているんですけどね。パリなんて3倍以上に水道料金が上がっています。

問題はそれだけじゃなく、農水省が枯葉剤の使用と、トウモロコシの遺伝子組み換えを認めたんですよ。これには農家が破産し、ハゲタカが独り勝ちするような仕組みが隠れています。

なんで日本政府は、日本が全部やられちゃうようなことを自らするのかは、最大の謎。こんなのは途上国が、財政が重債務で首が回らなくなった時に、国際機関から金を借りる時の条件として突きつけられるもの。日本は世界最大の債権国であるにもかかわらず、なぜか、こんなことを受け入れちゃっているんですよね。
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ズバリ、来年の景気はどうなるでしょう?

残念ながら、来年についてはかなりの確率で景気は悪化するでしょう。要因は4つあります。

(1) 景気の循環がマイナス方向
景気には周期の違う4つのサイクルの景気循環の定義があり、来年は短期、中期のサイクル共にマイナスに向くので、景気は良くないでしょう。世界的に見ても、もちろんアメリカも含め同じことが言えます。

(2) 暖冬で原油価格が下落
猛暑の後は暖冬が来ます。これも世界中が同じ傾向にあり、今、原油価格は急落しています。WTI原油価格は、9月に1バレル70ドルだったものが2か月で50ドルまで下がりました。暖冬になればまた下がるでしょう。

原油は冬季で値段が決まり、下がると損をする人が多いんです。するとその損を埋めるために、株なども売りにいきます。現実にアメリカの株価はずっと良かったのに、ここ最近になって危なくなってきているのは明らかです。

(3) オリンピックバブルが崩壊
オリンピックバブルというのは、開催の前年に崩壊するものなんですね。なぜかというと、需要のピークは前年だから。オリンピックが行われる年には施設が出来上がっているはずですからね。

(4) トランプと中国の貿易戦争が勃発
今はクリスマス休戦に入っていますが、90日間の停戦協定が終わった後、絶対にトランプは仕掛けてきます。すでに中国製の日用品への関税を、今の10%から25%に引き上げると言っている。これをやるとアメリカの物価が上がるので、日本でも消費が失速するのは間違いないですね。すると必ず来年後半景気は落ちていく。その中で消費税を上げたら、必ずデフレに戻ると思います。

トランプはツイッターで「自分はタリフマン(関税男)だ」と言っているし、ファーウェイの副会長を逮捕したのもそうだし、人間の性格は直りません。70を超えたオヤジの性格なんて絶対に直らないです(笑)
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消費税は本当に上がるんでしょうか?

消費税については、僕は6、7割の確率で上がらない可能性の方が高いと思います。4月から6月の間に安倍首相が凍結宣言を出して、7月に衆参統一選挙という可能性が高いでしょうね。ただ現在、財務省と安倍・菅ラインが猛烈に水面下の戦争をしているので、どちらになるかわかりませんが、凍結の可能性は高いはず。

ただ、凍結しても景気循環などの悪い要因が重なっているので、景気は良くならないと思います。デフレに戻ることはなくても低迷はするでしょう。

消費税が上がる前に買うと有利なものは?

消費税が上がるかどうかは6月までには決まるので、上がるとなれば金を買っておくのはひとつの手です。消費税込みの金額で取引されるので、少なくとも2%は上がる。

あとは、アメリカの景気が失速する前に、今もうちょっと下がり始めたんですけど金利が3%弱ついている米国債を買っておく。景気が悪くなると金利が下がるので、国債の価格は上がるんです。

庶民にとって増税前に買いだめして効果があるのは、酒とタバコだけです。タバコは軽減税率の財源にするとも言っているので、かなりガツンと値上がりすると思います。タバコを吸っている人はいっぱい買った方がいいかもしれない。やめるっていうのが一番コストがかからないですけどね(笑)。

家やクルマ、時計など、高額商品はいつ買うのが正解?

消費増税になるとデフレになるリスクが非常に高いんですよ。デフレになると値段は下がりますから、慌てて買う必要はありません。

消費税がアップされてもあまり困ることはないんです。食料品は値上がりしないですよね。自動車も自動車税の減税は決まっているし、住宅についても、住宅ローン減税が現状の10年から13年に延長する方向で調整に入っている。住宅資金贈与の枠もおそらく拡大する方向です。

どちらで買ってもそんなに変わらないところに当面は税制を変えていくので、とりあえず6月までは様子を見て、そこから動いても全然遅くはない。特に今回は消費増税で入ってくる税収を上回る対策を財務省が今打ち出そうとしていますから、必要以上に心配することはないでしょう。

東京都心部の不動産バブルはまだ続きますか?

湾岸のバブルはもう崩壊すると思いますが、本物の一等地についてはバブルが続く確率が高いと思います。これは一般的な話ではありませんが、2億~10億の価値がある不動産については、前述した爆発的に増えている金持ちで奪い合いをしている状態なんです。もし地方の土地を持っているんだったら、すぐに売り払って、数億単位の都心のマンションを投資目的で買うのも正解かもしれません。

● 森永卓郎(もりなが・たくろう)

昭和32年生まれ、東京都出身。東京大学経済学部経済学科卒業。日本専売公社、日本経済研究センター(出向)、経済企画庁総合計画局(出向)、三井情報開発(株)総合研究所、(株)UFJ総合研究所(現三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株))を経て、現在、経済アナリスト、獨協大学経済学部教授。専門は労働経済学と計量経済学。そのほかに、金融、恋愛、オタク系グッズなど、多くの分野で論評を展開している。日本人のラテン化が年来の主張。

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