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2019.01.01

藤原ヒロシ×デッツ松田が語る大人のスノボのススメ

2018年、夏の終わりに忙しい合間を縫って行われた藤原ヒロシ氏とデッツ松田氏による特別対談。旧知の仲である両者には、“スノーボード”という共通の愉しみがあります。オンシーズンの今、満を持してお二人が語る「大人のスノボの愉しみ方」を公開しましょう!

CREDIT :

写真/片桐史郎(trolly) 編集・文/長谷川茂雄

90年代から今まで二人が滑り続けるワケ

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昨年、銀座ソニーパークにオープンした「ザ・コンビニ(THE CONVENI)」のプロデュースや今春も発売が噂される「7 モンクレール フラグメント ヒロシ・フジワラ」のディレクションなど、相変わらず国内外で精力的な活動を続ける藤原ヒロシ氏。

そして長年、編集者としてあらゆるファッション媒体に関わり、現在もアウトドアに特化したバイリンガル雑誌「OUTSTANDING(アウトスタンディング)」を手がけるデッツ松田氏。

同郷であり旧知の友人であるお二人は、90年代始めから欠かさずにスノボをし続ける、いわば生粋の“フリーク”として知られています。

昨今は、グランピングやアウトドア人気も影響してか、大人がスノボやスキーを改めて始めるケースも増えているといいます。とはいえ、かつての若かりし頃とは、今は環境もギアも大きく変化しました。

それゆえ、これから大人がスノボや雪山を愉しむには、どんな準備や心構えが必要なのか? その前に、そもそもお二人は、なぜスノボをやり続けるのか?

そんな素朴な疑問を投げかけつつ、“大人のスノボのススメ”をあらゆる視点から語っていただきました。
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── お二人は、正確にはいつからスノボをやられているのですか?

藤原ヒロシ(以下HF)「おそらく’93年頃だと思います。やり始めてすぐに『ROADKILL(ロードキル)』という(スノーボードの)ビデオが発売されたりして、世の中がブームになっていきましたね。それから数年してストーミー(エクストリームスポーツに特化した専門店)が渋谷に大きな店舗を出したのを憶えています」

デッツ松田(以下Detz)「僕が始めたのは、その1~2年ぐらい後だと思います。もちろん最初は、ゲレンデを普通に滑ることから始めて、どんどん深みにハマっていったという感じです」

HF「多分、僕もデッツもみんながやめていくなか、最後まで居残った二人だと思うんですけど(笑)。まだ、スノボが滑走禁止のところが多かった時代から、一度もやめずにずっと滑り続けていますから」

Detz「始めて2~3年経った頃に、だんだんつまらなくなってきたタイミングで、今でいうバックカントリーに出会ったのも大きかったかもしれません」
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日本は世界有数のバックカントリー天国

── バックカントリーというと限られた場所でしかできないイメージがありますが、今は日本国内でも十分楽しめるのですか?

HF「自分たちが始めた当時は、バックカントリーという言葉すら知らなかったけど、今は楽しめるところは増えていると思います」

Detz「海外よりも、むしろ日本は雪質がすごくいいと言われていますから、バックカントリーにも向いてますよ。特にニセコは、世界でもベスト3に入る雪質のレベルだし」
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HF「僕は、八甲田や関温泉に行くことが多いですね。どこが一番好きかと言われたら、関温泉。バックカントリーが最初に滑れたところでもあるし、こじんまりしていて、ホームな感じがします」

Detz「自分は北海道派かな。やっぱり雪質が最高だから好きですね」

── バックカントリーと聞くと、ハードで特別な根回しや準備が必要な気がするのですが、そんなことはないのでしょうか?

HF「ロビー活動は必要ないです(笑)。もちろん現地の人だったり、それぞれのプロフェッショナルというか、ガイドのような人たちがちゃんといるところのほうがいいですけどね。全然知らないところに急に行って滑るよりは、知り合いがいるほうが安心ではあります」
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藤原氏がホームと語る新潟県妙高市にある関温泉。まだ日本でバックカントリーが根付いていなかった時代から“コース外”を解放していたスノボ好きには著名なスポットの一つ。4月中旬まで滑走が可能です。http://www.sekionsen.com/ photo:SEKIONSEN
Detz「大人になってスノボをガンガンやることに抵抗がある人は、やっぱりニセコに行けばいいんじゃないですか。今年以降、パークハイアットやリッツカールトン、アマン東京といったホテルが続々できるらしいから、ゆったりできますよ(笑)」

HF「いわゆるラグジュアリーリゾートだよね」
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ニセコHANAZONOリゾートスキー場に建設されるパーク・ハイアットの完成予定イメージ(2019年冬開業予定)。約100室のホテル、温浴施設、分譲住宅も備えた大規模施設です。大人がゆったりできるラグジュアリーな空間として期待が高まります。http://www.hanazono-residences.com/jp/
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ニセコのバックカントリーエリア。極上のパウダースノーと雄大な自然を堪能しながら、こんな木々の間をアグレッシブに滑走することができます。
Detz「結構前にヒロシと行ったときも、昼間カフェにいると、自分たち以外は全員外国人だったこともあったよね。海外から来る人が多いから国際色も豊かで面白い」

HF「そう。バックカントリーを滑りに行くことは、激しいスポーツをやりに行くというより、むしろラグジュアリーなことだと思います。そんなにガツガツとパークみたいに滑るわけじゃないし、僕もデッツも1日1本とか、そういう感じです。わりとのんびりと滑るイメージですよ」

Detz 「そういう意味では、バックカントリーは大人向けだと思います」
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雪山では上下関係がなくなる感覚がある

── では、これからバックカントリーを始める場合、何か特別に準備すべきものはないのでしょうか?

HF「基本的な装備があれば、まったく問題ないです(笑)。ただ、バックカントリーは、ソーシャルな場でもあるので、コミュニケーションがちゃんと取れる人のほうが楽しめると思います。知らない人に会うことも多いし」

Detz「最初パウダーの深いところを滑る技術は必要だから、そこはハードルになるのかな、とは思いますけどね。でもガイドがいるところだったら助けてくれるから、ある程度滑れる人だったら、ガイドツアーから始めれば問題ないと思いますよ」

HF「僕がよく言うことですけど、雪山に入ると、自然に上下関係がなくなる感じがあるんですね。例えば会社員だったら、普段は上司に気を使うところがあるかもしれないけど、雪山でなら打ち解けて話ができる。おじいちゃんがいたらおじいちゃんと話をするし、高校生がいたら高校生とも話をする。そいうところが雪山の醍醐味なんですよ」

── なるほど。先ほどラグジュアリーというワードが出ましたが、昨今はラグジュアリーブランドの多くが、アウトドアの要素やストリートのエッセンスをデザインに取り入れています。そのあたりに関しては、お二人はどう感じていますか?

Detz「ザ・ノース・フェイスとか、街着とアウトドアの垣根のないものを出すブランドも増えていますよね。そういうものをいろんなシーンで着ることが当たり前になった気はします」
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LVもモンクレールも自然に生まれたプロジェクト

HF「少なくとも休みの日は、そういうもののほうが、ピタッとしたスーツよりは楽かもしれない(笑)。確かに、ラグジュアリーなブランドが、ストリートウェア(のエッセンス)をさらっていくという現象は起きていると思います。でも、その逆はあんまりない気がする。だから互いに歩み寄っている感じはないですけどね」

Detz「グッチやいくつかのブランドが、ヒップホップ的な要素を取り入れたりしているけど、若かりし頃にヒップホップを聴いていた人たちも、今はいい歳なっているから、ラグジュアリーを着ることは全然おかしなことではないですよね。作る側(ラグジュアリー)もそういう層とコミットしている部分はあるとは思います」

HF 「そういう時代だしね。自分が(ルイ・ヴィトン時代の)キム・ジョーンズと(プロジェクトを)やったのは、単に昔から知り合いだったから。僕をストリートの人だと思っている人も多いかもしれないけど、若い頃から割とモードなものも好きだったし、自分自身は何も変わっていません」

── 自然な流れでラグジュアリーと結びついたということですね。

HF「そうですね。ストリートブランドがセルアウトしてダメになったとか言う人もいますけど、今どきセルアウトって言葉すらもう必要ないんじゃないかと思うんですよ。すごいコアだったものが、急にその精神を捨てて、金儲けのために何かをやるというのが、セルアウトのイメージかもしれませんが、もはや、それをどうこういう時代じゃない。どこがどこと結びついて大きくなろうと、コアな部分がなくなるわけじゃないから。メディアが勝手に言ってるだけな感じがします」

── モンクレールに関しては、いかがですか? やはり自然な流れで進んだプロジェクトなのでしょうか?

HF「クリエーションは、雪山とはまた別個のものなんですけど、マインドはそんなに(雪山と)遠いものではないです。モンクレールの社長も山が好きなので、互いによく話はしますよ。モンクレールは、スキーヤーやアルピニストから愛されているブランドですし、スタッフもスキーやスノボ、雪山が好きな人が多いですね。ただ、僕が作ったものを着てバックカントリーを滑るのは、ちょっと難しいけど(笑)」

Detz「都市部から雪山にアクセスするときに着るには、まさにぴったりな服だよね」
2018年、世界中からクリエイターを招き、各々の個性を活かしたコレクションを発表した「モンクレール ジーニアス」。藤原ヒロシ氏が手がけた「7 モンクレール フラグメント ヒロシ・フジワラ」が、瞬く間に世界のファッショニスタを虜にしたのはご存知のとおり。こちらは、2018年9月にミラノでお披露目されたばかりの“ネクストチャプター”と題された2019年春夏コレクション。ナイロンジャケットやフィールドジャケットなど、テクニカルなラインナップが、多数お目見えしています。
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── ヒロシさんは、打ち合わせでイタリアに行くことも多いようですが、あちらでは滑らないんですか?

HF「確かに滑れるところはいっぱいありますが、日本に帰ってきて、デッツや友達とみんなで行くほうが断然楽しいですね(笑)」

Detz「多い時は20人ぐらいで行く時もあるしね(笑)」

HF「逆に一人で行く場合は、群馬ぐらいであれば、朝6時頃に家を出て、午前中だけ滑って帰れば15時には事務所に顔を出せる。ストレスもないし、ストイックでもないですよ」

── バックカントリーってそんなにライトに楽しめるものなんですね。

Detz「ストイックに考える必要は全然ないですね。みんな勘違いしてる人が多い。あと、今はギアも本当によくなってるからラクですよ」

HF「一番変わったのはブーツかもしれないですね。昔は滑り終わったら早く脱ぎたかったけど、いまはずっと履いていてもストレスがないよね」

Detz「バインダーも進化して簡単に履けるし、パウダー用の板だって充実してる」

HF「ここ20年で、そのへんも大きく変わっているから、大人が快適にバックカントリーを愉しむのは、そんなに大変なことじゃない。なんならキメキメの格好で行って、気分が乗らなかったら滑らないでお茶しててもいいわけだから(笑)」

● 藤原ヒロシ(ふじわら・ひろし)

1964年、三重県生まれ。音楽プロデューサー、DJ、作曲家、ファッションデザイナー、フラグメントデザイン主宰ほか、特定の肩書きを持たないクリエイター。音楽活動だけでなく、2018年は、タグホイヤーとのコラボモデル「「タグ・ホイヤー カレラ キャリバー ホイヤー 02 by Fragment Hiroshi Fujiwara」の発売や、ポケモンとの合同プロジェクト「THUNDERBOLT PROJECT(サンダーボルトプロジェクト)でも世界から大きな注目を集めた。

● デッツ松田(でっつ・まつだ)

1961年、三重県生まれ。編集プロダクションdoubteverything代表、ファッション誌OUTSTANDING編集長。『Hot Dog Press』、『ASAYAN』、『POPEYE』、『HUgE』ほか、80年代より多くの雑誌の編集に携わる。90年代にフジテレビ系列局で放送されていた伝説のクイズ番組『カルトQ』の放送作家としても活躍。藤原ヒロシ氏とは、生まれ育った実家が近所という間柄。

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