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2021.10.13

アートで現実世界が拡張される? 「AR」と「VR」の新しい楽しみ方とは

テクノロジーの進化とともに、アートの世界も拡張を続けています。「NFT」や「AR」など、耳にするものの実際はよくわからない最新のアートについて、メディアアート研究者・高橋裕行さんに伺いました。

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文/浜野雪江

プロジェクションマッピングだけじゃない! メディアアートの可能性

テクノロジーの進化によって広がりつつあるアートの世界では何が起きているのか? 文化の土壌を耕す“水やり係”を自認する、メディアアート研究者・高橋裕行さんに、近年注目のアートとその楽しみ方について伺いました。

「NFT」に続いて、「AR」と「VR」を活用したアートについて教えていただきます。

AR・VRを使ったアートによって現実が広がっていく?

高橋裕行(以下、高橋) 近年のアートの潮流のひとつに「AR(Augmented Reality/拡張現実)」と「VR(Virtual Reality/仮想現実)」を用いたものがあります。

── この両者は、メディアアート研究をされている先生の専門領域ですよね。
▲ 現実世界にはいないポケモンも画面越しには活き活きと動き、こんなスクリーンショットを撮ることもできる。 写真提供/Niantic ユーザーエクスペリエンスデザイナー 石塚尚之氏
高橋 はい。ARは、実在する風景(現実世界)にバーチャルの視覚情報を重ねて表示し、目の前にある世界を仮想的に拡張するもので、「ポケモンGO」でこの技術が使われています。

VRは、クローズドな世界のなかに、高いリアリティが得られるような環境をつくる仮想現実で、ゴーグルを被るものがよく知られていますが、それだけでなく、皆さんが親しみのあるところで言うと、「あつまれどうぶつの森」などもそうです。あれも、仮想の世界に現実を作っていく仮想現実ですよね。最近ではメタバースという言葉も使われています。
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── そう例えてもらえるとわかりやすいです。でも、どちらも大人気のゲームですが、それがどうアートに結びつくのでしょうか。

高橋 アートの世界でも、ARやVRを用いてPCの中の世界と現実の世界がシームレスになるという現象がどんどん起きています。

例えば、リオ2016 オリンピック閉会式の「東京2020 フラッグハンドオーバーセレモニー」でも、AR技術がフル活用されていました。あれは、あらかじめ空間全体をPCに取り込み座標変換することで、CGと現実を混ぜ合わせているわけです。座標で現実がシミュレーションされているから、カメラがないはずの視点からも見ることができます。
高橋 そして今年開催された、「ライゾマティクス_マルティプレックス展」では、それがさらに進められていました。音楽と映像に合わせて、ボックス型の舞台装置がプログラミングされた座標上を動き、その様子をビデオカメラがリアルタイムで映しているのですが、その映像を画面で見るとボックスの上にダンサーがいるのに、現実の空間にはダンサーがいないんです。
▲ 《Rhizomatiks × ELEVENPLAY “multiplex”》2021
高橋 それを見た時に、現実とVRの世界がどんどん融合していくのを肌身で感じましたし、彼らにとってはコンピュータで計算された世界と現実は、ほぼ等価なんだなと思いましたね。

── ゲームの世界同様、それは体感しないともったいないですね。
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虚構を共有するという楽しみ方が生まれた

高橋 アートって基本的には、“嘘をつく”わけですよね。絵画でも、現実にはありえない美しい、もしくは奇妙だったりする世界を描いています。

「ポケモンGO」も嘘の世界が現実に進出してきているわけで、それが融合していくのは楽しいし、何もない空間なのにその人たちだけに見えてる世界があるというのは、新しいアートのムーブメントになるんじゃないかと。さらに、ユーザーコミュニティによって、その世界を一緒に楽しめる仲間がいるというのも面白いです。

ARやVRの技術は今後も進化し、より現実とバーチャルがミックスした面白い世界を見せてくれると思いますよ。

── それにしても、メディアアートってプロジェクションマッピングのことかと思っていましたが、もっと広いし奥深いんですね。

高橋 メディアアートの共通点は、プログラミングによって作られていることと、環境や人々に対して開かれていて参加可能だということ、そして常に新しいメディアにチャレンジしているところだと思います。ドローンやプロジェクションマッピングだけじゃなく、いろんな新しい傾向が出てきているし、そうした中から次の時代を作っていく作品が突如現れるのが面白いところ。

今後はテクノロジーとの接点から新しいものが生まれてくる可能性が高いので、そういうものをウォッチしていると楽しいのではないでしょうか。

次回は、未来の在り方を問いかける「スペキュラティブデザイン」について解説! 10月14日に公開します。

● 高橋裕行(たかはし・ひろゆき)

キュレーター。多摩美術大学非常勤講師。1975年生まれ。慶應義塾大学環境情報学部卒、岐阜県立国際情報科学芸術アカデミー(IAMAS)卒。東京藝術大学美術学部先端芸術表現科助手、SKIPシティ映像ミュージアムキュレーターを経て、現在はフリーランスのキュレーター。内外で、さまざまな展覧会やワークショプの企画、制作、運営を行う。2015年〜2020年まで、伊勢丹ココイクでワークショップを主体とした幼児向けの教室のディレクションを行う。2016年、のと里山空港アートナイトでは、アーティスト集団ライゾマティクスとともに、空港滑走路を用いたアートプロジェクトをディレクション。著書に、『コミュニケーションのデザイン史』(フィルムアート社、2015年)がある。

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