2025.07.25
【第27回】
イタリア人の夏の常識。スイカに塩はありえない。夏でも熱々エスプレッソですが、何か?
イタリア生まれのフード&ライフスタイルライター、マッシさん。世界が急速に繋がって、広い視野が求められるこの時代に、日本人とはちょっと違う視点で日本と世界の食に関する文化や習慣、メニューなどについて考える連載です。
BY :
- 文/マッシ
- CREDIT :
文・写真/スガイ マッシミリアーノ 編集/森本 泉(Web LEON)
イタリアと日本の「夏の過ごし方」は似て非なるもの?

イタリアの夏と言えば、日本では見かけないズッキーニの花

イタリア人の常識、「スイカに塩はありえない!」
「塩っぱさと甘さ」というコンビは確かにそこまで人気がなくて、日本で昔から流行っている塩キャラメルもイタリア人の口にそこまで合わなかった。

イタリア人は夏でも熱々のエスプレッソ

昼間の暑さは「ペルシアーナ」で太陽光を遮断する
まず、日本の「打ち水」のように、道路や庭に水をまいて気化熱で涼を得るという習慣が、イタリアにもある。特に夏の暑い時期には、建物の周りやテラスなどに水をまくことで、涼しさを感じようとする家庭やお店が多いよ。これは、日本の打ち水と同じく、古くからの生活の知恵として自然に行われているみたいだ。

実はイタリアでは赤煉瓦や石でできた家が多いから、扇風機を回せば家の中はそこまで熱がこもらない。それだけではなく、窓の外側に「ペルシアーナ」と呼ばれるブラインドや鎧戸がある。日中の強い日差しが差し込む時間帯にはこれを閉めて、太陽光を遮断する。これで室内の温度上昇を抑えて、朝晩に取り入れた涼しい空気を家の中に保つことができるんだ。日中は家の中が薄暗くなることが多いけど、これがイタリア流の夏の過ごし方だよ。

夏のイタリア人は夜になると活発に動き出す
日本では夜になってもなかなか湿気が落ちないよね。イタリアはカラッとしているから、日が落ち始めると割と涼しくなる。夜は遅くまで明るいから、出かけて誰か相手と楽しめばより涼しく感じるよ。僕が好きな過ごし方は、テラス席や庭、バルコニーなどでの食事だ。日光がなくなれば最高に気持ちいい空間で開放的な食事の時間になる。

みなさん、イタリアの夏はいかが? イタリアに行かれた方はより楽しめるし、日本でも似たような過ごし方を試してみては? 暑さに一番効く対策は「相手との楽しい時間」だから、今年は素敵な相手とイタリアの夏を再現をしてみよう!

● マッシ
本名はスガイ マッシミリアーノ。1983年、イタリア・ピエモンテ州生まれ。トリノ大学院文学部日本語学科を卒業し2007年から日本在住。日伊通訳者の経験を経てからフードとライフスタイルライターとして活動。書籍『イタリア人マッシがぶっとんだ、日本の神グルメ』(KADOKAWA)の他 、ヤマザキマリ著『貧乏ピッツァ』の書評など、雑誌の執筆・連載も多数。 日伊文化の違いの面白さ、日本食の魅力、食の美味しいアレンジなどをイタリア人の目線で執筆中。ロングセラー「サイゼリヤの完全攻略マニュアル」(note)は145万PV達成。
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