2020.05.14
VOL.02「美人の前では、奴隷であるべき?」
深夜4時、美女に頼まれたお買い物
人気放送作家にして戦略的PRコンサルタントでもある野呂エイシロウさんが、長い業界生活の中で見聞きし、あるいは遭遇した、恋するオヤジさんたちの愛すべき艶話をこっそり披露する連載です。
- CREDIT :
文/野呂エイシロウ イラスト/早乙女道春、林田秀一
■Theme02「美人の前では、奴隷であるべき?」
「買ってきたよ」と袋を手渡したら「ありがと」という素っ気ないお礼のあと、「はいっ」と一万円札を渡され、ピシャリとドアが閉まった。
そんなものだ。が、この話には後日談がある。彼女と焼き鳥屋さんのカウンターでムルソーを傾けていた時、「あの時、本当は入れてもらえると思ったんだ」と口にした。すると「私だってそのつもりだったわよ。でも本当に買ってきちゃうし……コートを開いて素っ裸だったら面白かったのに」と。奴隷になりきれば願望は実ったのだ。
「今からどう?」と誘ってはみたものの「玩具が壊れたら、またね」と、残りのワインを飲み干し、頬のキスだけで去っていったという。奴隷になりきれない男は、大きなチャンスを逃したのだ。ドM具合がボクっぽいって? それはまた別のハナシということで。
野呂エイシロウ
『天才・たけしの元気が出るテレビ‼』で放送作家デビュー。気さくな人柄と豊富な知識、そして巧みな話術にファンも多い。現在は戦略的PRコンサルタント業務など、多忙を極める。