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2023.03.29

桑野克己

ジャイアント馬場の巨大な自宅を大胆リノベーション

実業家の桑野克己さんが探していたのは、都心で200㎡を超える広々とした集合住宅。ようやく出会えたその物件はかの伝説的なプロレスラーが住んでいた部屋でした。

CREDIT :

写真/平郡政宏 文・編集/秋山 都

都心で200㎡超のヴィンテージマンションをスケルトンからリノベ

桑野克己 妻 谷尻誠 ジャイアント馬場
▲ 50畳(!)もの広~いリビングルームで桑野克己さん。奥様の真理さんと。
ラグジュアリーブランドのためのECプラットフォームを構築・運用する企業を自ら立ち上げ、軌道に乗せたのちに売却。現在は各社のコンサルタントや社外取締役、また五島列島のデザイナーズホテル「hotel sou」(長崎県)のオーナーとして悠々自適な日々を送る桑野克己さん。その自宅は恵比寿駅から徒歩圏内、築40年のヴィンテージマンションの一室にありました。
桑野克己 谷尻誠 ジャイアント馬場
▲ ローテーブルに低めのソファ、収納……目線を低めにさせることで室内をより広々と感じさせている。
「ここのほかに山中湖と千葉に別荘を持っているので、都心の住まいに求めるのはまず利便性、そして広さ、クルマを平置きにできる駐車場です。その点からここは行きつけのレストランも多い恵比寿~広尾エリアであること、都心では珍しく200㎡超の広さがあったこと、そして1階にそのまま停められるパーキングがあったことから、すぐに購入を決めました」

築40年のヴィンテージ・マンションで、以前のオーナーはなんとあのジャイアント馬場さんだったとか。「それにしては……」と周囲を見回していたら、桑野さんもニヤリ。

「わかります。天井がそんなに高くないなと思ったでしょ(笑)。やはり昔の物件だから、天井高は普通サイズなんですよね。そこで家具をすべて低めに設置し、広々と感じさせるように意識しています」

デザインは長崎のホテル「hotel sou」の内装も手掛けた谷尻誠氏*に依頼。8カ月に及ぶ設計とスケルトンに戻してからの5カ月の施工を経て、50畳を超えるLDKを中心に据えた大規模リノベーションが完成しました。
* 谷尻誠氏は建築家。SUPPOSE DESIGN OFFICE代表。内装を手掛けた「hotel sou」はグッドデザイン賞を受賞。
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生活感を感じさせるものはすべてパントリーに収納

桑野克己 谷尻誠 妻
▲ 部屋全体を見渡せるコの字型キッチンカウンターに立つ真理夫人。
今回のリノベに際し、桑野さんから谷尻さんへの依頼は「生活感を感じさせないホテルライクな空間」でした。

「長崎のホテル内装をお願いしたご縁で知り合って。谷尻さんの、モダンではあるものの冷たさを感じさせない空間づくりや、落ち着く光の採り入れ方が気に入って、ぜひこの家もお願いしたいと依頼しました」
桑野克己 谷尻誠
▲ オーク材の箱のようにも見えるパントリーが部屋をゆるやかに分けている。天井をフリーにすることでさらに広さを強調する効果も。
注目すべきはまず、このオークウッドで囲われた箱のようなパントリースペース。この中に、冷蔵庫や食器棚、食材庫、ランドリースペースなど生活感を醸してしまうアイテムをすべて隠せることで、すっきりとホテルライクな空間が出来上がっています。

「各種家電のスイッチパネルもすべてこの中。隠したいものを収納しながらも、一か所にまとめているので使いやすく、機能性も高いから便利です」
谷尻誠
▲ スイッチ類もスタイリッシュなトグルスイッチを採用。これも谷尻氏のこだわりだったとか。
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桑野克己 谷尻誠
▲ キッチンからガラス張りで見渡せる勉強部屋。
そしてもうひとつのこだわりは、キッチン横に設けた子どもたちの勉強スペース。

「まだこどもたちが中2と小2と幼いので、勉強時間をしっかり確保できるように、あえてキッチン横に設けました。最近は私たちの目を避けて自分の部屋で勉強することも多いようですが(笑)」
桑野克己 妻 
▲ 「ちゃんと勉強してるかな?」と確認できるのに加え、キッチンへの採光効果もあり。
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使いやすくスタイリッシュを追究したバスルームと収納

桑野克己
▲ オーバーヘッドシャワーを据えた桑野家のバスルーム。
ホテルライクというコンセプトはバスルームにもしっかり採り入れられています。自然石で統一されたバスタブとバスルームは広い窓からやわらかな光が降り注ぎ、とても居心地が良さそう。壁面に据えられたテレビがなくても長湯してしまいそうです。

「とても快適なんですが、ちょっとバスタブがデカすぎて、お湯が溜まるのに時間がかかるのが玉にキズなんです(笑)」

パントリーの後ろにはファッション好きでもある桑野さんのワードローブを収納できる、大容量ウォークスルー・クローゼットやシューズクロークがまとめられていました。

「お客さまがいる・いないに関わらず、見せるものと見せたくないものをきちんと分けて、意識のメリハリをつけて暮らすのは心地のよいものです」

実は桑野さん、現在は千葉県に4軒目となるビーチハウスを建築中だとか。設計・建築はもちろん谷尻誠氏ということで、そちらも気になる! 竣工のあかつきにはぜひ取材させてください!

桑野克己
▲ バイオエタノールを使用したファイヤーピットに着火。ホームパーティの際にはゆらめく炎もおもてなしのひとつに。
桑野克己

●桑野克己(くわの・かつき)

実業家。モーメンタム・テクノロジーズCEO。
慶應義塾大学経済学部卒業。米国コーネル大学経営大学院(MBA)卒業。ギルト社長、AOL執行役員、リッスンジャパン社長などを歴任後、ラグジュアリーブランドのeコマースを運用するルビー・グループを創業。

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