2023.02.28
【プロが教える】ラフなインテリアが「おもてなしの極意」!?
空間プロデュース、フラワーデザイン、フードクリエイションと多彩に活躍するアーティストhideyaさんのおもてなし術を拝見。メゾンブランドや各界セレブリティをもトリコにするホスピタリティの真髄とは?
- CREDIT :
写真/蛯名まゆこ 文・編集/宮原友紀
セレブリティも絶賛! hideyaさんの誰もがトリコの“おもてなし”を拝見

“hideya流おもてなし”は友人や仕事関係者とのコミュニケーションの場としてもオススメ
例えば料理を提供する際、今の時期だと、白菜を手にした時、“こういう風に出せば素敵に見えるんじゃない?”なんて、じっくり見つめちゃったりします(笑)。喜んでもらえるのはもちろん、そのために何ができるかを考えることが好きなんですよね。
趣味や思考もわかるし、どういう文化をもっているか、何に興味があって何に興味がないか、どういうものに感動するかなど、パーソナリティの深い部分に触れることもできる。おもてなしは、仲のよい友人はもちろん、近いチームになり得る人、もう一歩個性を知りたい仕事関係の人とのコミュニケーションとして、かなりオススメなんです」
お店には旬の食材がきちんと並んでいる。それを組み合わせれば献立には困らない

「料理を決める時は、まず始めにお客さまのキャラクターを思い浮かべます。そのうえで、その人が好きそうな食材を考えることもあるし、好きそうな食器を組み立て、それに合う料理構成を練ることも。また、人数も考えますね。人数が少なければ温かいものを先にお出しできますが、人数が多ければ冷めてもいいものを始めにお出しして、後半で温かいものをお出しするなど、配分に気をつけます。
そして、素材には必ず旬を取り入れたいと考えています。寒い時期には体を温め、暑い時期には体を冷やす。そんな自然の摂理の中にあるのが旬の食べ物。だから、その時季ゆえに食べられる物でお客さまに元気になってもらいたいと思うんです。
また、スーパーや市場に行けば、旬の食材がきちんと並んでいて、それを組み合わせれば献立に困ることはないんです。“あれがない、これがない”って何軒も駆けずり回らなくてよくて。例えば、ハンバーグを作ろうと決めているところに、フキノトウが売られていても買わないじゃないですか。買い物に行って、そこにあるもので構成するのがベスト、だと思っています」
整然としすぎていると居心地が悪いはず。インテリアにはラフさがあっていい

「基本は季節を大切に、その時季を感じる装花や装飾を選んでいます。二十四節気の中で、新しい季節の始まりを喜ぶことは縁起もいいですし、ゲンを担ぐという意味でもハッピーだと思うんです。

「ふと目線をやった所がどこも感じよい、というのが理想。それって、人がきちんとそこで過ごしている感があるってことなんです。整然としすぎると見飽きちゃうじゃないですか。プライベートな空間には、ある程度のラフさがあっていいと思うんです。
見えても嫌じゃない棚にしておくとか、家財の経年を隠さないとか。おもてなしをするなら、見られて困る場所を作らないっていうのもポイントかもしれません」
▲ T字に配した2台のテーブルは、横に並べて正方形にしたり縦に繋げてロングテーブルにしたりも。オーダー中のhideyaさんがデザインした直径180cmの円卓が完成したら取り替え予定とか。
▲ オールドバカラ、オールドサンルイ、オールドドーム、アスティエなど、貴重なグラスがラフに並んだ光景が絵になる。
▲ T字に配した2台のテーブルは、横に並べて正方形にしたり縦に繋げてロングテーブルにしたりも。オーダー中のhideyaさんがデザインした直径180cmの円卓が完成したら取り替え予定とか。
▲ オールドバカラ、オールドサンルイ、オールドドーム、アスティエなど、貴重なグラスがラフに並んだ光景が絵になる。
センスを磨くには、得意なものだけじゃなく興味があることを全部知ること!
おもてなしとは違いますが、うちのスタッフは夜中設営、朝撤収とか、どうしても生活が不規則になりがち。そんな時はこのアトリエのキッチンで、できるだけ大きなお鍋にスープを作っておくんです。動き続ける日々の中でも、きちんとご飯は食べてほしいんですよね。
ちなみに僕は朝型で、午前3〜4時には起きます。今日明日のタスクの整理やメールの返信をバーっとやって少し落ち着いても、まだ朝の築地で買い物する時間が取れるのもよいんですよ。もちろん、おもてなしを始める時間も夕刻からと少し早いですが、早めに始めて夜深くなる前に閉めたほうが、お客さまも気持ちよく明日を迎えられるんじゃないかなと思うんです(笑)」

「興味と知ることが多いんだと思います。自分が得意とするものだけじゃなくて、全部に興味があって、全部を一回通過してみるんです。旅にもすごく行くし、いろんな現場にも行くし、食べ物もモノも空間も、とにかく実物を見る。それを体感することによって、自分ができること、できないことがわかるんです。
やりたいこと、やりたくないことという選択もできるけど、選択できるぶんの手数を常にもっておかないと、選択ができないわけですよ。例えば、クライアントさんの知識量より僕がもっている知識量が圧倒的に少ないと、仕事にはならないんですよね。誰かを喜ばせるには、自分の興味の広さと、それを知る時間のストックが生きてくるんだと思います。
……あれ、おもてなしの話からだいぶ飛躍しすぎましたね(笑)。さまざまな体感を通じて創るモノとコトを“おもてなし”を通じて共有できることが僕自身の刺激になっているのです」

● hideya
1985年生まれ。10代はニューヨークで育つ。音楽家としてはもちろん、メゾンブランドのアートディレクションからイベント制作、映像制作などクリエイティビティにおける活躍は多岐にわたる。
Instagram/@hideyaiida