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2020.02.16

長期の目標は「北極星」と思え!

目標を達成する人が密かに使う「リストの魔法」

1年の抱負や、長期のプロジェクトなど、「あいまいな目標」を達成するのにもコツがあります。研究者かつブロガーとして日々多くのアウトプットをし、『仕事と自分を変える 「リスト」の魔法』(KADOKAWA)を上梓した堀正岳氏が、仕事(研究)や生活に生かしている「箇条書きリスト」のメソッドを紹介する。

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文/堀 正岳(Lifehacking.jp運営者)

記事提供/東洋経済ONLINE

歴史上の偉人も「リスト」を作っていた

前回の記事で書きましたが、「箇条書きのリスト」には、物事をスッキリさせる効果と、ハッキリさせる効果の2つがあります。箇条書きのリストを「まったく書いたことがない」という人は、おそらくいないと思いますが、この2つの効果については、あまり意識されていないようです。

例えば「てこの原理」はあらゆる機械や、操作を必要とする製品に応用されている基本的な作動原理ですが、私たちが部屋の電気のスイッチをパチンと入れる際にその原理を意識することはありません。それと同じで、箇条書きのリストは紙にメモを残すのと同じくらいに基本的な方法であるために、多くの人が使っているにもかかわらず、その効果はほとんど意識されることがないのです。

しかし歴史をひもとけば、リストはあらゆる国や文化で使われていることがわかりますし、著名な作家や芸術家が残したリストも数多く知られています。

例えば大英博物館には紀元前13世紀、ラムセス2世の時代のエジプトでパピルスに書かれた夢占いのリストが収蔵されています。レオナルド・ダ・ヴィンチが書きつけた「解剖学的に興味のある事柄」のリストも伝わっています。ジョン・レノンが記者のインタビューに答えて書いたリストもあれば、歌手のマドンナが毎日の仕事や会社の経営のためにリストを手放さないという逸話もあります。

リストは、ペンと紙を持った人ならば誰もが一度は使ったことがあるほどありふれたものなのです。

リストは膨大な記憶や知識の整理もしてくれます。仏教は十二縁起や四諦といった形で教えをわかりやすく分解して説明していますし、キリスト教の教理問答のようなものも知識をリスト化しているといってもいいでしょう。パスカルの『パンセ』のように考えや感興を断章という形でリスト的に列挙しているケースもあれば、『万葉集』のようにまさにリストの形で情報を編さんしている本も限りなく存在します。

私たちにとって呼吸することが自然であるのと同じくらい、思考をするときにものごとを箇条書きにして整理することは自然であり、当たり前といってもいいのです。
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「長期の目標(抱負)」の実現性を高める

リストというと最初に思い浮かべるのは「やることリスト」だと思います。

毎日の仕事を始める前に、「すぐに実行しなければいけない、緊急性の高い仕事」を箇条書きにして、「やることリスト」を作っている人は多いはずです。

では、緊急性は低いものの、重要性が高いタスクについてはどうでしょうか。

アメリカ第34代大統領のドワイト・アイゼンハワー氏は「私は2つの問題を抱えている、1つは緊急でもう片方は重要なものだ。しかし、緊急なものは重要ではなく、重要なものは決して緊急であることがないのだ」と語ったとされていますが、その言葉から「アイゼンハワー・マトリクス」という、タスクの重要性を測る手法が生まれました。すべての仕事を、緊急性と重要度という2軸で評価する有名な方法です。

やることリストの中に入りがちなのは緊急で重要性の高いタスクと、緊急で重要度の低いタスクの2種類です。非緊急ですが重要な、長期的にみた成長のための投資や、スキル習得といったタスクは、やることリストからはどうしても抜け落ち気味です。

これは考えてみれば当然です。「情報収集能力を高めるために中国語を学ぶ」といった目標を立てたとして、それはやることリストの中に追加するタスクにはなりません。具体的な「アクション」ではありませんし、どのようにしたら「完了」となるのかがあいまいだからです。

それでもこうしたあいまいな目標から、具体的なアクションを生み出さなければ、いつまでたっても忙しくタスクを処理するだけで時間が過ぎてしまいます。

遠大な目標や、より長期にわたって継続している仕事に対して、どのようにタスクを割り振ればいいのでしょうか? こうした「あいまいな目標」は、航海でいうならば方向性を定めるために利用する「北極星」のように扱い、その方向性に関係した「アクション」を考えていくことが重要になります。

そのような作業のことを、よく「目標からタスクを『振り出す』」などと表現します。これは、昔話に出てくる打ち出の小づちのように、「目標を振ればタスクが出てくる」ようなイメージから生まれた表現です。

例えば先程挙げた「中国語を学習する」という例をみてみましょう。学習をするからには、当然スタート地点が必要です。まずは学習用のアプリで発音を学びますか? それとも教科書を購入して独学を始めますか? あるいは先生を探し、時間をかけて会話を学ぶのでしょうか?

これらは具体的にアクションを起こせるタスクです。「中国語を学ぶ」という目標と向き合った結果、そこからタスクが振り出されてきたのです。
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「1年・四半期」ごとのロードマップを描け

拙著『ライフハック大全』で、私はブロガーのクリス・ギレボーが実践している「1年間のレビュー」の仕方について紹介したことがあります。

彼は1年の抱負の具体的なロードマップを作るために、1年の目標を立てた後でそれを四半期ごとの小さな目標に分解し、さらにそれを四半期の中で実行すべきより小さな目標へと分解するという作業を行っていました。いわば、1年の抱負を4つに分割して、「3カ月の目標」に分解していたのです。

これを、箇条書きのリストを使って実践してみましょう。まず、年間の目標に対して四半期の目標を立て書いていきます。

● 1年の抱負
  - 第1四半期の目標
  - 第2四半期の目標
  - 第3四半期の目標
  - 第4四半期の目標

それぞれの四半期の目標には、具体的な達成したい小目標が4~5つ程度ぶら下がります。

大事なのはこれら(四半期の目標)は、普段のやることリストのタスクのような、「必ず達成すべきもの」ではなく、「より具体的なタスクを振り出すための方向性」であるということです。

1年の抱負が本を執筆することならば、第1四半期の目標はテーマ選び、第2四半期の目標は資料収集になるかもしれません。すると、第1四半期には「テーマの案を練る」「過去の類書を探す」といった小目標が入ってくるはずです。
ここまで分解ができたなら、週次レビュー(週に1度、すべてのタスクを見直し、リストを一新する作業)のたびに「テーマの案を練る」という目標から具体的な行動を振り出します。そして、やることリストのほうに「非緊急・重要タスク」として加えていきます。

このとき緊急なタスクと区別するために、文字の色を変えて注意を促したり、まったく別のリストを用意したりしてもいいでしょう。

長期の目標とタスクとは、画家とキャンバスの関係に似ています。画家が一歩身を引いて全体の構図を見定めているのが長期的な目標を検討している部分だとするなら、キャンバスに近づいて細部に一筆を加えてゆくのは日々の具体的なタスクに相当するのです。

タスクを振り出すという考え方を身に付けて初めて、タスク管理は日々の仕事も人生の方向性も、両方とも管理する道具として使えるようになります。

■ 『仕事と自分を変える「リスト」の魔法』
誰もが意識しないほど簡単で基本的なツールだからこそ、「リスト」は、誰にでも使うことができ、その恩恵には限りがありません。そして、簡単に実践できるのに、これまでできなかったことを可能にして、いままでできていたことをより高いレベルで可能にする――。そんな魔法のような力がリストにはあるのです。本書では、この「魔法」を簡単に扱えるようにする方法を紹介しました。

● 堀 正岳
研究者・ブロガー。北極における気候変動を研究するかたわら、ライフハック、IT、文具などをテーマとしたブログ「Lifehacking.jp」を運営。知的生産、仕事術、ソーシャルメディアなどについて著書多数。理学博士。

当記事は「東洋経済ONLINE」の提供記事です

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