2025.09.13
【40・50代男性Q&Aその1】 若い頃より毛穴が目立つのはなぜですか?
日頃のスキンケアの質が、文字通り「顔に出る」オヤジ世代。その最前線が、モテる条件でもある清潔感の逆を行く“毛穴”かと。そこで、いまさら聞けない毛穴のあれこれを「アオハルクリニック」小柳衣吏子院長にうかがいました!
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イラスト/STOMACHACHE. 文/大塚綾子 編集/菊地奈緒(Web LEON)
A.加齢で肌がたるむと毛穴もしずく形の「たるみ毛穴」になってしまいます

小柳先生(以下、先生) 顔の毛穴には脂腺性毛包という大きな皮脂腺が集まっています。毛穴から出る皮脂は肌の保湿と保護に必要なものですが、第二次性徴期を迎えると男性ホルモンの分泌が増加する影響で、この皮脂腺が発達して皮脂分泌が活発になり、それに伴って毛穴の開口部も大きくなります。
皮膚とともに毛穴も下に引っ張られて縦に開く、いわゆる毛穴がしずく型になる「たるみ毛穴」が進行していく。内的な要因である皮脂分泌、環境的な要因の紫外線、加齢による経年劣化も加わって、毛穴は徐々に開き目立つようになります。
実は、50歳前後に閉経を迎えて女性ホルモンのエストロゲンが大幅に減少する女性より、皮脂分泌にあまり変化のない男性のほうが毛穴開きの進行はゆるやかなんです。性別に限らず、皮脂分泌量が多い人のほうが肌が若い傾向にあるんです。
── 皮脂分泌の多い男性のほうが女性より肌が若い可能性があると聞くと、うれしくなります。
先生 (笑)。ただし、酸素に触れることで皮脂が酸化すると、ノネナールという加齢臭の原因物質を含むようになり、皮脂がべったりとついた不潔な肌になってしまいます。過剰な皮脂はこまめに拭き取ったほうがいいですね。
先生 一般的には、鼻と目の下からほうれい線の上までの頬にあたる、蝶のような形のゾーンです。女性に比べて男性は毛穴の目立つ範囲が広いのが特徴です。
── なるほど。だから、鼻の毛穴がポツポツと黒ずむ、いわゆる“いちご鼻”になりやすいんですね。
先生 “いちご鼻”は肌のターンオーバーが乱れて、毛穴にタンパク質とメラニンが混ざった角栓が詰まった状態のこと。汚れではなく肌の基底細胞にあるメラノサイトが蓄積されて、黒く見えているんです。角栓の成分であるタンパク質自体が透明ではなくベージュに近いので、毛穴に詰まると黒っぽく見えているのかもしれません。
また黒くポツポツと見えている場合、産毛の詰まりが原因の場合もあるので、レーザー脱毛すると目立たなくなりますよ。
── 若い頃に鼻に貼って剥がすタイプの毛穴パックをよく使っていたのですが、毛穴が開く原因になったんじゃないかと心配です。
結果として強制的に角層の代謝が速くなり、皮膚の角質層にある細胞と細胞の間を満たしている細胞管脂質が減るので、一時的に肌がドライになって荒れる恐れも。肌荒れを繰り返していると、その状態が固定化してしまうので、角栓を取り除いたらその後の適正なケアが必要です。

● 小柳衣吏子(こやなぎ・えりこ)
福岡県生まれ。幼い頃の大病がきっかけで、医師を志す。順天堂大学医学部卒業後、同大学病院勤務を経て、「ウェルエイジング」のコンセプトに賛同して2009年にAOHALクリニックに参加。2011年に院長に就任。順天堂大学医学部皮膚科助教(非常勤)、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本美容皮膚科学会会員、日本抗加齢医学会評議員・認定専門医。皮膚だけでなく顔の筋肉の勉強も続け、海外での解剖トレーニングにも積極的に参加している。著書に「美肌の王道」(日経BP)。テレビや雑誌・Webにも多数出演。趣味はゴルフ。

■ アオハルクリニック
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