2025.05.13

【Q4】最近、寝ても疲れがとれません……

寝ても疲れがとれない、起きたい時間よりも早く目が覚める。年齢を重ねて、睡眠にまつわるお悩みが増えたのでは? そこで、オヤジさんも多く訪れるという『眠りと咳のクリニック虎ノ門』の柳原万里子院長に、さまざまな疑問に答えていただきました。

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イラスト/STOMACHACHE. 文/大塚綾子 編集/菊地奈緒(Web LEON)

A.睡眠障害の種類は70以上! 初診では時間をかけて話を聞き原因探しをします

「春眠暁を覚えず」と言いますが、近頃ぐっすり眠れていますか? 日々のパフォーマンスと若さを保つために欠かせない睡眠ですが、毎日の睡眠に不満を覚えるオヤジさんも多いかと。そこで、ビジネスパーソンが抱える睡眠の悩みと日々向き合っている『眠りと咳のクリニック虎ノ門』院長の柳原万里子先生にお話をうかがいました。
【Q4】最近、寝ても疲れがとれません……
── 「いびき」の相談で来院するオヤジさんも多そうですが?

柳原先生(以下、柳原) そうですね。どちらかといえば困っているのはパートナーであったり、ご家族であったり。身近な方から指摘を受けて来院されるというパターンが多い印象です。
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「いびき」は呼吸する際に、鼻や喉の呼吸の通り道の狭い所の壁が振動して鳴る振動音です。「いびきは睡眠時無呼吸症候群のサイン」といいますが、実は、というか当たり前ですが、息が止まっている時にはいびきはかけません。鼻が狭い場合は鼻いびき、喉が狭い場合は喉いびき、人によっては鼻と喉の両方でいびきをかいていることもあります。

当院ではいびきのご相談をいただくと、鼻の通りを確認する鼻腔通気度検査と、自宅でできる「睡眠時無呼吸症候群」のスクリーニング検査の両方をおすすめすることが多いです。どちらも保険適応ですが、この両方を行うことで鼻いびきだけなのか、喉いびき、もしくは喉で呼吸の通り道が閉塞して呼吸が止まってしまう睡眠時無呼吸症候群の疑いがあるのかを確認します。

睡眠時無呼吸症候群がなく、いびきだけの場合には「単純いびき症」という診断になります。鼻いびきの場合には耳鼻咽喉科的な治療の検討を、喉いびきの場合には睡眠時無呼吸症候群に準じた治療を検討します。

── 「睡眠時無呼吸症候群」の原因はなんですか?
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柳原 いびきを伴う閉塞性の睡眠時無呼吸症候群のメカニズムは物理的な喉の閉塞です。喉の呼吸の通り道(上気道)へ向かって舌の根元や下顎が落ち込み、上気道が閉塞することにより生じます。

一般的なリスク要因は、肥満、加齢、骨格の3つ。脂肪がつき狭くなった上気道へ脂肪により肥大した舌の根元が落ちてくると上気道は閉塞しやすくなります。加齢による筋肉の緩みは上気道への舌の根元や下顎の落ち込み具合を悪化させます。

また骨格ですが、アジア人は欧米人と比べて骨格的に上気道が狭く、極端に太らなくても閉塞を生じやすいんです。骨格は親子兄弟で似るものなので、ご両親や兄弟が大きないびきをかいている場合は、自分もそうかもしれないと疑ったほうがいいですね。

ただし脳梗塞や神経筋疾患、腎不全、心不全の患者さんでは上気道の閉塞がなくても息が止まる「中枢性」の睡眠時無呼吸症候群を生じることがあるので注意が必要です。

── 「睡眠中に何度もトイレに起きてしまう」場合はどうしたら?
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柳原 「夜間頻尿」は特にLEON世代の男性に多いお悩みです。1回1回の尿量が少ない傾向にある場合には、前立腺肥大や過活動膀胱が原因のことも。泌尿器科へのご相談をおすすめします。1回1回の尿量が多い場合には水分の摂りすぎが原因のことも。アルコールも利尿作用があるので夜間頻尿の原因になります。そして前述の睡眠時無呼吸症候群も、実は夜間頻尿の原因の1つです。

── 「寝ても疲れがとれない」という声もよく聞きます。

柳原 これはとても多いお悩みですね。シンプルに睡眠時間の不足なのか、それともなんらかの原因で睡眠の質が悪いのか。内科的な問題やメンタルの不調はないのか。同じ「寝ても疲れがとれない」という症状でもその原因は多岐に及びます。たとえば睡眠障害だけでも70種類近くあるので端的に断定することができないんですよね。

このため私は初診では30分くらい時間をかけてお困りの状態が「いつから始まったのか」「どのように変化したのか」などのお悩みの歴史や経過をお尋ねし、「心当たりはあるのか」「周囲から指摘されている症状はないのか」といった質問や生活習慣の確認を重ねて、患者さんの話をじっくり聞きながら、原因を探す作業を行います。寝ても疲れがとれない原因はさまざまなので、続いているようなら睡眠外来を受診してみてください。
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── 20〜30代の頃と比べて「ぐっすりと深く眠れなくなる」のはなぜですか?

柳原 年齢とともに体が歳をとるのと同じように、睡眠も歳をとります。残念なことに、睡眠にもガタはきてしまうんです。赤ちゃんは12〜15時間くらい眠れますが、大人になればなるほど眠れる時間は減ってくるのが正常な変化です。

この実際に睡眠できる時間を「睡眠力」と呼ぶならば、睡眠力が6時間半しかないのに10時間眠ろうとしてベッドに入っていても、はみ出た3時間半は眠れない時間になってしまう。つまり、寝つきが悪くなったり、途中で目が覚めたり、朝起きたい時間より早くに目が覚めてしまう、という具合です。

効率よく眠るために「ベッドに入っている時間=睡眠力(実際に眠れる時間)+30分」になるように臥床時間を短縮することを提案させていただく場合もあります。これは睡眠制限法と呼ばれる、認知行動療法として医学的に根拠のある治療法なんですが、たいてい皆さん「眠れなくて疲れているのに、ベッドにいる時間を減らすなんて無理!」とおっしゃるんですよね。
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── 睡眠力を上げる方法はありますか?

年齢とともに減っていく睡眠力ですが、睡眠力はある程度「体力」でサポートできます。私たちには「疲れたら眠る」というシステムがあります。私は「遊園地帰りの子どもの法則」と呼んでいますが、(遊び疲れて)疲れがマックスになると眠ってしまう、このシステムは大人になっても残っています。

夜、ベッドに入るまでにより多くの「疲れ」を溜めると、より深く眠れます。とはいえ、体力が足りないと途中で休憩をしたり寝落ちをしてしまって、せっかくの疲れを解消してしまいます。ベッドまで疲れをもっていくには、やっぱり体力がないといけないんですよね。特にデスクワークの方は、頭の疲れは十分あると思いますので、積極的に体を動かして体の疲れをしっかりとつくってあげてください。

── 寝るのも体力勝負なんですね……。
柳原万里子(やなぎはら・まりこ)

● 柳原万里子(やなぎはら・まりこ)

医学博士。日本睡眠学会総合専門医・指導医。日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医。公益財団法人神経研究所睡眠健康推進機構学校訪問型睡眠講座・出張睡眠市民講座事業登録講師。筑波大学附属病院睡眠呼吸障害診療科講師、東京医科大学睡眠学寄附講座客員講師を経て2022年11月に「眠りと咳のクリニック虎ノ門」を開院。皆さまの睡眠と健康寿命を守る、をモットーに女性ならではの丁寧な視点で多岐にわたる睡眠障害の診療と臨床研究、啓蒙活動を行う。著書に「臨床医のための疾病と自動車運転(三輪書店)」「診断と治療のABC 睡眠時無呼吸症候群(最新医学社)」など。

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眠りと咳のクリニック虎ノ門

■ 眠りと咳のクリニック虎ノ門

住所/東京都港区虎ノ門1-1-18 ヒューリック虎ノ門ビル1F メディカルスクエア虎ノ門内
TEL/03-6205-7541
診療時間/月・火・木・金曜10:00〜14:00、16:00〜20:00(水曜は不定期) ※受付時間は診療終了の30分前まで
休診/土・日曜・祝日
HP/https://sleep-toranomon.com

「睡眠」が気になったら

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