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2020.05.08

ドクター斎藤が指南「コロナに負けないカラダの作り方」【後編】

非常事態宣言の延長により、テレワークや飲食店などの営業自粛も長引きそう。ステイホームで溜まるストレスはどう解消する? そもそも新型コロナウイルスにかからないカラダづくりとは? 数々の疑問をドクター斎藤こと斎藤糧三医師が解明します。

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文/斎藤糧三

前編では、私が新型コロナウイルスをどう捉えているのか、またテレワークにおけるメンタル面での影響、その対処方についてご説明しました。後半はいよいよ、具体的なコロナ対策へと視点を移していきます。

食事は3食、肉・魚ファーストで!

まず、脱水に気をつけましょう。ウイルスが感染する気道は粘液層をもち、ウイルスが細胞に感染しないようにバリアーを果たしていますが、脱水で粘液の分泌が低下したり、空気が乾燥することで、健全な粘液層を維持できない状態になるとウイルス感染がおこりやすくなります。オススメの脱水予防法は、腕の血管のポッコリ具合を普段から見ておくことです。水分をしっかり摂取したときの血管を覚えておき、いつもよりペシャンコなら脱水だと思いましょう。喉の渇きを覚えたときは、すでに脱水が進んでいるのですこし手遅れです。

次に、栄養です。脱水防止の観点から、そして副交感神経を活性化させてリンパ球を減らさないという観点からも、食事は抜かず、3食とってください。
なにより、タンパクがファーストです。厚生労働省が推奨している1日あたりのタンパク質摂取量は男性60g、女性50gです。肉や魚の20%はタンパク質なので、それぞれ食材の重さにして300g、250gを 1日で摂取することになります。大豆や乳製品でもタンパク質摂取は可能ですが、タンパク質含有率が低く、肉・魚よりも多くとる必要があります(ただし、湯葉やチーズは肉なみに豊富です)。
ウイルスの感染対策として、免疫システム(一般論として)は3段階に考えます。

1. ウイルスが細胞に感染するまでの免疫(区別のない免疫) 
2. ウイルスが細胞に感染してから一掃するまでの免疫(ターゲット絞った免疫) 
3. ウイルスに再感性しないための免疫(獲得した免疫)
1.ウイルスが細胞に感染するまでの免疫(区別のない免疫)

「自然免疫」のフェーズといいますが、免疫システムはその病原ウイルスをしりません。細菌や真菌の大きさは細胞サイズで自己増殖します。ウイルスは細胞の核にあるDNAの親戚のようなものでとても小さく、細胞に感染しないと増えることができません。細菌は、人間の免疫を担当する白血球の一種である、好中球、マクロファージという細胞が食べて殺します。しかし、ウイルスは小さいので、ウイルスに感染した細胞は食べることができても、ウイルス自体を捕まえて食べることはできません。そこで、白血球の一種リンパ球のなかに抗体を産生するリンパ球があり、この抗体が、中和するという形でくっつき、その病原ウイルスの機能を止めます(不活化といいます)。

この抗体には、代表的なものが4種類あります。IgA、IgG、IgM、そしてIgEです。IgEはアレルギーで馴染みがあるかもしれませんが、抗体の中では特殊なので割愛します。IgAは水際担当であり、主に粘液や分泌液に存在し、粘液層バリアーを維持し感染から守る役目です。IgGは水際以外の体内担当。IgMは、海のものか山のものかわからない初期感染時に導入され、IgAないしIgGが誘導されるころにはつくられなくなります(抗体のスイッチと呼びます)。

ウイルスに感染したか、どうかはこれらの抗体を測定することで同定することができるのが原則です。しかし新型コロナは、感染してもウイルス量が少ないために抗体産生がされないケースがある。または、免疫が成立(抗体がつくられた)してもなお、再燃といってウイルスが増えてしまうなど、特殊なケースがあるため、抗体検査で抗体が確認された人は、「感染リスクや感染させるリスクが低い」と免罪符を与えられない可能性があり、戦略上悩ましい部分ですが、やはり測定しないことには、という流れになっています。

話は免疫獲得前に戻ります。IgAには2つのパターンがあります。特定の抗原(病原ウイルス)に特化して認識して攻撃するもの、例えるなら「指名手配の犯人を追う刑事さん」(獲得免疫)と、特異性がなく、抗原らしきものがあれば中和するもの、例えるなら「あやしい人に職務質問する巡査さん」(自然免疫)があり。感染した経験が無いウイルスには後者が対応します。また、よく「体を温めると良い」といいますが、その理由のひとつとして、39.5度から40.0度のあまり熱くないお風呂に入ることで、IgAの分泌が増える事がわかっています。
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ビタミンDはワクチンより効く⁉

もっとシンプルに感染から守れる方法はないか?  殺菌力が強い消毒薬のようなものがあれば……と思うでしょう? あります。ディフェンシンという抗菌ペプチド。この天然殺菌成分を我々は皮膚や粘膜面などのバリアー境界で分泌しています。この抗菌ペプチドの分泌にビタミンDが関わっていることがわかっています。この抗菌ペプチドはインフルエンザウイルスにも抗ウイルス性能を発揮します。日本人の論文で、ビタミンDのサプリメントを摂取したら、インフルエンザワクチンを接種した群よりもインフルエンザにかかりにくかった。というものがあります。

ビタミンDは、紫外線を浴びることで合成されるホルモンのような栄養素です。我々人類の先祖がアフリカに住んでいるころはおそらく欠乏はおこらなかったと思いますが、北に移り住み、服を着て、大気汚染を作り、日焼けを嫌っている現代の我々の多くはビタミンD 欠乏。調べてみたところ、日本人の8割が充足していないという国民病です。

新型コロナウイルスはごく最近発生したので、ビタミンD が有効かどうかはわかりません(註1)。この危機に会ってはエビデンスレベルの高い臨床試験をやっているヒマはないでしょう。かといってビタミンDに対する期待は止められない。やれることが少ない今、「欠乏していて、リスクもないなら充足しておこう」とは、ごく当たり前にたどりつく選択です。

あと、脱水を避けるために気道の粘膜を最適に機能させることは重要で、そのカギは上皮組織の土台である結合組織が握っています。皆さんが風邪といえば思い浮かぶあの、ビタミンCはまさにこの結合組織で重要です。結合組織はコラーゲンで構成されているので、原料となるタンパク質、構造維持に鉄とビタミンCが必要です。この結合組織に支えられた上皮組織が、タンパク質、亜鉛、ビタミンAなどによって、適切なターンオーバー(新陳代謝)が起こることで、健全なバリアー機能を果たすことができるのです。

勘違いされていることが多いのですが、これら各種ビタミン、ミネラルは、免疫を向上させるものではなく、不足すると免疫機能が果たせなくなるものです。そして、現代の日本人の多くが不足しています。これらビタミンやミネラルを補充できるミックスのサプリメントを私は自社で開発製造していますが、免疫を向上させようと思っているではなく、不足分を補って、最適な状態でいてもらおう、ということ目標としています。最適な状態にするためのさじ加減がこだわりであり、ノウハウでもあります。
ドクター斎藤が監修したサプリ「CV-X」(日本機能性医学研究所)にはビタミンD、ビタミンC、グルタミン、亜鉛を配合。現在、このサプリを2パック購入すると新たに1パックをリスクの高い診療にあたる医療機関や診療部門で働く医師に寄付されるキャンペーンが行われている。
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2.ウイルスが細胞に感染してから一掃するまでの免疫(ターゲット絞った免疫) 
3.ウイルスに再感性しないための免疫(獲得した免疫)


このふたつは連続しているので、一緒に説明します。

このウイルス感染を江戸の火事にたとえましょう。ウイルスは火、細胞は家、とします。火は家に燃えうつらない限り増えません。江戸時代は、火消し屋さんは放水車がないので、火が燃え移った家を壊して、延焼を防ぎました。感染初期は、これに似ていて、細胞にウイルスが進入し、どんどん自己複製し、正常細胞に感染を広げていく。しかし、火を不活化する水、すなわち抗体はまだ産生できていないので、ウイルス自体をつかまえる方法は、ウイルスに感染した細胞を殺して行くしかありません。この感染した異常細胞を食べて殺すのが、好中球、マクロファージ(貪食細胞)、樹状細胞、ナチュラルキラー(NK)細胞、ナチュラルキラーT(NKT)細胞です。これらの細胞も入浴などで身体を温めることで、数が増え、また、細胞の活性も高くなることがわかっています。また、これらの細胞もタンパク質と亜鉛がないと合成できず、鉄を使って活性酸素を造って殺しますので、鉄が不足していると殺せません。またその鉄を体内で運ぶにもタンパク質と亜鉛が必要です。ここでも、栄養が大変重要です。

 これと同時に起こっているのが、狭義の免疫、獲得免疫のプロセスです。ウイルスに勝利するためには、「ウイルスを認識し、指名手配にして徹底排除する」というプロセスが不可欠です。感染細胞の排除のプロセスで食べた細胞が、ウイルスの特徴を抗原提示細胞(樹状細胞)に示したり、抗原提示細胞(樹状細胞)自体がウイルスの特徴を認識したりします。指名手配写真の作成フェーズから、指名手配写真に基づいた「特異的な抗体」が産生されます。

「特異的な抗体」が増産されるようになって、ウイルス自体を効率良く不活化できるようになります。形勢は逆転し、ウイルスの駆逐・排除がはじまります。感染が成立してから、抗体産生まで数日かかります。数日以内に治ってしまう風邪は、自然免疫で駆逐される細菌か増殖力などが弱いウイルスであると予測できます。抗体以外の獲得免疫のメカニズムは割愛しますが、犯人写真をもっている抗体と免疫細胞によって、再度病原ウイルスに暴露したとしても、水際で捕まって感染できないか、感染したとしても初感染ほどひどくなく治癒していくことでしょう。あくまで原則的に、ですが。
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ドクター斎藤「私はこうしています」

最後に、私が実際に行っている対処法をご紹介します。

【予防】
「3密を避ける、手洗い、マスク、消毒、そして公衆トイレに注意」
1. エアゾル感染は密室であれば、ソーシャルディスタンスをとっていても感染しますので換気は必ず行います。飲食はウイルスを含む塗抹を増大させますので会食は注意しましょう。
2. マスクは触らない。マスクを触る人の手にはウイルスがついています。
3. コロナは消化管にも感染を起こします。感染後1ヶ月間、便中へウイルスが排出されるという報告もあります。公衆トイレはホットスポットです。気を付けて!!

【免疫UP】
「栄養・水分摂取・睡眠・入浴」
1.タンパク質は免疫力の基本です。意識して毎日50g以上摂取しましょう。
2.ビタミンDは4000IU、ビタミンAは4000~10000IU。亜鉛は30mg以上、鉄は性別によりますがレバーを週2で食べる(ビタミンA摂取にもなります)、ビタミンC は2000~3000mg(下痢をしたら減らしてください)
3.水分を1日1.5L目安で小まめに摂取、手首の血管で脱水を予測する。
4.食事を抜くと、水分量も低下、副交感神経も低下。食事はぜひ3食!
5.免疫UP、睡眠負債解消のため、8時間寝ましょう!
6.熱すぎない入浴(全身浴)で免疫細胞を増やし・活性化!

【ストレス対策】
1.「家にいられる」と「家にいなきゃいけない」は別。ストレス原因は意識できないこともあるので、サイクリングや自宅でのワークアウトなど気晴らしを積極的に取り組みを取り入れる。このステイホームを機に、家族との対話方法や家庭内の役割を話し合って見直してもよいでしょう。
2.気持ちが「突っ走らない」ように。ときどき自分の「気持ちのモニタリング」を。怒り、悲しみ、不安などに気持ちが「もっていかれると」、自律神経のバランスが崩れ免疫担当細胞の数や活性が低下します。意識的にお腹をへこませて、ふくらませることで、横隔膜を動かす深呼吸をすると、自律神経のバランスが整いやすくなります。
3.酒量の増加はアルコール依存症の特徴のひとつ「耐性」の形成であるかもしれないので、注意する。ノンアルコール飲料をうまく取り入れてみたらどうでしょう。

以上になります。

ヘルスケアは知っているか?知らないか? がとても大事です。私は医者ですが、親に医者にしてもらったと思っています。そして、親が私を医者にすることができたのは、社会のおかげだと思っています。ですので、私を医者にしてもらった社会に対してお返しする義務があると考えています。このコラムが、医療の情報格差是正につながり、少しでも皆さまのお役にすこしでも立てば幸いです。

註1

4月30日に投稿された速報によると、インドネシア人のデータで、新型コロナウイルス感染症で入院した患者の血液データと転帰を解析したところ、
ビタミンDが充足している患者(血清中25(OH)Dが30ng/ml以上)は93%が存命なのことに対し、ビタミンD未充足患者(血清中25(OH)Dが21~29ng/ml)は49.1%が死亡、ビタミンD欠乏患者(血清中25(OH)Dが20ng/ml以下)も46.7%が死亡した。
ビタミンD欠乏患者の死亡確率は欠乏でない患者よりも、性別、年齢、合併症で調整後、10.12倍の差があった。
(参考まで日本人の8割は30ng/ml未満であり、おそらく大部分の日本人がビタミンDを2000~3000IUを日頃から摂取することで、充足レベルに到達できる)

<出典>Raharusun, Prabowo and Priambada, Sadiah and Budiarti, Cahni and Agung, Erdie and Budi, Cipta, Patterns of COVID-19 Mortality and Vitamin D: An Indonesian Study (April 26, 2020). Available at SSRN: https://ssrn.com/abstract=3585561

斎藤糧三/RYOZO SAITO

医師/日本機能性医学研究所所長。

1973年生まれ。更年期障害の女性に対してテストステロンを使用、自律神経調整療法のパイオニアであった斎藤信彦(医学博士)の三男。1998年、日本医科大学卒業後、産婦人科医に。その後、美容皮膚科治療、栄養療法、点滴療法、ホルモン療法を統合したトータルアンチエイジング理論を確立。2008年、「機能性医学」の普及と研究を推進するため「日本機能性医学研究所」を設立(2009年に法人化)。2013年、「食で日本を健康にします」をモットーに、「一般社団法人日本ファンクショナルダイエット協会」を白澤卓二先生とともに設立。2017年、スーパーフードとしての牧草牛の普及を目指し、日本初の牧草牛専門精肉店「Saito Farm 」をオープン。2018年、ソフトウエア医療機器の開発企業として株式会社「ライフクエスト」を設立。2019年夏、細胞機能再生クリニック「RECLINIC」を開院。
著作に「サーファーに花粉症はいない」(小学館)、「慢性病を根本から治す『機能性医学』の考え方」(光文社新書)、「糖質制限+肉食でケトン体回路を回し健康的に痩せる!ケトジェニックダイエット」(講談社)、「病気を遠ざける! 1日1回日光浴日本人は知らないビタミンDの実力」(講談社+α新書)など

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