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2020.05.08

ドクター斎藤が指南「コロナに負けないカラダの作り方」【前編】

非常事態宣言の延長により、テレワークや飲食店などの営業自粛も長引きそう。ステイホームで溜まるストレスはどう解消する? そもそも新型コロナウイルスにかからないカラダづくりとは? 数々の疑問をドクター斎藤こと斎藤糧三医師が解明します。

CREDIT :

文/斎藤糧三

ドクター斎藤って何者?

私は機能性医学という医学アプローチを実践している医師です。アメリカで発達した機能性医学は、ライフスタイル医療とよばれ、生活習慣を改善することで、いままで薬だけでは根治できなかった慢性病を根本的に解決するために、最新の生命科学と医学を融合しながら進化し続けている医学です。

栄養、睡眠、運動はもちろん、こころや思考も健康を左右するので、機能性医学に基づいた栄養療法に必要なサプリメントを製造販売するために、日本機能性医学研究所という会社を作りました。最初にお断りしておきたいのですが、私が栄養の話をする際には、文字通り栄養の話をするための場合と、自分が開発したサプリメントの販売促進の場合、あるいは両方の目的のための場合があります。このような申告をした理由は、科学の分野においてはCOI(利益相反)の開示といって「話の内容が我田引水にゆがめられている可能性がありますよ」と事前にお断りする習慣があるためです。

では、まず、私が新型コロナ感染症をどう捉えているか、からお話しましょう。それはおよそ下記のような想定です。
1) 消化器症状(胃痛や下痢、嘔吐)を伴うケースがある。
 熱や風邪症状だけでない。便や吐瀉物の中にもウイルスがあることがあるので、公衆トイレも感染の場となりうる事に留意する必要がある。
2) 強毒性と弱毒性のウイルスがある。*註1
    日本で流行した新型コロナウイルスには、大きく2種に分類される。初期に拡大したものは中国型で、現在日本で流行しているものは欧米型。そのふたつで臨床経過が異なる可能性がある。
3) 毒性や感染者の健康状態にもよるが、1日で急激に悪化して、ECMO(体外式膜型人工肺)なしには救命できないアグレッシブなケースがある。
4) コロナは2度かかる可能性がある。
 インフルエンザはウイルスが変異するため、一度感染して抗体をもっていても再感染する可能性がある。一方、麻疹(はしか)は感染後に終生免疫が作られるため、再感染することがない。新型コロナ感染で獲得する抗体は、変異したコロナにも有効か否か。つまり終生免疫を獲得できるかどうかはまだ不明。


つまり、弱毒性にみんなかかって集団免疫を獲得しよう! という作戦は、上記理由によりうまく行かない可能性があるわけです。また、BCG 接種をしているから、日本人は悪化しないという仮説はまだ証明されていません。

そして、ウイルスは自分だけでは増殖しません。感染した人を介して広がっていくのが本質ですから、人が接触しなければ、広がりません。できることはとにかく、「自分は感染していると思って人にうつさない行動」です。つまり「密集」を避けるだけではなく、「移動」も制限すること。とにかく、今いる場所にとどまることでウイルス曝露を避けてください。
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ウイルス対策ができた? 次にするべきこと

さあ、ウイルス対策は万全ですか? 
では……いや、その前に、もうひとつ、私自身の告白をしなくてはいけません。

ある日のこと。夕方からお酒を飲んで、家族とリビングにいる時、いつも通りにワンワンと鳴く2匹の飼い犬に、無性に腹が立ち激しく怒りちらしてしまいました。「父親が飼い犬にキレる」という非日常的な光景に小学校低学年の娘が泣き出してしまったのです。そして私は我にかえったのです。これはエラいことになっている、と。

緊急事態宣言をうけ、不要不急をさけ、自宅にとどまることが求められています。私も休日、平日を問わず自宅にいる時間がとても増えました。たまの休みであれば、オンデマンドで好きなビデオをみたり、ちょっと昼からお酒を飲んじゃったり、日頃できなかった事をして気晴らしができるのですが、平素と違うのは、そのような時間がずっと続くということです。

家族とご飯を食べるのも、週末しかできない貴重な出来事でしたが、毎日となると、それは貴重でもなくなります。いままでは、仕事が終われば、気の置けない友人と会食しながら、たわいのない話をしていたのですが、それもなくなり、家で食事。外で過ごす時間が著しく減り、家族との時間が著しく増える。いままで適度にストレスを発散しながらバランスをとり、社会的に適応しながら暮らしてきました。おそらくみなさんもそうでしょう。

それがひとたび、自宅にいる時間がとても増え、テレワークで仕事という、良くも悪くも緊張をともなう作業も自宅で行うとなると、いままでのバランスが壊れてしまいます。憩いの場であった自宅もなんだか居心地が悪くなってくることもあるかもしれません。ビデオも見飽きた、酒もうまくない……。

いままで忙しくて、自宅にもっといたいなと思っていたとしても、いつもと違う自宅での過ごし方がストレスになることも十分あるし、いままで、バランスをとっていた日々のルーティンが変化することで、数え切れないストレス因子が発生しているかもしれないのです。私自身それに気づいていませんでした。

コロナは、感染症として我々を脅かすだけでなく、間接的に、社会的変化を強いることで我々の心の健康も脅かしていることに気づく必要があるのです。

先ず、自分自身の苛立ちや不安などの気持ちに注目しましょう。我々の多くは「今その時の気持ち」を意識しないで生活しています。「あ、いま自分は怒った」とか「あ、自分は悲しんでる」とか、意識しません。先ずは、「今のその時の気持ち」を意識してみます。「気持ちを客観視する」といってもいいかもしれません。そして、それらの「気持ちの暴走」が軽減する、緩む方法を探すのですが、意識するだけで軽減する場合もあるし、しないこともあります。
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あなたに不足しているものは?

さて、気持ちを客観視してもあなたの苛立ちや不安が軽減しない場合、あなたには「セロトニン」が足りないかもしれません。「セロトニン」とは脳の神経伝達物質のひとつで、これが不足すると信号が伝わりません。セロトニン神経の役割は多岐にわたりますが、役割のひとつとして「こころの切り替え」に関与しています。こころの切り替えが上手くいかず「布団に入ってからすぐ寝落ちせずに、いろんなことを考えてしまう」という症状があれば、セロトニン不足にほぼ間違いありません。ちなみに、セロトニンはうつや不安で病んでしまっている方の治療薬のターゲット物質でもあります。

セロトニンは、食事から摂取できるタンパク質から出来ています。また、ビタミンB6や亜鉛が足りないと、セロトニン合成不足が生じる可能性があります。これらをしっかり摂取すると「寝入りが良くなる」など、1日で変化がでることもあります。

「理由もなくイライラ怒っていて、聞く耳をもた(もて)ない」というケースもあります。セロトニンを増やす栄養を摂取しても改善がなく、寝入りも悪いまま。そして、そういう人に限って肉好き酒好き。これは、マグネシウム欠乏です。こむら返りもある。というならほぼ間違いないでしょう。

マグネシウムは、神経や筋肉の興奮を静めるために必須の金属です。水に溶けると溶液はアルカリ性を示す性質があり、カルシウムと兄弟です。結論からいうと、マグネシウムを摂取していない、または、タンパク質やお酒を多く摂取することでマグネシウム喪失が起こり、その結果マグネシウムが欠乏することで神経や筋肉は静まらないで興奮しっぱなし。すなわち、怒りがとまらない、神経が静まらず眠れない、足がつる、筋肉の張りや疲労がとれない、などの症状をおこします。マグネシウムサプリなどを摂取すると、30分から1時間でそれら症状が軽快するので見つけやすいミネラル欠乏です。
↑ドクター斎藤が院長を務める「RECLINIC」(東京都港区南青山3-3-14 チェリーズガーデン南青山2F)。

睡眠は8時間を目標に!

睡眠にも触れましょう。大切です。
通勤で費やす朝と夜の時間をセーブできることは、テレワークの恩恵のひとつですので最大限に活用していただきたいところです。よく知られている事例ですと、6時間睡眠を2週間続けると、2日間連続して徹夜をした時と同じ脳の反応スピードに低下します。6時間睡眠の女性は7時間以上寝る女性と比べて乳がんリスクが1.6倍ほど高くなります。8時間以上寝るひとは、睡眠が少ない人に比べて風邪をひく確率が3倍以上下がります。などなど、世間で睡眠の目安になっているような6時間睡眠では少ない事を証明するエピソードが沢山あります。ぜひ、8時間睡眠に挑戦してください。

もし、前述のセロトニンを増やす栄養をとっても睡眠がつづかないようでしたら、米国などの通信販売で、メラトニンを購入して寝る前に服用するという選択もあります。出来れば、国内のアンチエイジングクリニックで購入するのが粗悪品をつかまなくて安心ではあります。まず、3mgからはじめて、増やしても5mgまででいいと思います。脳のパフォーマンス回復、疾病リスク軽減、コロナ予防としても睡眠は重要だと思います。

後編は、私が実際に行っているコロナ対策へ続きます。

斎藤糧三/RYOZO SAITO

医師/日本機能性医学研究所所長。

1973年生まれ。更年期障害の女性に対してテストステロンを使用、自律神経調整療法のパイオニアであった斎藤信彦(医学博士)の三男。1998年、日本医科大学卒業後、産婦人科医に。その後、美容皮膚科治療、栄養療法、点滴療法、ホルモン療法を統合したトータルアンチエイジング理論を確立。2008年、「機能性医学」の普及と研究を推進するため「日本機能性医学研究所」を設立(2009年に法人化)。2013年、「食で日本を健康にします」をモットーに、「一般社団法人日本ファンクショナルダイエット協会」を白澤卓二先生とともに設立。2017年、スーパーフードとしての牧草牛の普及を目指し、日本初の牧草牛専門精肉店「Saito Farm 」をオープン。2018年、ソフトウエア医療機器の開発企業として株式会社「ライフクエスト」を設立。2019年夏、細胞機能再生クリニック「RECLINIC」を開院。
著作に「サーファーに花粉症はいない」(小学館)、「慢性病を根本から治す『機能性医学』の考え方」(光文社新書)、「糖質制限+肉食でケトン体回路を回し健康的に痩せる!ケトジェニックダイエット」(講談社)、「病気を遠ざける! 1日1回日光浴日本人は知らないビタミンDの実力」(講談社+α新書)など。

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