2018.02.23
看板のない隠れ家バーで燗番娘が語る、燗酒のススメ
胃の腑からほっこりとあたたまる燗酒は冬季限定ではなく、むしろ春から夏がおすすめ!? 燗酒のたしなみを、東京・湯島の隠れ家バー「燗酒嘉肴 壺中」でお燗番を務める伊藤理絵さんがご指南。
- CREDIT :
写真/吉澤健太 文/秋山 都
![伊藤理絵さん](https://assets-www.leon.jp/image/2018/02/20141252359310/0/1.jpg)
「燗酒は冬の間だけのものだろ?」「ぬる燗がツウだよね」「やっぱり人肌でしょ」
その認識、本当に正しいのでしょうか? 理絵さん、教えてください!
![一幅の絵のように美しく燗をつける伊藤理絵さん。スタイリストやライターを経て現職へ就いた異色のプロフィールを持つ。](https://assets-www.leon.jp/image/2018/02/20141307139256/0/2.jpg)
「燗酒は一年中おいしい」
1980年代のバブル期におこった吟醸酒ブームのおかげで香りを前面に強調したお酒が増えてきて、温めるとその香りが鼻につくため、冷たく冷やしたお酒が好まれるようになりましたが、『壺中』では、吟醸酒だとしても米・米麹のみで醸す純米吟醸・純米大吟醸のみを用い、香りが控えめなタイプをそろえているため、お燗にしてもむしろ旨味が引出され、花開きます。
一度しっかりと温めた後、50度、40度と下がった時も、それぞれの温度ならではの表情が感じられて、その変化を楽しむのもおすすめ。だから燗酒を楽しむのは冬だけではなく、春には春の、夏には夏のおいしい燗酒があるというわけです」
「やっぱりぬる燗がおいしいの?」
![一種の燗酒を口の広い杯と狭い杯で飲み比べると、その香りの立ち方も味の広がり方も変化することに驚く。](https://assets-www.leon.jp/image/2018/02/20141447063701/0/3.jpg)
すっきりと軽やかなタイプは、53度までに仕上げて、こちらもまた、徳利と盃をぬるめにしておき、やや温度が下がった状態でお出ししています。ほかにはあえて、徳利も盃も温めず、一気に10度近く下げるときも。お酒の状態に加えて、肴やお客さまの召し上がり具合をみながら、温度を決めています。
ぬる燗が40度前後、熱燗が50度前後と言われる中、なぜ、それより高い温度まで温めるのか? それは、そこまで温度を上げても”耐えられる酒”ならば、むしろ、しっかりとした輪郭が浮かび上がり、開くから。『竹鶴 純米にごり原酒・酸味一体』(竹鶴酒造)、『生酛のどぶ』(久保本家酒造)などの濁り酒は、70度まで温めることもあります。燗をすると旨味が増し、温度が下がっていく過程それぞれで、味わいの違いを遊べる。これぞ燗酒の魅力です」
「燗酒にはどんな肴が合うの?」
![小皿で厳選された肴が供される「壺中」。和牛のコンビーフには「パーラー江古田」の黒胡椒とカシューナッツのパンが好相性。この日ほかに「生からすみ」など。](https://assets-www.leon.jp/image/2018/02/20141525828815/0/4.jpg)
ある日の「壺中」の楽しみ方。まずは「生酛のどぶ」のソーダ割りでスタート。オトナのカルピスソーダみたい。
次いで純米酒。この日は伊藤さんがおすすめする“燗映え”する酒、「辨天娘」(鳥取)を。
ほろ酔いでワインへ。白ブドウを長期間マセラシオン(果皮と一緒に熟成)させることで、熟成された味わいと美しいオレンジ色が特徴のラディコン。
この日はボトルもチャーミングなクラフトジンで〆。
ある日の「壺中」の楽しみ方。まずは「生酛のどぶ」のソーダ割りでスタート。オトナのカルピスソーダみたい。
次いで純米酒。この日は伊藤さんがおすすめする“燗映え”する酒、「辨天娘」(鳥取)を。
ほろ酔いでワインへ。白ブドウを長期間マセラシオン(果皮と一緒に熟成)させることで、熟成された味わいと美しいオレンジ色が特徴のラディコン。
この日はボトルもチャーミングなクラフトジンで〆。
![「壺中」は看板も電話もないため、わかりにくいのが難であり、魅力でもある店。住所から探してみて。](https://assets-www.leon.jp/image/2018/02/20141626402439/0/9.jpg)
![null](https://assets-www.leon.jp/image/2018/02/20141727399130/0/10.jpg)
◆ 燗酒嘉肴 壺中
住所/東京都文京区湯島2-31-25 太陽ビル 1F
電話/なし
営業時間/16:30~22:30(L.O. 21:30)
定休日/日曜・月曜休
URL/http://cotyuu.favy.jp/