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2018.02.12

絶対美味しい! 究極の炒飯の作り方 第3回/恵比寿「MASA’S KITCHEN」 中国醤油を使ったしっとりほろほろ炒飯

「MASA’S KITCHEN(マサズキッチン)」の炒飯は、ごはんがギョッとするほど茶色い「エビの黒炒飯」。色の正体は、中国醤油。香酢(中国黒酢)のような風味とほのかな甘さがクセになる、見た目にも鮮やかな料理を楽しめるお店です。

CREDIT :

文/柏木智帆 写真/James Gray

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炒飯(チャーハン)、手軽に出来るのにこれほど味に違いの出る料理はめったにありません。美味しい炒飯が作れる男は絶対カッコいい。モテるに違いない。というわけで、本当に美味しい炒飯をつくる極意を求めて「炒飯が絶品」と評判の店を訪ねました。

第3回は東京・恵比寿にある中華料理店「MASA’S KITCHEN(マサズキッチン)」。こちらの炒飯は中国醤油を使った茶色い「エビの黒炒飯」。見た目は味が濃そうですが、口に入れると中国醤油の香酢(中国黒酢)のような風味とほのかな甘さが広がります。ごはんはパラパラとしながらも、しっとり。どっしりとした食べ応えがあるものの、重たすぎない炒飯。その秘密とは?

ごはんに絡んだ茶色の正体は「中国醤油」

店の看板はお洒落な横文字。階段で地下へと降りて行く佇まいは、どう見ても、フレンチかイタリアンです。店に入ると、中心にはオープンキッチン。店の片隅にはワインセラー。席に着いてメニューを開くまでは中華料理店だと分からないかもしれません。中華料理を少しずつ楽しめるヌーベルシノワとして、代表取締役兼料理長の鯰江真仁さんが2008年にオープンしました。
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オープンキッチンの店内
ディナーの基本コースは、8000円、1万3000円、1万8500円(税込・サ別)と3種(季節限定で上海蟹付コースも3種)。「エビの黒炒飯」はアラカルトメニューですが、希望すればコースの最後に食べられます。
濃い茶色の炒飯は、いかにもしょっぱそう。ところが、食べてみると味付けはしっかりとしているものの、塩辛くはありません。「この醤油は何でしょう?」。その質問に鯰江さんが見せてくれたのは、とろみのある濃い色の醤油でした。
魚介のような黒酢のような発酵感のある香りの醤油の正体は、「中国醤油」。中国には日本の淡口醬油のようなタイプと、日本の溜まり醤油のようなタイプがあります。この店で使っているのは、後者の“溜まり醤油”。「色が濃いと食欲をそそりますよね。日本の醤油だとしょっぱくて食べられませんが、この中国醤油ならば塩分があまりないので、色づけに最適です」と鯰江さん。塩辛い“薄口醤油”に比べて、“溜まり醤油”は甘みがあるタイプ。これが、独特の色と風味の正体だったのです。
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「はえぬき」は粒立ちがしっかりとして弾力感のある歯ごたえが特徴の品種。色が濃い中国醤油は見た目ほどしょっぱくない。
黒炒飯の具材は、卵、エビ、青ネギ。お米は、山形県産「はえぬき」という品種。「粘りが強いお米だとべちょべちょになってしまいますが、はえぬきは粘りすぎずデンプンのバランスが炒飯にちょうど良いのです」と鯰江さん。粒がしっかりとして弾力感のある歯ごたえは、鯰江さんが目指す炒飯にぴったりだそうです。
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コツは「温かいごはん」で「少量ずつ」作ること

「美味しい炒飯」と言っても、その好みは人それぞれ。

「パラパラが美味しい」という人、「油っこいのが美味しい」という人、「油を感じさせないのが美味しい」という人。

そして、鯰江さんの「美味しい炒飯」は、しっとり感が重要です。
「あまりパラパラすぎても美味しくありません。パラパラしているけど、しっとりとした炒飯が美味しいと思っています。たとえば、できたての炒飯を握ってみてごはんが固まるくらいですね」と鯰江さん。

その作り方の秘訣は何でしょうか?
「温かいごはんを使うこと。冷えたごはんだとお米が固まってしまいます。炊きたてでなく、保温したお米でも大丈夫です。そして、少量ずつ作ること。いっぺんにたくさん作ると卵がごはんにうまくまわりません。僕たちの中華鍋でも2人前が限界です。家庭では1人前ずつ作ったほうがいいでしょう」(鯰江さん)。

黄から茶に変色するフォトジェニックな炒飯!

鯰江さんにさっそく作ってもらいました。

まずはエビを素揚げ。温度が高いとエビが縮んでしまうため、低温の油でエビを泳がせたらさっと引き上げます。

そして、強火にかけた鉄鍋に大豆油を注いで取り出す「鍋ならし」をして、生の太白胡麻油を大さじ1.5杯ほど入れたら、一度火を落とします。
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エビは低温の油にさっと泳がせて素揚げ
よく溶いた卵を入れ、すぐにごはんを投入したら、再加熱。弱めの火力で卵に火が通らないうちにごはんに卵液を絡ませていきます。ごはんが卵液で黄色くなってきたら、素揚げして一口大に切った3〜4尾のエビを入れて、塩と胡椒。そして、大さじ1杯弱の中国醤油を回しかけて炒めながらごはんになじませていくと、みるみるうちに黄色いごはんが茶色に。エンタテインメントのような調理風景です。最後に大さじ2杯ほどの青ネギを入れてさっと炒めたら完成。卵を入れてから、およそ1分50秒でした。
「ごはんを炒めすぎるとお米の水分が飛んでしまいますので、ネギを入れた後はさっと炒めたら火を止めます。お店は火力が強いので弱火で作りますが、家庭ならば強火で作ってみてください」(鯰江さん)

最後に粗挽き黒胡椒をひとつまみトッピング。黒胡椒の香りの奥に中国醤油の香り、さらにその奥にエビとネギの香り。茶色いごはんにエビの薄赤色と青ネギの緑色が映えます。
炒飯と言えば「黄色」「パラパラ」が定説のようになっていますが、良い意味で裏切られる「黒色」「しっとり」炒飯。彼女の好みは「パラパラ」か「しっとり」か。まずは彼女を誘って“黒色しっとり炒飯”を味わってみてはいかがでしょうか。
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◆MASA’S KITCHEN(マサズキッチン)

住所/東京都渋谷区恵比寿1-21-13 BPRレジデンス恵比寿B1
営業時間/【ランチ】11:30〜15:00(L.O14:00)【ディナー】18:00〜23:00(L.O21:30)
定休日/月曜日
URL/http://www.masas-kitchen.com/jp/ebisu/
予約・問い合わせ/☎03-3473-0729

●料理はアラカルトあり。コースは、8000円・1万3000円・1万8500円(要予約)。季節限定で上海蟹コースあり。
いずれも税込価格・ディナーは別途サービス料10%

●柏木智帆

元神奈川新聞記者。取材を通じてお米とお米文化に興味をもち、「お米を中心とした日本の食文化の再興」と「お米の消費アップ」をライフワークに執筆活動を続けている。ちなみにお米でできた日本酒も大好き。

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