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2017.08.01

極上の肉料理に日本酒? 和洋2軒のプロに聞く、お肉と酒の意外なカンケイ

日本酒をこよなく愛する2人のプロが語る「肉に合う日本酒」とは? 

CREDIT :

文/外川 ゆい 写真/福本 和洋(MAETTICO)

まだまだ続く空前の肉ブーム。肉料理=赤ワイン? そんな既成概念をあっさりと破ってくれる最旬店をご紹介しましょう。極上の牛肉を和の料理人が仕立てる「肉料理それがし」と、生ハムをはじめ牛、豚、鹿をイタリア料理の技術で調理する「SAKE TERIA RED BEAR」。ともに今年オープンしたばかりの新店ですが、日本酒に定評のあるお店の姉妹店とあって早くも話題に。
 
日本酒をこよなく愛する2人のプロが語る「肉に合う日本酒」とは? それぞれのお店でしか食べることができない肉料理に、しっくりと相性バツグンの日本酒。そんな珠玉の組合せをぜひご体験ください。

◆ 肉料理 それがし / 五反田

飲まし手が見極める温度帯で、日本酒と和の肉料理が寄り添う

ローストビーフ 卵黄ダレ, 春霞 純米吟醸 わき水ラベル
「ローストビーフ 卵黄ダレ」(1,200円)と「春霞 純米吟醸 わき水ラベル」(850円)
目黒川沿いビルの2階に誕生したこちらは、日本酒を軸にコンセプトの異なる店舗を展開する「それがし」による新たな一軒。上質な牛肉を主役に、ローストビーフやハンバーグ、カツレツなど、ごちそう感溢れる料理が一堂に集まるお品書きは、アレコレ目移りしてしまいそう。いずれも和食の料理人ならではのアレンジで、訪れる人を魅了しています。
 
生ハムのような薄さにスライスした「ローストビーフ 卵黄ダレ」は、口溶けのよさが感動モノ。甘みのある味付けのまろやかな卵黄ダレが後を引きます。秋田県の栗林酒造店による、やわらかな甘味と酸味を意識して醸された「春霞 純米吟醸わき水ラベル」とのハーモニーが絶妙です。
黒毛和牛 ザブトンのしゃぶすき
「黒毛和牛 ザブトンのしゃぶすき」(4,000円)と「自然郷 プレミアム山廃」(850円)
二品目は、運ばれてきた瞬間に息を呑むほど美しく皿に並べられた立派なサイズのザブトン。こちらは“しゃぶすき”でいただきます。その名の通り、しゃぶしゃぶとすき焼きのイイトコドリをした逸品。立派なサイズの希少部位ザブトンが、目の前でしゃぶしゃぶされる光景はそれだけで垂涎ものです。
 
まずは一枚、溶いた卵に絡ませてシンプルに。続いて椎茸、白滝、葱を。もう一枚の肉をしゃぶしゃぶするときには、鍋のなかの割り下が程良く煮詰まり濃厚に変化しています。至福の時間に浸っていると、二口サイズのご飯が盛られたお茶碗が登場。お肉で包んで食べてもよし、タレをかけてもよし、お好みの食べ方でご堪能あれ。
 
合わせるのは、福島県の大木代吉本店による「自然郷 プレミアム山廃」。山廃造りという伝統の製法をベースにした、濃醇で爽やかな酸味を含んだ味わいです。
山本貴文氏
酒屋で経験を積んだことで蔵元から厚い信頼を得る、飲まし手の山本貴文氏
「料理とお酒の温度を近づけることで、口の中でそれぞれの旨味や酸味、甘みが心地よく重なり合います」と語るのは、“飲まし手”としてお店に立つ山本貴文さん。カウンターには、温度違いの2台の燗つけ器を置き、それぞれの料理に最適な温度で日本酒を提供します。

「脂の旨みを存分に楽しみたい場合、キンキンに冷えた日本酒では脂の角が立ちしつこく感じることも。また、お肉料理だからといって、山廃や生酛のような骨格あるタイプを選ぶと肉本来の風味を消してしまうこともありますね」
 
日本酒の個性が光る温度帯と、料理に合う温度帯、両者が絶妙に重なり合うことで、お肉にベストマッチな日本酒の味わいを導き出すことができるのです。肉料理との相性を考慮しつつ、季節の移ろいを感じる日本酒をおよそ70種ラインアップ。ぜひお好みを伝え、お任せの温度帯で味わってみてはいかがでしょうか。

◆ 肉料理 それがし

住所/東京都品川区西五反田1-4-8 秀和五反田駅前レジデンス 202
営業時間/18:00~翌1:00(L.O.24:00)
定休日/日曜日・祝日(9月より無休)
予約・問い合わせ/☎03-6420-3092

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◆ SAKE TERIA RED BEAR / 麻布十番

NY帰りの酒ソムリエが選ぶ、イタリアンな肉料理に合う日本酒

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「生ハム・サラミ盛り合わせ~あなたの為に切り立て~」(1,800円)と「村祐 常盤ラベル」(850円)
ジャンルにとらわれない料理と日本酒のペアリングが秀逸なレストラン「赤星とくまがい」。その姉妹店が、同じ麻布十番にオープンしました。こちらは、イタリア料理と日本酒がコンセプト。中でもお肉料理には力を入れていて、メニューを開くと、牛、鹿、豚、仔羊、鶏、鴨、と圧巻の品揃え。しかも、すべてこだわりの産地や生産者から取り寄せたものばかり。
 
まずオーダーしたいのは「生ハム・サラミ盛り合わせ~あなたの為に切り立て~」。イタリア・パルマ産の18ヶ月熟成プロシュート「ピオ・トジーニ」をベースに、フランスやスペインなどから厳選したものを取り寄せ、生ハム、サラミを5種類、自家製ピクルスなどと一緒に盛り合わせています。メニュー名の通り、オーダーが入るとカウンターにあるスライサーで丁寧にカット。切り立てのふわっとした口当たりは、誰もがうっとりしてしまうでしょう。
 
合わせるのは、新潟県にある小規模の村祐酒造による「村祐 常盤ラベル」。純米大吟醸規格で醸された優しい甘さが、生ハムの甘さや旨みと相性抜群で、とろけるような脂の旨味を味わえます。
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「熊本阿蘇・産山村、井さんのあか牛『信行牛』」(4,000円)と「千代鶴 にごり酒」(700円)
阿蘇で井さんが育てるあか牛「信行牛」は、なんと月1頭しか東京に入荷しないという希少なお肉。そのため、月毎に提供部位が替わります。赤身のお肉ですが、サシの存在感がしっかりとあって口中に豊かな旨味が広がります。トリュフ、マグマ、竹炭など5種類の塩やオリーブオイルを合わせた山葵醤油で、味の変化を楽しむのも◎。
 
富山県の千代鶴酒造による「千代鶴 にごり酒」と共にいただくと、お肉の脂が引き立ちながら、さっぱりとした味わいに。甘過ぎないにごり酒なので、お肉の持ち味を壊しません。
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お酒を監修する日本酒ソムリエの赤星慶太氏。通常は本店「赤星とくまがい」にいらっしゃいます
イタリア料理のお肉やパスタとの相性を考慮した「SAKE TERIA RED BEAR」の日本酒をはじめとするお酒のセレクトは、酒ソムリエの赤星慶太氏によるもの。氏は2015年に「赤星とくまがい」をオープンするまでは、16年間にわたりニューヨークを拠点として地酒を全米に広める活動を続けてきました。今秋、東京に初上陸を果たす有名なステーキハウス「Empire Steak House」に日本酒を採用させるなど、日本酒やワインのコンサルティングも数多く手掛けています。
 
その赤星氏はこう語ります。
「ペアリングのパターンはいくつかありますが、料理が持つ旨味や酸度に注目し、日本酒との共通項を見つけると、口の中で相性の良さを実感できますね。また、味わいを決めるソースもポイントになります。酸度が高いものの場合は淡麗辛口よりも旨味のあるタイプが馴染みますし、にごり酒がお肉によく合うのは、両者がタンパク質を豊富に含んでいるためです」。
 
経験豊富なプロフェッショナルがセレクトする、「なるほど!」な、納得のペアリングをぜひ楽しんでみてください。これまでの概念が変わり、日本酒の新たな一面を発見できるかもしれません。

◆ SAKE TERIA RED BEAR

住所/東京都港区南麻布 1-6-31 南麻布ビル 1F
営業時間/18:00~23:30(L.O.23:00)
定休日/日曜日・祝日
予約・問い合わせ/☎03-6809-5209

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