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2021.02.18

その店でワインを飲むべきか、飲まざるべきか……飲食店タイプ別に考察

5000本以上のコレクションを持つ日本随一のワインコレクターで、多い時は月に3桁の金額をワインに費やす超愛好家だからこそわかる、真にスマートで男女問わずモテるワイン道ってどんなもの? ちょっとイタいワインおたくや面倒くさい半可通など、周囲の反面教師からも学ぶ、ワインのたしなみ方入門です。

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文・写真/吉川慎二 イラスト/Isaku Goto, オキモトシュウ(吉川慎二氏)

私の住んでいる首都圏では緊急事態宣言が3月7日まで延長され、それに伴っていろんなワイン会やインベトも中止・延期になりました。残念ですが仕方ないですね。年末からの飲食店時短営業や外出自粛要請もあり、対象地域のワイピの皆さまは相当自粛ストレスが溜まってらっしゃるのではないかとお察し申し上げます。

晴れてワイン会や外食が解禁になった時の反動が怖いですね。そんな状況が1日でも早く訪れることを祈りつつ、今回のテーマは「お店でワインをセレクトする際のモテポイント」について考察します。大きなテーマですので複数回におよびますが、ぜひお付き合いください。

モテるワイン道入門~お店でのモテポイント

ワイピ男子であれば(いや、女子でも!) 、異性(いやそうでなくとも!) をエスコートしてレストランに行った際、ワインのセレクトを任されるのはよくあるシチュエーション。ここでのスマートな所作がモテ値アップに繋がるのは、高校のクラス対抗サッカー大会において女子応援団の見ているゴール前でスルーパスを受け取った時と同じくらい自明なことです。でも大人の世界はそんなに単純ではありません。え、どういうことかって?

順を追って考察して行きましょう。
まず大切なのはお店の見極め

「さあ、いいところを見せるぞ」と意気込んで今にもワインリストを要求しそうなあなた、いったん落ち着いて考えましょう。「何を考えるのか」って?  「ワインをオーダーすべきかどうか」です。

トンチみたいな話ですが、ワインセレクトの第一歩はここから始まります。
さらにくわしくご説明しますので、次の図を見てください。
▲ 筆者作成の飲食店タイプ分析マトリックス
まず、横軸は料理のジャンルです。歴史・伝統から考えてワインと一緒にいただくのが王道である料理は、プラス(右側)です。典型はトラディショナルなフレンチでしょう。あとはイタリアンやスペイン料理、いわゆる西洋料理は総じてこのカテゴリーに入ります。

逆に歴史的にワイン文化とは縁がうすい料理はマイナス(左側)に位置付けられます。和食や中華、タイ・ベトナムなどのエスニック料理が該当します。

次に、縦軸です。これは料理のジャンルに関係なく、そのお店のワインサービスへの期待値を現わします。和食店やエスニックであってもソムリエがいて、ワインリストを厳選、ペアリングに重点を置いていればプラス(上側)、フレンチやイタリアンでも残念ながらワインにこだわりが無ければマイナス(下側)になります。
PAGE 2
この、上のような、2x2の分析によって次のことが判ります。

A.  横軸プラス&縦軸プラスのお店ではワインを飲むのがテッパン! 
そりゃそうです。本来、ワインを楽しむべき料理を出すお店が、ワインにこだわっているのですから。典型は銀座のグランメゾンフレンチのLでしょう。このカテゴリーのお店は大抵、優秀なソムリエがいてワインリストの品揃えもよく、価格も良心的です。心地よくおすすめに従っても大きく外す懸念はありません。ほとんどのお客は当然のようにワインを飲んでますし、逆にあなたのワイピぶりを発揮するチャンスはあまりないかも。モテポイントを稼ぐには、あなたがこのお店をチョイスしたこと、常連であること、ソムリエと親しいことをアピールするのが最善です。

B.  次に、横軸はマイナスだけど縦軸プラスのお店です。
第一印象だと「え、このジャンルの料理でワインを飲むの?」とお思いかもしれません。しかし、ソムリエやシェフの努力や工夫によって、ワインとのペアリングを極めているお店は少なくありません。ワインリストも充実していることが多いです。

代表例としては外苑前のモダン・ベトナミーズのAや、三田にある中国料理のC飯店が挙げられます。ワイン以外のお酒をオーダーするゲストも多いですが、お店としては自信のあるワインを勧めることが多いです。このジャンルのお店での決め台詞は「ココはやっぱりワインでしょ〜」と当然のようにワインをチョイスする通ぶりをアピールすること。他のお店では味わえないユニークな経験ができるので、ワイピの面目躍如のお店と言っても良いでしょう。
C.  では、横軸がプラス、縦軸がマイナスのお店はどうでしょうか? 
料理とワインの相性はバッチリのはずなのに、ワインのサービスについて多くが期待できないケースです。具体的には、ワインリストの値付けが割高だったり、ソムリエが不慣れだったりと、色々あるでしょう。ワイピのあなた自身がお店を選ぶとは限らないですし、大人の事情でこういうタイプのお店に来ることもないとは言い切れません。料理のジャンルから考えると他のお酒を選ぶのは厳しいのでワインを飲むしかありません。

しかしものは考えよう。一見後ろ向きで意外ですが、ここにワイピぶりをアピールする余地が出てきます。失敗を回避して楽しくワインを演出すればモテ度はアップします。要はディフェンス(防御)ですね。Aの店と違って油断は禁物。ワインリストに目を光らせて慎重にセレクト、温度やグラスなどソムリエの挙動にも最新の注意を払って、必要ならば嫌われない程度に厚かましくリクエストしてみましょう。


D.  最後に横軸、縦軸ともにマイナスのお店です。この分野の店で食事する場合、潔くワインはあきらめて、他のお酒を楽しみましょう。お鮨だったら日本酒とか、中国料理なら紹興酒とか、韓国料理には眞露……などです。かく言う私自身、どんなお店でもワインをオーダーしないと気が済まない時期もありましたが、この種のお店で楽しく終わった経験はまずありません。ワイン回避がお店にとっても、あなたにとっても双方ハッピーな選択なのは間違いないでしょう。むしろ、「ワインを飲まなかったから…」と二次会に誘う口実に使うなど、転んでもタダでは起きないように前向きに考えるのが良いと思います。

AからDまで、4つのタイプのお店について考察しました。ワイピとしての付加価値が大きいのはBもしくはCですが、Aのお店を知っている、Dのお店でワインをあきらめる勇気があるなど、それぞれにモテポイントがあるのが興味深くありませんか?

皆さんもぜひ実践してみてください。次回は具体的はワインリストについて考えます。
連載過去記事はコチラ

● 吉川慎二 / Shinji Yoshikawa

1962年三重県生まれ。
東京大学法学部卒業後、三井住友銀行、メリルリンチ自己勘定投資部門のアジア太平洋地域統括本部長を経て、現在は投資家・経営コンサルタント。
2007年、日本ソムリエ協会のワインエキスパート資格を取得。12年にシニアワインエキスパートへ昇格し、同年に開催された第5回全日本ワインエキスパートコンクールで優勝。14年にはエキスパート資格者で初の日本ソムリエ協会理事に就任、2018年まで2期4年務めた。漫画「神の雫」に登場する吉岡慎一郎のモデルともいわれ、プロフィールイラストは「神の雫」作画のオキモトシュウ氏によるもの。

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