アメリケーヌといえばエビの殻を煮詰め、濾す、クラシカルなフレンチ。結婚式の披露宴にもしばしば出てくるご馳走が民宿というカジュアルな場所で供される意外性に、都会の食通たちは狂舞し、なかなか取れない予約をとるのにやっきになったものでした。
美味しいものが何より好きという食いしん坊にとっては、海は“泳ぎ”なく、“食べ”にいく場所。距離をものともせずに、わざわざ食べに行く価値のある宿を、食の専門誌である『食楽』編集長の大西健俊さんに教えてもらいました。
「それはもちろん新鮮ですが、魚によっては熟成させたほうが美味くなるものもあり、宿の稼働率によっては新鮮な食材を保証できない宿もあるでしょう(笑)」
な、なるほど。では、海辺でわざわざ食べに行く価値のある宿、教えてください、大西さん。
◆ つるや吉祥亭
「伊豆産の干物をたっぷり楽しめる朝メシのうまい宿」
内容は沼津漁港から取り寄せた地魚の刺身や、桜えびのだし巻き卵、豆アジの素揚げなど、とことん地元の食材にこだわっており、ハイライトは干物のバイキング!
「金目鯛や伊勢海老などその時々のアラで出汁をとった味噌汁も最高。ごはんおかわり間違いなしです」
◆ つるや吉祥亭
住所/静岡県賀茂郡東伊豆町北川温泉
予約・お問い合わせ/☎0557-23-1212
●~7月20日まで夕食に伊勢海老と金目鯛が堪能できるグレードアッププラン1泊2食月ひとり11,000円。
◆ 亀や
湯野浜を望むオーシャンビュースイート
「日本海も忘れないで。金沢の鮨が有名なことからわかるように、日本海側の食材もすばらしいんですよ」と、大西さん。
日本海サイド代表として挙がったのは「亀や」(山形県鶴岡市)です。
◆ 亀や
住所/山形県鶴岡市湯野浜1-5-50
予約・お問い合わせ/☎0235-75-2301
●最上階HOURAIフロアでの1泊2食付きひとり26,000円~
● 大西 健俊
1977年、神奈川県出身。月刊誌「東京カレンダー」の編集を経て、フリーランスのエディター・ライターに。食・酒・旅をテーマに活動。2017年より「食楽」編集長。年間300軒以上を食べ歩き、国内外の出張も多いため、宿の食事情にもあかるい。