2020.11.04

ワイン片手に観て心地よい日本映画3選

5000本以上のコレクションを持つ日本随一のワインコレクターで、多い時は月に3桁の金額をワインに費やす超愛好家だからこそわかる、真にスマートで男女問わずモテるワイン道ってどんなもの? ちょっとイタいワインおたくや面倒くさい半可通など、周囲の反面教師からも学ぶ、ワインのたしなみ方入門です。

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文・写真/吉川慎二 イラスト/Isaku Goto, オキモトシュウ(吉川慎二氏)

早いもので、2020年ももう11月ですね。巷では『鬼滅の刀』劇場版が大ヒットしているようですが、本コラムも「映画とワイン」の第3弾、邦画編です。

モテるワイン道入門~映画とワイン(邦画編)

日本の映画にも意外とワインが登場するものがあるのですよ。さっそくご紹介して参りましょう。
▲筆者は映画『東京ワイン会ピープル』にて、6リットルのマグナムボトルを開栓する男として出演している。
 ■『サイドウェイズ』(2009年)

前回ご紹介したハリウッド映画『Sideways』のリメイク版で、主演は小日向文世と生瀬勝久です。売れない中年シナリオライターの道雄(小日向)が、アメリカ留学時代の親友でロサンゼルス在住の大介(生瀬)の結婚式出席のため、ロスを訪ねるところから物語が始まります。そして、男性二人でワインカントリーへ旅行すること、ワインオタクである道雄と最後の独身として「ハメを外す」つもりの大介の珍道中であることは『Sideways』と同じ設定です。

オリジナル作品と大きく違う点は、旅行先が日本にも馴染みが深いナパ・ヴァレーであること。原作ではロスからサンタバーバラ・カウンティという約200kmの旅でしたが、ナパまでとなると約650kmで、ほぼ東京~岡山間の距離になります。1週間の旅としては地理的に無理がありますが、映画のシナリオ的にはやはりナパの方が良かったのでしょう。

また、ワイピの皆さんはすぐに想像つくはずですが、ナパ・ヴァレーの赤ワインの看板ブドウ品種はカベルネ・ソーヴィニオンです。なのでオリジナルで大きく取り上げられていたピノ・ノワールは、リメイク版ではあまり注目されていません。むしろ、道雄が留学時代に想いを寄せていた麻有子(鈴木京香)との恋愛がストーリーの中心ですが、ナパのワインはいくつか登場しますので、オリジナル版と対比して鑑賞してもよいでしょう。

ちなみに、ヒロインの麻有子が映画の中で勤務している「Flog's Leap Winery」は実在の有名ワイナリーです。共同創業者のひとりJohn Williamsは1976年にスタッグスリープ ワインセラーズ (Stag’s Leap Wine Cellars) がパリ対決の赤ワイン部門で第1位となったときの従業員です。このことと、当時地元にあったカエルの養殖場がワイナリーの名前の由来となっているそうです。70年代のアメリカらしいほのぼのとした話ですね。
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『ウスケボーイズ』( 2017年)

現代日本ワインの父と称される麻井宇介氏の影響を受けた、山梨大学大学院の3人の若者が励ましあいながら高品質なワインを造り上げる物語です。当時は「日本の気候や土壌では世界に通用するワインを造るのは無理」と言われているなか、情熱を持ってワイン作りに励む姿には涙ウルウル……。原作は河合香織のノンフィクション『ウスケボーイズ 日本ワインの革命児たち』ですので、登場人物の名前を少し変えただけのほぼ実話です。

つまり、卒業後食品会社に就職するもワイン造りの夢を捨てきれず、退社して山梨県の奥地で修験者のように思い詰めて努力する岡村秀史(渡辺 大)は、山梨県北杜市にあるボー・ぺイサージュ(Beau Paysage)の岡本英史氏を、

長野県のワイナリーに就職後、婿入りしたブドウ農家で家族の承諾を得てワイン造りを始める城山正人(出合正幸)は、長野県塩尻市にある城戸ワイナリーの城戸亜紀人氏を、

実家のブドウ園でワイン用ブドウを栽培したいと切り出して父親に反対されるも、祖父母の応援で説得に成功した高山義彦(内野謙太)は、長野県小布施町にある小布施ワイナリー Domaine Soggaの曽我彰彦氏を、
それぞれモデルにしています。

現在は、いずれも入手が超困難で日本のカルトワインと言ってもよい人気ワイナリーですが、麻井宇介氏(橋爪 功)のアドバイスを得ながら成長していく姿をぜひ観てみてください。入手困難なため難易度は高いですが、上記のワインを飲みながらの鑑賞は最高だと思います。

『東京ワイン会ピープル』 (2019年)

人気マンガ『神の雫』の原作者でもある樹林 伸氏(*1)による同名の小説を原作にした映画です。まさに題名通りワイン会というかワイピの生態がテーマ、本コラムの読者の皆さまにはぜひともおすすめの一本です。主演は乃木坂46の松村沙友理。ズバリ見所は3つ!

1. 当初は彼氏探し目的、合コンのノリで参加したヒロインが、ワイン会におけるちょっとした出会いをきっかけとしてワインの世界にハマってく過程。

2.イケメン、オジさま、特攻隊的女子、それを狙う男等々、ワイン会に登場する様々な人種の駆け引きや人間模様。「ワイン会あるある」が満載です。

3.映画の中のショートストーリーごとに登場するワイン。フランスの定番有名ワインが中心ですが、偽物も出てきます。

恥ずかしながら、私もエキストラで出演しております(汗)。

映画とワイン(邦画編)、お楽しみいただけましたでしょうか? 
登場するワイン片手にワイピ同士で見る映画は一段と盛り上がること間違いなしです。ぜひやってみてください。
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(*1)

『神の雫』の原作者は亜樹 直だが、これは樹林 伸氏が実姉の樹林ゆう子氏と共同で執筆する場合のペンネーム。

連載過去記事はコチラ

● 吉川慎二 / Shinji Yoshikawa

1962年三重県生まれ。
東京大学法学部卒業後、三井住友銀行、メリルリンチ自己勘定投資部門のアジア太平洋地域統括本部長を経て、現在は投資家・経営コンサルタント。
2007年、日本ソムリエ協会のワインエキスパート資格を取得。12年にシニアワインエキスパートへ昇格し、同年に開催された第5回全日本ワインエキスパートコンクールで優勝。14年にはエキスパート資格者で初の日本ソムリエ協会理事に就任、2018年まで2期4年務めた。漫画「神の雫」に登場する吉岡慎一郎のモデルともいわれ、プロフィールイラストは「神の雫」作画のオキモトシュウ氏によるもの。

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