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2020.09.27

「ダイナースクラブ フランス レストランウィーク2020」で出会った「ab restaurant」

30歳・気鋭のイケメンシェフが切り盛りする話題のフレンチレストラン

今年で10回目となる日本最大級のフランス料理イベント「ダイナースクラブ フランス レストランウィーク 2020」。全国540のフレンチレストラン協力のもと、お得な価格でコース料理が楽しめるとあってファンも多い。その中から30歳の大村シェフがオーナーを務める「ab restaurant(アブレストラン)」を訪ねた。

CREDIT :

文/森本 泉(LEON.JP)

▲「ab restaurant」のオーナーシェフ、大村隆亮さん。
暮らしの中にレストランのある人生は楽しい。ときにそれは「日常の中の非日常」を演出してくれるし、ある時は「豊かな日常」そのものとして私たちの暮らしを彩ってくれます。いずれにしろ良いレストランに行けば生きていることが楽しくなります。

そして日本にはたくさんの良いレストランがあるけれど、人生はあまりにも短く、出会えるレストランは悲しいほど限られている。だからこそ、「フランス レストランウィーク」は貴重なイベントだと思うのです。

毎年秋に開催され、今年で10回めを迎えるこの催しに、今回は全国から540店舗のフレンチレストランが参加。今年のテーマ、「トレ・ボン!日本のテロワール」に沿って、各地で和食材を取り入れた料理が、ランチ・ディナーともに2500円/5000円/8000円(税サ込)という、なんともお得なコースで楽しめるのです。
今まで訪れたことのない新しいレストランと気軽に出会う機会を作ってくれるという点において、とてもありがたく、毎年、楽しみにしている人も多いと聞きます。
▲レストラン入口。店は四谷駅から徒歩7分ぐらいの静かな通り沿い。
このイベントでは毎年全国から注目すべき若手シェフを「フォーカス・シェフ」として選出しているのですが、その中から今年の関東エリアのフォーカス・シェフのひとりに選ばれた四谷「ab restaurant (アブレストラン)」の大村隆亮シェフの料理をいただく機会を得たのでご紹介しましょう。
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ただ美味しいだけでなく志をもったレストラン

昨年9月にオープンし、すでに世の食いしん坊たちの間では、話題になっていたこちらのレストラン。大村シェフはまだ30歳という若さです。若返り傾向にある飲食業界とはいえ、30歳のオーナーシェフは珍しいのではないでしょうか。

しかも見ての通りのイケメン! さぞかし鼻息の荒い感じのお店かと思いきや、実際訪れてみるとなんともアットホームで心落ち着く素敵なレストランではないですか。

シェフと一緒に店を一から立ち上げたサービス・広報担当の小山純司さんが言います。
「レストランでの食事ってお客さんがハッピーになってくれることが大切。僕らはそれを一番のプライオリティと考えて、最善を尽くしていきたいんです」
▲テラス席にはクロード・モネの睡蓮の絵が描かれている。他にもアート好きな大村さんの仕掛けが随所に。
何とも熱い語り口ですが、まさに私たちはそういう店にこそ行きたいのだからうれしい限りです。しかし、彼の言葉はそこで終わりません。
「ただ、僕らがレストランを始めた最大の理由は飲食を通じて社会貢献をしたいということなんです」

大村シェフもこう続けます。
「自分の歳(30歳)でレストランのオーナーシェフになれたのは、本当に皆さんの力だと思っているんです。飲食店ってお客様はもちろん、生産者や漁師さん、食器を作ってくれる職人さん、運送の方など様々な職種の方の力を借りて成り立っています。いろんなご縁をいただいたからこそ今がある。そういった方々への恩返しがしたいんです。そう考えた時に出合ったのがSDGs(エスディージーズ)という考え方でした」
▲コースのひと皿めは「インカの目覚 ポタージュ ~パリソワール~」。ジャガイモを使った冷製のポタージュ。真ん中にはコンソメのゼリーと芽ネギを刻んで。濃厚な甘さが印象的。この後に「ブリコラージュ」のフォカッチャが出た。これがまた美味しい!
SDGsとは国連サミットで各国のリーダーによって決められた、持続可能でより良い世界を目指す国際目標のこと。17のゴール・169のターゲットから構成され、例えば貧困や飢餓をなくそうとか、海や陸の豊かさを守ろう、人や国の不平等をなくそうなど、その指標は多岐にわたります。

これを飲食店に当てはめれば、無駄な食材廃棄をしない、店内の内装やカトラリーなども再利用のものを活用する、あるいは飲食業界で働く人の地位向上など、実に幅広い関りが想定されるのです。
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正統派のフレンチをベースに、シェフの感性で再構築した料理

▲2皿めは「ラタトゥイユ ムサカ的な考えで」。ズッキーニ、パプリカ、玉ねぎ、ニンジンなど定番の野菜の真ん中に子羊のハンバーグのミンチを詰めて、ギリシャ料理のムサカ風に。上にセミドライトマトとパン粉をかけてオーブンで焼いた。上にはエディブルフラワーやスパイシーな花を飾って。
「来ていただけるお客様にも僕らのそういう思いが伝わるとうれしいです」と小山さん。
ただ美味しいものを食べるだけでなく、地球というかけがいのない惑星に住む一員として、この星の未来にまで思いをはせながら食事を楽しむ。何とも壮大ではありますが、実に「今」の時代を反映した食の在り方とも言えるでしょう。

とはいえ、もちろんそのメッセージをお客様に強要するわけではありません。それはあくまでお店を運営するスタッフ側の姿勢であり、「お客様をハッピーにしたい」と言う思い通り、客に対しては実にきめ細かいサービスが徹底されています。
基本的にふたりで店を切り盛りするために1日の客は3組しかとらず、万全のサービスを心掛けています。また料理はコースを決めてはいるものの、お客様の希望があればお望みのメニューをコースに挟んでみたり、あるいは同じ料理でもポーションや塩加減まで、お客様の様子をみながら、いちいち変えるという徹底ぶり。
▲3皿めは「スズキのポワレ ブラッドオレンジの白ワインソース」。千葉県産のスズキを厚く切って、皮はパリっと、中はしっとり仕上げた。定番料理だけれどブラッドオレンジのソースで変化を。
お酒のペアリングも3杯2500円という破格の値付けながら、その日の料理とお客様のお酒の進み具合に合わせて、シャンパンからワイン、日本酒までを色々工夫して組み合わせて楽しませてくれます。

料理は大村シェフが修業した「シェ・松尾」のクラシックで正当派のフレンチと、その後に研鑽を積んだ「ティエリーマルクス銀座店」の、皿数は多くポーション少なめな新感覚フレンチの、本人曰く「いいとこどり」。クラシックを大切にしつつ、そこに自分なりの感性で再構築を加えた独創的な料理が楽しめます。
▲4皿めは「鴨もも肉のジャンボネット マスタードソース」。本来は豚のもも肉にひき肉を包み込んで火を入れるジャンボネットを鴨のもも肉で。下にレンズ豆をベーコンと一緒に味を煮含ませて敷いた。グリーンペッパーを使ったマデラ酒のソースをかけて。もも肉は味が濃く肉を噛みしめる感じが面白い食感。
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この日いただいたのは「フランス レストランウィーク」でも提供予定のメニューが組み込まれたコース(※)。ラタトゥイユ、スズキのポワレ、鴨料理というベーシックなメニューでありながら、それぞれに大村シェフならではの工夫が施された、実に美しく、しかも繊細で優しい味わい、そしてボリュームもしっかりある満足度の高いコースでした。
※食材の状況によりメニューが異なる可能性があります。
▲デザートは「クレームダンジュ」。イタリアンメレンゲと生クリーム、フロマージュブランを合わせてムース状にしたものを下に敷いて、上には白桃を使ったシャーベット。甘すぎず口溶け感が絶妙な大人のデザート。ごちそうさまでした!
今や、IT企業では20代で独立、起業は当たり前。一方、何十年も親方の下で修業して晴れてのれん分け、のようなパターンの多かった伝統料理の世界ですが、ここにも、ついに新しい波が来つつあるようです。大村シェフの控えめながら熱い語り口には、否が応にも食の新時代を感じずにはいられません。

こんな新しい視点で食事を楽しませてくれる面白いレストランに出会えるのも「フランス レストランウィーク」の醍醐味。ぜひアナタもこの機会に新しいお気に入りレストランを見つけてくださいませ。

◆ダイナースクラブ フランス レストランウィーク 2020

開催期間/9月25日(金)~10月14日(水)の20日間
主催/フランス レストランウィーク事務局
参加店舗/全国540店舗のフレンチレストラン
メニュー内容/基本構成:前菜、メイン、デザート、食後の飲み物
価格:ランチ、ディナーともに2500円、5000円、8000円(税サ込)のいずれかの価格で提供
公式サイト/https://francerestaurantweek.com/

◆ab restaurant(アブレストラン)

住所/東京都新宿区市谷本村町2-19 美術出版アカデミービル1階
営業時間/17:00-23:00(最終入店20:30)
■コース:要予約 ※1日3組限定のオートクチュールスタイル
■アラカルト:予約不要 1品・1杯から。
■ランチ:貸切時のみ営業
定休日/不定休
HP/https://ab-yotsuya.com/
予約・お問合せ/TEL 03-6457-5898
※「フランス レストランウィーク」では5000円のコースを提供。
ちなみに「アブレストラン」のアブはお酒のアブサンから。中毒によって起こる幻覚症状はゴッホを始め多くの芸術家たちにインスピレーションを与えたとも言われていますが、いい意味でお客様をお店の中毒者になって欲しいと名付けたそう。

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