2022.07.03

夏でも食べたい熱々ラーメン5連発!

CREDIT :

文・写真/山本益博

暑い夏だからこそ、無性に熱々ラーメンを食べたくなること、ありますよね。そこで人気連載「山本益博のラーメン革命!」より、選りすぐりの5軒をご紹介。冷房の効いたお店で、ふ~ふ~汗かきかき食べてください!

◆「饗 くろ㐂」(秋葉原)

ラーメンが辿り着いた、ひとつの頂点「饗 くろ㐂」

▲ 「饗 くろ㐂」の塩そば(1000円)。
「くろ㐂」へ一緒に行かないかと仲間を誘い、ラーメンの名前を挙げると、誰しもが「しょっぱくないの?」と返してくる。味の濃いイメージのある「醤油そば」のスープはまろやかな醤油味で、塩辛いイメージのある「塩そば」のスープはやわらかな塩味である。どちらもけっして「しょっぱくない」。

さらに、手もみの麺は関西の名店のうどんを思わせるような柔らかさとしなやかさを併せ持つ麺で、スープとの絡み具合が絶妙としか言いようがない。

具は、鶏の胸肉と豚肉のチャーシュー、薬味には、おろし生姜、粒胡椒のほかドライトマトが添えてあり、合いの手、アクセントにとてもよい、たっぷり盛られた青ねぎの香りもスープに効果てきめん。美的な盛り付けのセンスと言い、ラーメンが辿り着いた、ひとつの頂点とも言ってよい。

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◆「麺屋武蔵」(新宿ほか)

数々の挑戦でラーメン界に革命を起こし続けてきた「麺屋武蔵」

▲ 「新宿  創始  麺屋武蔵」の「武蔵ら~麺」(1000円)。
「麺屋武蔵」はラーメン屋で屋号に「麺屋」と名付けた最初の店として知られているが、「武蔵」の由来は、宮本武蔵が、師匠なし、すべて独学で、生涯負けなしであるところから、初代のオーナー山田さんが名付けた。

2代目のオーナー矢都木二郎さんは1976年埼玉の生まれ、ラーメンより「つけ麺」にはまって、2001年「麺屋武蔵」に入り、2014年2代目の社長に就任した。

石巻のさんまの煮干しがベースであることは全店共通で、スープの味が濃いというよりうま味が強いが、現在都内に15店舗ある店の味はすべて違うとのこと。脱「セントラルキッチン」で、味、値付けは店長が決めるのだという。

青山の店から出発し、98年5月に新宿に「創始 麺屋武蔵」を構える。

私は、神田「神山(かんざん)」六本木「虎嘯」吉祥寺「虎洞」しか知らないが、吉祥寺「虎洞」では、自家製のソーセージが売りでユニークである。そのソーセージ、スパイシーでハーブの香りが漂う。

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◆「神保町黒須」(神保町)

トリュフとラーメン。「神保町黒須」、塩蕎麦の現在地とは?

▲ 「神保町黒須」の塩蕎麦。
「神保町黒須」の人気メニューに「塩蕎麦」がある。鶏スープに細麺、豚ロースに穂先メンマと青味の端麗な塩ラーメン。以前は「醤油蕎麦」にトリュフのピューレが添えられていたように記憶しているが、醤油にはトリュフは難しく、現在はこの「塩蕎麦」に少量のトリュフのピューレが添えてある。ただ、一緒に添えられた牡蠣のペーストの強さに負けてしまっているのが惜しい。

ラーメンの食材は小麦の麺、鶏のスープ、豚のチャーシュー、味玉などどれもトリュフと相性がいいものが揃っている。

ラーメンにトリュフを使ったのは巣鴨時代の「Japanese Noodle Soba蔦」がその嚆矢のようだが、沖縄・宮古「紺碧リゾート」の渡真利シェフは、パリの「ランブロワジー」の「トリュフのパイ包焼き」を食べた途端、それまで「宮古そば」と称したかけそばに安易にトリュフを削っていた自分を恥じ、二度としまいと心に誓ったという。

黒須さんには、ぜひとも、トリュフの季節の真っ只中の時期だけでもいいから、トリュフを主役にした名品ラーメンを創作して欲しいと思う。

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◆「らぁめん小池」(上北沢)

崇高なほど、簡潔な煮干しラーメン! 「らぁめん小池」

▲ 「らぁめん小池」の「煮干しラーメン」。写真は味玉子付き。
東京・上北沢「らぁめん小池」の「煮干しラーメン」850円は、何の煮干しを使っているのだろう。はじめに一口スープをいただいたとき、煮干しの風味が漂うのだが、二口三口と進むうちには、「煮干し」がどこかに溶け込んでいってしまう。ラーメンの丼には、煮干し風味のスープに細いストレート麺、中央にはスライスされピンク色したチャーシューがふうわりまとめられ、山椒風味の鶏肉団子、さらに青菜のほうれん草と刻んだたまねぎが添えてある。
食べ込むうちにスープがとてもいい具合に馴染んでくるのだが、添えられた「玉ねぎのみじん切り」がポイントではなかろうかと思えてくる。大森の「麦苗」で店主に薦められるままに食べた「いりこ」のラーメンにも、そういえば「玉ねぎのみじん切り」が添えてあったことを思い出した。「煮干し」と「玉ねぎ」の相性の良さの根拠は、私にはわからない。気がつけば、常連の海苔とメンマは添えられていない。何か崇高な気がするほど、簡潔なラーメンである。

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◆「銀座 八五」(東銀座)

出汁をそのままスープに。「銀座 八五」は常識破りのミシュラン星獲りラーメン店

▲ 「銀座 八五」の中華そば1100円。
「ラーメンは限りなく自由な麺料理である」とつくづく思う。とりわけヴァラエティに富むのが、スープ。いまさらひとつひとつ分類するのがはばかられるほど、すでに紹介し尽くされた感がある。

だが、「銀座 八五」の中華そばを食べたとき、フランス料理の発想と技術から生まれた、鴨の香り漂うスープに感動したのは、私ばかりではないと思う。ラーメンでは欠かせない「タレ」を使わず、「出汁」をそのままスープにしてしまう発想は、これまで誰も思いつかなかった。

「銀座 八五」の中華そばのスープは、前夜、鶏や鴨の骨と野菜から出汁を取り、そこへドライトマトの酸味を足し、翌朝、プロシュートとゲランドの塩味を加えて調味したもの。極めてシンプルながら、滋味深い味わいで、添えてある具も、チャーシューとメンマと青葱のみ。

見た目はシンプルだが、フランス料理出身の松村靖料理長が発案した、とても質の高い「中華そば」である。食後には、冷たい「加賀棒茶」がサービスされ、口中を静かに洗い清めてくれる。

昨年の「ミシュラン東京」2022年版で1つ星に輝いた。店のメニューが「中華そば」単品のみで星を獲得しているのは、おそらく世界中で「八五」1軒ではなかろうか?

※詳しい記事はこちらから

● 山本益博(やまもと・ますひろ)

1948年、東京都生まれ。1972年早稲田大学卒業。卒論として書いた「桂文楽の世界」が『さよなら名人芸 桂文楽の世界』として出版され、評論家としての仕事をスタート。1982年『東京・味のグランプリ200』を出版し、以降、日本で初めての「料理評論家」として精力的に活動。著書に『グルマン』『山本益博のダイブル 東京横浜&近郊96-2001』『至福のすし 「すきやばし次郎」の職人芸術』『エル・ブリ 想像もつかない味』他多数。料理人とのコラボによるイヴェントも数多く企画。レストランの催事、食品の商品開発の仕事にも携わる。2001年には、フランス政府より、農事功労勲章(メリット・アグリコル)シュヴァリエを受勲。2014年には、農事功労章オフィシエを受勲。
HP/山本益博 料理評論家 Masuhiro Yamamoto Food Critique

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